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第4章 リリカのお勉強
第34話 魔石
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昨晩は、二人とも精根尽き果て、取るものとりあえずリアムの寝室へなだれ込み、あっという間に、二人して眠りに落ちたのだった。リリカが魔力を渡すために服を脱がしたので、二人とも裸のまま寝てしまった。
リリカが朝目覚めると裸のご主人様に抱きしめられた状態だった。が、あまり驚いた風でもない。そういえば、最近はいつもそんな感じで寝ていたので、普通になってきている。
朝食を済ませると二人は早速、昨晩の釜へ足を運んだ。すでに冷えており、泥団子だったものは、焼結して石の玉になっていた。見た目は、以前の焼き物とあまり変わりがない。釉薬も塗ったので、表面も滑らかだ。
「綺麗に焼けてますね。薪を一本も使わなかったなんで信じられないできです。」
「ああ。だが、正直大変だった。あんなのはもう二度とやりたくない感じだ。」
「リリカは、いろいろご主人様のサポートができて貴重体験でしたけどね。」
「っ!思い出した。俺が手が離せないのをいいことに、昨日はよくもやってくれたな。」
「お、おしっこの件ですか?」
「他にもいろいろあるが、まさか奴隷にご主人様があんな羞恥プレイを強要されるとは、夢にも思わなかったぞ!」
「でも、あの時出してなかったら、その後の大変なときに、もっと酷い事になっていたのではないかと思うんですが。」
「・・・・・・」
事実なだけにリアムは反論できなかった。6時間ぶっ通しは、大量の魔力を使い続けると言う意味だけでなく、トイレ的にもかなり過酷だった。かなり我慢したあの状態で、あの大変な最後の1時間を迎えていたら、間違いなく決壊していただろう。
「だが気に入らないのは、お前がなんか楽しんでる風だったのがだ!」
「そ、そんなことありません!リリカは、ご主人様のために出来ることを一生懸命考えてしただけで。。」
「その結果、俺に出させた後、拭いて、それからペロペロしたりもするんか?あれも一生懸命考えた結果か?」
「えっと、そそれはそのあの、せっかくつまみ出したのに、何もしないなんて不自然かなと。」
「お、お前の頭が不自然だぁ!」
とはいえ、昨日の会話でお仕置きは無しになったのである。
痴話喧嘩が一段落して、リアムはいよいよ焼き物の出来具合を調べ始めた。
「ご主人様。」
「ん?」
「魔力が込められたかとかは、どうやって調べるんですか?」
「ああ、エコーという魔術をつかうんだ。」
「どんな魔術なんですか?」
「対象に魔力の波動を送り込んで共鳴させるんだ。対象が持つ魔力が高ければ高いほど、共鳴反応が大きくなる。これで対象の保有魔力を比較することが出来る。」
ま、やってみればよくわかる、と言ってリアムが作業を始めた。釜から冷え固まった石球を取り出しエコーを仕掛ける。
「25個全てに均等な波動をかけないと正しく比較できないところが注意点だ。
術としては単純だが対象の数が多くなると結構難しいんだぜ。」
石球は、直径がそれぞれ3,6,9,12,15センチの5種類をそれぞれ5個ずつ作成していた。リアムのエコーに反応して、それぞれが細かく振動し始める。
「みんな同じ感じに震えてますね。」
「そうでもないぞ、でかい方の球の反応が弱い。」
「そういえば。」
よく見比べると12と15センチの球は反応が弱かった。また、小さいものでも釜の出入口付近に置いたものは、反応が鈍かった。
「やってみてわかったのは、大きければいいって訳でもないという事だな。多分でかい玉は中まで焼けてないんだろう。
後は、釜の戸口に置くのもダメだ、出入口から熱が逃げてうまく焼けない。焼けなかった奴が魔力の量も少なくなっている。」
「ほへぇ・・・」
リリカは感嘆するしか反応のしようがなかった。自分がわー、振動してるー、と思ってるうちに、リアムは実に多くの情報を読み取っていた。
「なんか、ご主人様はやっぱりすごいんだなと思いました。」
「何だ?急にしおらしくなって。」
「素直な感想です。」
じっと、そんけーの眼差しを投げかけられ、リアムは照れながらもまんざらでもなさそうだ。
「こういうのは、魔術研究を続けてると自然に身についていくもんだ。」
「リリカにもできますかね?」
「大丈夫だ!これからも手伝ってくれよ。」
「はい!」
リアムにそう言われて、リリカは嬉しそうに微笑んだ。
リアムはアロン島結界封鎖計画の次の一手を考え始める。懸案のエネルギー源は、精霊石を調達しなくても作れることがわかった。作るのは大変だったが、「できる」という事が重要だ。
そうなれば次は防壁をどのように作るかになるな。これから少し思案を巡らそうかなと思った時のことだった。
ヴーン
エコーによる石球の振動音がした。
「あぁあっ・・・。ご主人様、これ肩こりにいいですね。振動が気持ちいいです!」
「?!」
先ほどのリアムの術を真似て、リリカがエコーを使っている。
(バカな?比較的単純な魔術だが、一度見ただけで真似るなんてのは、尋常じゃないぞ?)
「あー、効くぅー」
振動する球体を肩に押し当て気持ちよさそうに目を閉じている。
「リリカ、そういえばこの前キノコみたいなの作ってたな。」
「あ、はい。すみませんでした。もう捨てました。」
「暇な時に作ってみなさい。俺が焼いてやろう。」
「え?いいんですか?じゃ、後で作ってみます!」
(ふっ、いいお仕置き道具になりそうだ)
リリカの才能の片鱗に驚く展開になる筈のところだろうに、脱線してよこしまな計画を練るリアムであった。
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最後のはオチなので、あまり引っ張る気はないです。
リリカが朝目覚めると裸のご主人様に抱きしめられた状態だった。が、あまり驚いた風でもない。そういえば、最近はいつもそんな感じで寝ていたので、普通になってきている。
朝食を済ませると二人は早速、昨晩の釜へ足を運んだ。すでに冷えており、泥団子だったものは、焼結して石の玉になっていた。見た目は、以前の焼き物とあまり変わりがない。釉薬も塗ったので、表面も滑らかだ。
「綺麗に焼けてますね。薪を一本も使わなかったなんで信じられないできです。」
「ああ。だが、正直大変だった。あんなのはもう二度とやりたくない感じだ。」
「リリカは、いろいろご主人様のサポートができて貴重体験でしたけどね。」
「っ!思い出した。俺が手が離せないのをいいことに、昨日はよくもやってくれたな。」
「お、おしっこの件ですか?」
「他にもいろいろあるが、まさか奴隷にご主人様があんな羞恥プレイを強要されるとは、夢にも思わなかったぞ!」
「でも、あの時出してなかったら、その後の大変なときに、もっと酷い事になっていたのではないかと思うんですが。」
「・・・・・・」
事実なだけにリアムは反論できなかった。6時間ぶっ通しは、大量の魔力を使い続けると言う意味だけでなく、トイレ的にもかなり過酷だった。かなり我慢したあの状態で、あの大変な最後の1時間を迎えていたら、間違いなく決壊していただろう。
「だが気に入らないのは、お前がなんか楽しんでる風だったのがだ!」
「そ、そんなことありません!リリカは、ご主人様のために出来ることを一生懸命考えてしただけで。。」
「その結果、俺に出させた後、拭いて、それからペロペロしたりもするんか?あれも一生懸命考えた結果か?」
「えっと、そそれはそのあの、せっかくつまみ出したのに、何もしないなんて不自然かなと。」
「お、お前の頭が不自然だぁ!」
とはいえ、昨日の会話でお仕置きは無しになったのである。
痴話喧嘩が一段落して、リアムはいよいよ焼き物の出来具合を調べ始めた。
「ご主人様。」
「ん?」
「魔力が込められたかとかは、どうやって調べるんですか?」
「ああ、エコーという魔術をつかうんだ。」
「どんな魔術なんですか?」
「対象に魔力の波動を送り込んで共鳴させるんだ。対象が持つ魔力が高ければ高いほど、共鳴反応が大きくなる。これで対象の保有魔力を比較することが出来る。」
ま、やってみればよくわかる、と言ってリアムが作業を始めた。釜から冷え固まった石球を取り出しエコーを仕掛ける。
「25個全てに均等な波動をかけないと正しく比較できないところが注意点だ。
術としては単純だが対象の数が多くなると結構難しいんだぜ。」
石球は、直径がそれぞれ3,6,9,12,15センチの5種類をそれぞれ5個ずつ作成していた。リアムのエコーに反応して、それぞれが細かく振動し始める。
「みんな同じ感じに震えてますね。」
「そうでもないぞ、でかい方の球の反応が弱い。」
「そういえば。」
よく見比べると12と15センチの球は反応が弱かった。また、小さいものでも釜の出入口付近に置いたものは、反応が鈍かった。
「やってみてわかったのは、大きければいいって訳でもないという事だな。多分でかい玉は中まで焼けてないんだろう。
後は、釜の戸口に置くのもダメだ、出入口から熱が逃げてうまく焼けない。焼けなかった奴が魔力の量も少なくなっている。」
「ほへぇ・・・」
リリカは感嘆するしか反応のしようがなかった。自分がわー、振動してるー、と思ってるうちに、リアムは実に多くの情報を読み取っていた。
「なんか、ご主人様はやっぱりすごいんだなと思いました。」
「何だ?急にしおらしくなって。」
「素直な感想です。」
じっと、そんけーの眼差しを投げかけられ、リアムは照れながらもまんざらでもなさそうだ。
「こういうのは、魔術研究を続けてると自然に身についていくもんだ。」
「リリカにもできますかね?」
「大丈夫だ!これからも手伝ってくれよ。」
「はい!」
リアムにそう言われて、リリカは嬉しそうに微笑んだ。
リアムはアロン島結界封鎖計画の次の一手を考え始める。懸案のエネルギー源は、精霊石を調達しなくても作れることがわかった。作るのは大変だったが、「できる」という事が重要だ。
そうなれば次は防壁をどのように作るかになるな。これから少し思案を巡らそうかなと思った時のことだった。
ヴーン
エコーによる石球の振動音がした。
「あぁあっ・・・。ご主人様、これ肩こりにいいですね。振動が気持ちいいです!」
「?!」
先ほどのリアムの術を真似て、リリカがエコーを使っている。
(バカな?比較的単純な魔術だが、一度見ただけで真似るなんてのは、尋常じゃないぞ?)
「あー、効くぅー」
振動する球体を肩に押し当て気持ちよさそうに目を閉じている。
「リリカ、そういえばこの前キノコみたいなの作ってたな。」
「あ、はい。すみませんでした。もう捨てました。」
「暇な時に作ってみなさい。俺が焼いてやろう。」
「え?いいんですか?じゃ、後で作ってみます!」
(ふっ、いいお仕置き道具になりそうだ)
リリカの才能の片鱗に驚く展開になる筈のところだろうに、脱線してよこしまな計画を練るリアムであった。
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最後のはオチなので、あまり引っ張る気はないです。
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