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第四章 過去の真実と未来への希望
第63話 過去の真実2
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「わたしは・・・わたしは、産まれる以前の記憶を持っているの・・・」
左右に居るアルブマとベルムが驚きの表情でテネブリスを見ていた。
離れた場所でその状況を見ていたスプレムスもかなり驚いた様子だった。
「お母様には申し訳ないけど、私がこの世界に産まれた時・・・もう絶望しか無かったわ」
ギュッと両手を握りしめる左右に座る存在。
「お母様の目を盗んで毎晩泣いていたわ・・・来る日来る日も・・・それでね、涙も枯れて生まれる前の事は忘れる様にしていたわ」
「お姉様・・・」
「そうしたらね貴女が産まれたのよ、アルブマァ!! 私は嬉しくて貴女が可愛くてしかたなかったわ」
顔を真っ赤にして恥ずかしがるアルブマだった。
「それからの事は皆が知っている事も多いと思うけど、私が暴走する原因となったのは・・・第一ビダ達が大人になってからね」
「えええっ!!」
大きな声を上げたのはオルキスだった。
「二足歩行型に変身してからは、それなりに欲望を処理する事も出来ていたけど・・・」
片方の手を握ると、同じく握り返してきたアルブマ。
「やっぱりあなた達に嫉妬していたのね・・・どうしてかと言うと、生まれる前は貴女達と同じ様に愛し合い子供も居たのよ」
それは龍種では無く別の種族だと告白したも同然だった。
「お母様・・・」
「心配しないで、私の子は貴女だけよ」
ベルムに優しく応えたテネブリス。
「それでね、嫉妬というか憎悪が知らない内に溜まっていたのよねぇ・・・あ、でも産まれてからの絶望も含まれているみたいだから、嫉妬だけじゃないからね」
そうは言われても、オルキスとヒラソルにナルキッスとプリムラは、深い罪悪感に苛まれていた。
「それからは、その欲望が私の身体を支配して暴走して行ったのよねぇ・・・」
その先は全員が知るテネブリスが下界で暴れまくった事件だ。
犠牲者はロサと沢山の下界の生命に文明だ。
龍人達の苦労と、未だに監視を続けているアルセ・ティロと妖精王ヴィオレタ・ルルディも犠牲者と言えよう。
「それでね、その際にアルブマが持っていた光玉に私の理性が入っていたと言う話しだけど・・・ちょっと違うのよねぇ」
「お姉様・・・聞いて無いですわ」
「解かったから黙って聞いてて頂戴」
「”あれ”はもう1人の私と言った方が良いかも知れないわ」
「どういう事ですか姉上」
一番理性的で冷静なセプテムが問いただしてきた。
「私の中に元から居た絶望した者と、龍族としてお母様の期待に応える為に振る舞ってきた者・・・別の言い方をすれば力と理性かな? 同じ考えの時も有れば思考が逆の時も有ったわ」
「1つの身体の中に二つの意識でしょうか・・・」
「その通りよセプテム」
「じゃ今はどっちの姉貴なんだ?」
「・・・どっちだと思うぅ?」
「解かんねぇよ」
「今はぁ、光玉に入っていた理性の方よ」
「じゃ欲望の方は?」
「勿論一緒に見てるわ」
何故か急に畏まるセプティモとセプテムにスペロだった。
テネブリスの横には怖い姉が居るので余計な事は誰1人として口を噤んでいた。
「まぁあの時下界で暴れた私も考えた訳よ。こんな事をしてても意味は無いってね。結局元に戻る事になったの」
「ええっ姉貴が力づくで倒したんじゃ無かったのか?」
「セプティモォ・・・貴女も倒されたいのかしら」
「いや・・・結構ですぅ・・・」
アルブマが睨みを効かす。
「クスクス・・・そうね、正確に言うと本体の方は細かな制御が出来なかったのか変身して戻れなかったの。だから失神させている間に精神体の私が戻った訳。そうする事でこの姿に変身する事も出来たのよ」
ある程度、曖昧な説明はしてあったが改めて一連の真相を知る一同だった。
「じゃ、この前の説明をするわよ、そして私が全てを教えようとした理由も・・・」
用意させていた会議の資料を全員に渡したベルム。
「全てはこの報告書が原因なの・・・」
全員が読み返すが、何が原因か解らなかった。
「まぁ解らないのは仕方のない事よ。私だけしか解らない事。それは・・・」
全員がテネブリスを見ていた。
「もう暫らくすると、前世の私が産まれるわ」
「はぁぁぁぁ!?」
「なにぃぃ!?」
「どう言う事ぉぉ!?」
「お母様、説明を」
「お姉様!!」
同族とベルムだけが声を荒げて驚いた様子で、他の者達は声には出さないが資料を見ながら周りとヒソヒソと確認しているようだった。
「私も驚いたわよ、貴女達の比じゃ無いくらいにね。皆の前で泣いたのも初めてかな?」
照れながら教えるテネブリスを見る一同は”あの時”を思い出していた。
美しい大粒の涙が頬をつたい歓喜に震える神の姿を。
Epílogo
驚いて嬉し泣きっす。
左右に居るアルブマとベルムが驚きの表情でテネブリスを見ていた。
離れた場所でその状況を見ていたスプレムスもかなり驚いた様子だった。
「お母様には申し訳ないけど、私がこの世界に産まれた時・・・もう絶望しか無かったわ」
ギュッと両手を握りしめる左右に座る存在。
「お母様の目を盗んで毎晩泣いていたわ・・・来る日来る日も・・・それでね、涙も枯れて生まれる前の事は忘れる様にしていたわ」
「お姉様・・・」
「そうしたらね貴女が産まれたのよ、アルブマァ!! 私は嬉しくて貴女が可愛くてしかたなかったわ」
顔を真っ赤にして恥ずかしがるアルブマだった。
「それからの事は皆が知っている事も多いと思うけど、私が暴走する原因となったのは・・・第一ビダ達が大人になってからね」
「えええっ!!」
大きな声を上げたのはオルキスだった。
「二足歩行型に変身してからは、それなりに欲望を処理する事も出来ていたけど・・・」
片方の手を握ると、同じく握り返してきたアルブマ。
「やっぱりあなた達に嫉妬していたのね・・・どうしてかと言うと、生まれる前は貴女達と同じ様に愛し合い子供も居たのよ」
それは龍種では無く別の種族だと告白したも同然だった。
「お母様・・・」
「心配しないで、私の子は貴女だけよ」
ベルムに優しく応えたテネブリス。
「それでね、嫉妬というか憎悪が知らない内に溜まっていたのよねぇ・・・あ、でも産まれてからの絶望も含まれているみたいだから、嫉妬だけじゃないからね」
そうは言われても、オルキスとヒラソルにナルキッスとプリムラは、深い罪悪感に苛まれていた。
「それからは、その欲望が私の身体を支配して暴走して行ったのよねぇ・・・」
その先は全員が知るテネブリスが下界で暴れまくった事件だ。
犠牲者はロサと沢山の下界の生命に文明だ。
龍人達の苦労と、未だに監視を続けているアルセ・ティロと妖精王ヴィオレタ・ルルディも犠牲者と言えよう。
「それでね、その際にアルブマが持っていた光玉に私の理性が入っていたと言う話しだけど・・・ちょっと違うのよねぇ」
「お姉様・・・聞いて無いですわ」
「解かったから黙って聞いてて頂戴」
「”あれ”はもう1人の私と言った方が良いかも知れないわ」
「どういう事ですか姉上」
一番理性的で冷静なセプテムが問いただしてきた。
「私の中に元から居た絶望した者と、龍族としてお母様の期待に応える為に振る舞ってきた者・・・別の言い方をすれば力と理性かな? 同じ考えの時も有れば思考が逆の時も有ったわ」
「1つの身体の中に二つの意識でしょうか・・・」
「その通りよセプテム」
「じゃ今はどっちの姉貴なんだ?」
「・・・どっちだと思うぅ?」
「解かんねぇよ」
「今はぁ、光玉に入っていた理性の方よ」
「じゃ欲望の方は?」
「勿論一緒に見てるわ」
何故か急に畏まるセプティモとセプテムにスペロだった。
テネブリスの横には怖い姉が居るので余計な事は誰1人として口を噤んでいた。
「まぁあの時下界で暴れた私も考えた訳よ。こんな事をしてても意味は無いってね。結局元に戻る事になったの」
「ええっ姉貴が力づくで倒したんじゃ無かったのか?」
「セプティモォ・・・貴女も倒されたいのかしら」
「いや・・・結構ですぅ・・・」
アルブマが睨みを効かす。
「クスクス・・・そうね、正確に言うと本体の方は細かな制御が出来なかったのか変身して戻れなかったの。だから失神させている間に精神体の私が戻った訳。そうする事でこの姿に変身する事も出来たのよ」
ある程度、曖昧な説明はしてあったが改めて一連の真相を知る一同だった。
「じゃ、この前の説明をするわよ、そして私が全てを教えようとした理由も・・・」
用意させていた会議の資料を全員に渡したベルム。
「全てはこの報告書が原因なの・・・」
全員が読み返すが、何が原因か解らなかった。
「まぁ解らないのは仕方のない事よ。私だけしか解らない事。それは・・・」
全員がテネブリスを見ていた。
「もう暫らくすると、前世の私が産まれるわ」
「はぁぁぁぁ!?」
「なにぃぃ!?」
「どう言う事ぉぉ!?」
「お母様、説明を」
「お姉様!!」
同族とベルムだけが声を荒げて驚いた様子で、他の者達は声には出さないが資料を見ながら周りとヒソヒソと確認しているようだった。
「私も驚いたわよ、貴女達の比じゃ無いくらいにね。皆の前で泣いたのも初めてかな?」
照れながら教えるテネブリスを見る一同は”あの時”を思い出していた。
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驚いて嬉し泣きっす。
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