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第四章 過去の真実と未来への希望

第90話 インスティントの思惑

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(息子達よ、私の所に来てくれますか)
((承知いたしました))
トレ・デ・エスピナス棘の塔の一室で待つ1人の男。
扉を叩き、入室する2人の男たち。
「2人共座りなさい。また君達の力を借りようと思ったのだが」
そこにはバレンティアとカマラダが座っていた。

「監視対象者の動向は掴んでいるか?」
「ハイ。前回以降、常に気にかけております」
「何か又厄介毎に巻き込まれているようですねぇ。本当に楽しい人だ。流石は運命の男ですね」
生真面目なバレンティアと、知性は高いのだが退屈が嫌いなカマラダだ。

「知っているようにフィドキアは特命が有るので、よっぽどの事が無い限り係われないから君たちの協力を要望する」
「承知しました。しかし、コラソン様。あの地域は」
「分かっている。アレの介入も計算に入れてある」
「大丈夫ですか? アレは感情で動くので予測が難しいですよ」
「うむ。新たな監視対象者の嫁次第だがな」
バレンティアとカマラダは”アレ”が気になって仕方ないようだ。

「とにかく、ラソンには言うなよ」
「「はっ」」
(((あの2人が会えば災害が起こるからなぁ)))
同じ事を考えていた人外の存在達だった。

(((アレが出張ると面倒だなぁ。パパッと済ませるようにモンドリアンさんに助言しようかなぁ)))
ブルブルと頭を振り自らの考えを否定する。
(((イカンイカン。我らが口出ししてはダメなのだ)))


ある日、監視対象者が現れて難題を押し付けてきた。

「ところで二つ聞きたい事があるけど」
「何でしょうか?」
「フィドキアが念話に出てくれなくてさぁ」
「ああっ済みませんねぇ、ちょっと重要な仕事が有って係りっきりなのですよ。そのかわり私を含め全ての龍人に念話して構いませんから」
「えっ本当に!?」
「勿論です」

「だけどもう1つの問題が・・」
「何でしょうか?」
「インスティントがフィドキアと2人で”あの食事店”でデートしたいってさ」
「それはっ・・・」
流石のコラソンも困った様子だ。

「それで日時はインスティントが連絡して来るって」
「そうですか」
「あの店にも前もって言っとかないと困るだろうし、同席は俺とシーラだけだってさ」

考え込むコラソン。
「・・・モンドリアンさん。インスティントに日時はこちらで調整すると念話してください」
「それって」
「何とか手配して見ますよ」
「ありがとうコラソン!じゃ念話するよ」
そう言ってインスティントに交信して見る。

(インスティントさん聞こえますか?)
(あら、この声はモンドリアン?)
(そうですよ。インスティントさんに報告が有ります)
(何だい言ってみな、今コラソン様と居るんだろ?)
(はい、良く知ってますねぇ)
(報告とは例の件か?)
(ええ、バッチリですよ)
(やたっあああぁぁぁっ!)
凄い叫び声だ。

(ただし、日時はコラソンから連絡するって)
(分かった。ありがとうモンドリアン)
(じゃまた連絡するよ)
(コラソン様に宜しく伝えてねぇ)
途中から念話のトーンが変わったのがはっきりと分かった。

「最後にもう1つ。可能であれば教えて欲しいけど」
「あの2人の事ですか?」
黙ってうなづく。
「・・・そうですねぇ。時が来たら教えますよ」
苦笑いのコラソンを見て、それ以上聞くのを止めた監視対象者だ。


※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero


インスの要望を叶えるために、コラソンとカマラダニバレンティアが考え抜いた方法は、ラソンに龍国へ使いに出す事だった。
それにはオルキスとヒラソルの協力が不可欠で、コラソンが誠心誠意愛情を注いで納得してもらった。
ヒラソルに話せば二つ返事で手伝ってくれるが、オルキスに訳を話せば当然ラソンが可哀そうだと怒るだろうし、見返りも要求してくる。
オルキスとヒラソルが不仲にならないように細心の気配りと”肉体労働”をいとわない伴侶であり父なのだ。
あちらを立てれば、こちらが立たず、最終的には愛し合う時間を対価に今回の計画に協力してもらう事になった。


インスのデート当日は滞りなく進み、楽しそうなインスの笑顔を見て満足だったコラソンだ。



Epílogo
インスの暴走と言うよりも欲望か
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