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第四章 過去の真実と未来への希望
第66話 血脈
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テネブリスの記憶に存在する前世の記念日は3つ有る。
1つは愛する者の産まれた日。
1つは自らが産まれた日。
もう1つは愛しい我が子が産まれた日だ。
自らが産まれる予定は同族に教えたが、愛する者の産まれた日は教えて無かったテネブリスは、その日をずっと下界を映し出す魔導具の前でその瞬間を待っていた。
そして自室でその瞬間を目の当たりにし、前世の家族と同様に喜ぶテネブリスだった。
フィドキアからは重要な案件が有ると必ず報告に訪れていて、愛する者の”両親”を始めて知る事となったテネブリスだ。
(そんなっ、”あの人”がアルブマの血を受け継いでいたなんて・・・じゃあの子も・・・)
純血だと思っていた我が子に、最も愛しい龍族の血が入っている事を認識した瞬間でもあった。
愛しい者が成長する様を見て微笑ましく観察する暗黒の支配者たる龍だ。
下界の数十年など瞬く間に過ぎ、前世の自分が産まれる直前になると、龍族一同が部屋に押しかけて来た。
「貴女達、どうしたの?」
「お姉様のお生まれになる瞬間を見たいと全員の意向なの。だからお姉様と御一緒にその時まで見守っていたいの」
「アルブマ・・・」
「はぁ・・・仕方ないわねぇ。そんなに面白いものじゃ無いわよぉ」
「お母様のお生まれになった瞬間は非常に興味が有ります」
「ベルムったら・・・解かったわ、皆でその時を待ちましょう」
下界を映し出す出す画面の前で待っていた。
中でも第一ビタ達は興味深々の様だ。
何故ならば、自分達も龍人を産み落としたからだ。
フィドキア以外の龍人は創生では無く、愛を育み受胎され母の胎内から生れ出て来たからだ。
その思いがテネブリスに対してビダと龍人は親近感を持っていた。
とは言え、テネブリスの前世なので龍族とは一切関係は無い事も承知の上だが、魂は同じなので敬意を示し全体で観察する事になったのだ。
「慌ただしくなって来たわ」
「母親も大分苦しそうだね」
「大丈夫かしら」
「自分の出産が懐かしいわ」
「おい、静かにしろ」
「貴女達、煩いわよ」
「あっ産まれそう!!」
当事者のテネブリス以外が異様に盛り上がっていた、その時。
「産まれた!!」
「お姉様!!」
「お母様!!」
「姉貴!!」
「姉上!!」
「姉さん!!」
「「「おめでとうございます!!」」」
「ありがとう、みんな」
龍族全員が満面の笑みを浮かべていた。
「「「可愛いぃぃ!!」」」
ビダ達が口を揃えて褒めちぎる。
「生まれたてのお姉様、愛くるしいですわ」
「恥ずかしいから止めて頂戴、アルブマ」
「あんなに小さくて柔らかそうなお母様、可愛い」
「ベルムったら」
「あんな無垢な子が・・・転生って凄ぇなぁ」
「セプティモ、何が言いたいのかしら?」
「あっいや・・・姉貴もこんな時が有ったんだなって・・・」
「当たり前でしょう、貴女も同じ様に可愛かったわよ」
「わ、私の事はいいから産まれたばかりの姉貴をもっと見ようよ」
真っ赤な顔でアタフタするセプティモだ。
そんな姉を見てセプテムとスペロは無難に褒め称えた。
寝ている姿も可愛い前世のテネブリスを時を忘れて見続けている龍族達に、大神から念話が届いた。
(貴女達、可愛いからって何時までもそこに居ないで、自分達の持ち場に戻りなさい)
そそくさと移動する龍族の1人に、更なる念話が有った。
(アルブマ、着て頂戴)
(はい、お母様)
自分だけ呼び出された事に不安を感じたアルブマだった。
「お母様、どのようなご用でしょうか?」
「アルブマ・・・予知夢を見たわ」
「それは、どのような予知夢でしょうか?」
「・・・龍国内が・・・破壊されるわ・・・」
「は、まさかお姉様が!!」
「そのまさかよ」
「一体どうしてですか、お母様」
「解らないわ・・・でも時間が無いの」
「そんなぁ・・・今のお姉様は全てを打ち明けて何も秘密は無いはずなのに・・・じゃ今度はもう片方のお姉様に聖玉に入って頂ければ・・・」
「それは危険だわ。聖玉に入って暴走すれば、それこそ元に戻れなくなる可能性も有るでしょう」
「では一体どうしろと・・・」
苛立つアルブマに指示を出すスプレムスだ。
「アルブマ、スペロと一緒に外郭に行きなさい」
「外郭・・・龍国の外側に!!」
「えぇ、外に出て成龍状態でも入れる部屋を作らせて頂戴。室内は貴女の魔法でテネブリスの属性を中和するようにするの。中に入るのはテネブリスと貴女とベルムだけね」
「解かりましたお母様」
「とにかく急いで頂戴。テネブリスには私から説明しておくから」
大神からの依頼を受けてスペロに説明し外郭へとやって来た。
「姉さん、どの位の大きさで作れば良い?」
「そうねぇ、私達2人が成龍状態でも余裕が有る方が良いわ」
「解かった、やってみる」
Epílogo
また大暴れですか? 姉さん。
1つは愛する者の産まれた日。
1つは自らが産まれた日。
もう1つは愛しい我が子が産まれた日だ。
自らが産まれる予定は同族に教えたが、愛する者の産まれた日は教えて無かったテネブリスは、その日をずっと下界を映し出す魔導具の前でその瞬間を待っていた。
そして自室でその瞬間を目の当たりにし、前世の家族と同様に喜ぶテネブリスだった。
フィドキアからは重要な案件が有ると必ず報告に訪れていて、愛する者の”両親”を始めて知る事となったテネブリスだ。
(そんなっ、”あの人”がアルブマの血を受け継いでいたなんて・・・じゃあの子も・・・)
純血だと思っていた我が子に、最も愛しい龍族の血が入っている事を認識した瞬間でもあった。
愛しい者が成長する様を見て微笑ましく観察する暗黒の支配者たる龍だ。
下界の数十年など瞬く間に過ぎ、前世の自分が産まれる直前になると、龍族一同が部屋に押しかけて来た。
「貴女達、どうしたの?」
「お姉様のお生まれになる瞬間を見たいと全員の意向なの。だからお姉様と御一緒にその時まで見守っていたいの」
「アルブマ・・・」
「はぁ・・・仕方ないわねぇ。そんなに面白いものじゃ無いわよぉ」
「お母様のお生まれになった瞬間は非常に興味が有ります」
「ベルムったら・・・解かったわ、皆でその時を待ちましょう」
下界を映し出す出す画面の前で待っていた。
中でも第一ビタ達は興味深々の様だ。
何故ならば、自分達も龍人を産み落としたからだ。
フィドキア以外の龍人は創生では無く、愛を育み受胎され母の胎内から生れ出て来たからだ。
その思いがテネブリスに対してビダと龍人は親近感を持っていた。
とは言え、テネブリスの前世なので龍族とは一切関係は無い事も承知の上だが、魂は同じなので敬意を示し全体で観察する事になったのだ。
「慌ただしくなって来たわ」
「母親も大分苦しそうだね」
「大丈夫かしら」
「自分の出産が懐かしいわ」
「おい、静かにしろ」
「貴女達、煩いわよ」
「あっ産まれそう!!」
当事者のテネブリス以外が異様に盛り上がっていた、その時。
「産まれた!!」
「お姉様!!」
「お母様!!」
「姉貴!!」
「姉上!!」
「姉さん!!」
「「「おめでとうございます!!」」」
「ありがとう、みんな」
龍族全員が満面の笑みを浮かべていた。
「「「可愛いぃぃ!!」」」
ビダ達が口を揃えて褒めちぎる。
「生まれたてのお姉様、愛くるしいですわ」
「恥ずかしいから止めて頂戴、アルブマ」
「あんなに小さくて柔らかそうなお母様、可愛い」
「ベルムったら」
「あんな無垢な子が・・・転生って凄ぇなぁ」
「セプティモ、何が言いたいのかしら?」
「あっいや・・・姉貴もこんな時が有ったんだなって・・・」
「当たり前でしょう、貴女も同じ様に可愛かったわよ」
「わ、私の事はいいから産まれたばかりの姉貴をもっと見ようよ」
真っ赤な顔でアタフタするセプティモだ。
そんな姉を見てセプテムとスペロは無難に褒め称えた。
寝ている姿も可愛い前世のテネブリスを時を忘れて見続けている龍族達に、大神から念話が届いた。
(貴女達、可愛いからって何時までもそこに居ないで、自分達の持ち場に戻りなさい)
そそくさと移動する龍族の1人に、更なる念話が有った。
(アルブマ、着て頂戴)
(はい、お母様)
自分だけ呼び出された事に不安を感じたアルブマだった。
「お母様、どのようなご用でしょうか?」
「アルブマ・・・予知夢を見たわ」
「それは、どのような予知夢でしょうか?」
「・・・龍国内が・・・破壊されるわ・・・」
「は、まさかお姉様が!!」
「そのまさかよ」
「一体どうしてですか、お母様」
「解らないわ・・・でも時間が無いの」
「そんなぁ・・・今のお姉様は全てを打ち明けて何も秘密は無いはずなのに・・・じゃ今度はもう片方のお姉様に聖玉に入って頂ければ・・・」
「それは危険だわ。聖玉に入って暴走すれば、それこそ元に戻れなくなる可能性も有るでしょう」
「では一体どうしろと・・・」
苛立つアルブマに指示を出すスプレムスだ。
「アルブマ、スペロと一緒に外郭に行きなさい」
「外郭・・・龍国の外側に!!」
「えぇ、外に出て成龍状態でも入れる部屋を作らせて頂戴。室内は貴女の魔法でテネブリスの属性を中和するようにするの。中に入るのはテネブリスと貴女とベルムだけね」
「解かりましたお母様」
「とにかく急いで頂戴。テネブリスには私から説明しておくから」
大神からの依頼を受けてスペロに説明し外郭へとやって来た。
「姉さん、どの位の大きさで作れば良い?」
「そうねぇ、私達2人が成龍状態でも余裕が有る方が良いわ」
「解かった、やってみる」
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また大暴れですか? 姉さん。
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