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弁明 16(回想)
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「…変えるべき未来だよ」
「私が変えられる未来」
まだ私が見る未来で病室のドアはノックされないかもしれないけど。
それでも私がいる病室があるなら、いつかドアはノックされるんだ。
長い沈黙が訪れた
「…そっか」
「うん、エミは諦めないもんね」
「その未来が変わるまで、私がドアを開けることが出来る未来にするまで諦めないんだよね、エミは」
私は頷いた。
「当たり前じゃない」
「それで、今日地震が起こるんだよね」
エミが窓から太陽を見て目を細める
「1つ、提案があるの」
人差し指を私の前に出した
「エミはこの提案を断ると思う。でも、私がない脳で必死に考えた提案だよ」
「警察はね、被災者の事についてはほぼ調べないの。明らかに地震で亡くなった人、その人は地震で亡くなった、それでオシマイになっちゃうんだよ。」
「警察…?」
「でも警察の能力は高い。それを私は使いたくってさ。」そう言ってエミは自分の頭を指さした。
「事件にしたら、きっと詳しく調べてくれるよ」
どういうこと?
私に何をしろと言っているんだ。
「エミは私に危害を加えて、深い傷で、あたかも殺人みたいに。」
カノが微笑んだ
カノが何を言っているのか分からなかった
「どういうこと?」
「その通りだよ、エミは、そうだな…そこにあるバールで私を叩いて。」
「私も痛い思いしたくないから、出来れば頭がいいかな…」
「そんな事するわけないでしょ!」
大きな声で叫んだので、周りのクラスメイトが驚いた。
私にカノを殺せと言ってるの?
「…言うと思った」
「うん、言ってくれてありがとう」
カノは自分の頬を撫でた
「でもね、私は本気だよ」
「だからって…私は自分の力で…」
「少しでも手助けになるなら嬉しい。警察はカノの所に行くと思う。その時になるべく聞いて。」
「だから…!」
「少しづつ進んだって、それじゃエミが苦しむだけだよ。何回エミは私達が死ぬのを見るの?もうこれで最後にしようよ」
「その為に1歩でも進めるんなら進んどこ、選択肢を先に作ろ?」
カノは目を伏せた
「大丈夫だよ…?私は」
「でも…殺せない」
「お願い、大丈夫、カノの生きる未来では私は生きてるんでしょ?」「今の私じゃない、警察が来ても私が助かるんならエミは無実だよ」
カノは私に何度も言った
「苦しみはこれで最後にしよ?」
「私はっ…何回でも苦しむよ、救えるまで、私はそれでいいの」
「私はどうせ死ぬんだよ、何回も死ぬの。それなら私は何もしないで死ぬより役に立ちたい、1度エミは苦しむかもしれない。でもその1回はみんなのためで、エミの幸せにも繋がるから…きっと…」
カノは泣いていた。
「ねえ、私のお願いを聞いてよ…」
薄汚れたコンクリートの上にカノの涙が落ちた。
私は…どうすればいいの?
どうしたら助けられるの、いつまで苦しめば…
「…じゃあ」
私はカノの目を見た
「もう少しだけ一緒にいさせてよ」
「…うん、私もそのつもりだよ」
カノは私の指に自分の手を重ねた
「ありがとう」
「私が変えられる未来」
まだ私が見る未来で病室のドアはノックされないかもしれないけど。
それでも私がいる病室があるなら、いつかドアはノックされるんだ。
長い沈黙が訪れた
「…そっか」
「うん、エミは諦めないもんね」
「その未来が変わるまで、私がドアを開けることが出来る未来にするまで諦めないんだよね、エミは」
私は頷いた。
「当たり前じゃない」
「それで、今日地震が起こるんだよね」
エミが窓から太陽を見て目を細める
「1つ、提案があるの」
人差し指を私の前に出した
「エミはこの提案を断ると思う。でも、私がない脳で必死に考えた提案だよ」
「警察はね、被災者の事についてはほぼ調べないの。明らかに地震で亡くなった人、その人は地震で亡くなった、それでオシマイになっちゃうんだよ。」
「警察…?」
「でも警察の能力は高い。それを私は使いたくってさ。」そう言ってエミは自分の頭を指さした。
「事件にしたら、きっと詳しく調べてくれるよ」
どういうこと?
私に何をしろと言っているんだ。
「エミは私に危害を加えて、深い傷で、あたかも殺人みたいに。」
カノが微笑んだ
カノが何を言っているのか分からなかった
「どういうこと?」
「その通りだよ、エミは、そうだな…そこにあるバールで私を叩いて。」
「私も痛い思いしたくないから、出来れば頭がいいかな…」
「そんな事するわけないでしょ!」
大きな声で叫んだので、周りのクラスメイトが驚いた。
私にカノを殺せと言ってるの?
「…言うと思った」
「うん、言ってくれてありがとう」
カノは自分の頬を撫でた
「でもね、私は本気だよ」
「だからって…私は自分の力で…」
「少しでも手助けになるなら嬉しい。警察はカノの所に行くと思う。その時になるべく聞いて。」
「だから…!」
「少しづつ進んだって、それじゃエミが苦しむだけだよ。何回エミは私達が死ぬのを見るの?もうこれで最後にしようよ」
「その為に1歩でも進めるんなら進んどこ、選択肢を先に作ろ?」
カノは目を伏せた
「大丈夫だよ…?私は」
「でも…殺せない」
「お願い、大丈夫、カノの生きる未来では私は生きてるんでしょ?」「今の私じゃない、警察が来ても私が助かるんならエミは無実だよ」
カノは私に何度も言った
「苦しみはこれで最後にしよ?」
「私はっ…何回でも苦しむよ、救えるまで、私はそれでいいの」
「私はどうせ死ぬんだよ、何回も死ぬの。それなら私は何もしないで死ぬより役に立ちたい、1度エミは苦しむかもしれない。でもその1回はみんなのためで、エミの幸せにも繋がるから…きっと…」
カノは泣いていた。
「ねえ、私のお願いを聞いてよ…」
薄汚れたコンクリートの上にカノの涙が落ちた。
私は…どうすればいいの?
どうしたら助けられるの、いつまで苦しめば…
「…じゃあ」
私はカノの目を見た
「もう少しだけ一緒にいさせてよ」
「…うん、私もそのつもりだよ」
カノは私の指に自分の手を重ねた
「ありがとう」
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