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7 *:.。..。.:*・≪≪懺悔せよ≫≫・*:.。. .。.:*

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「アヴィオール様!おかえりなさい」
 神殿に戻るとシリウス様が挨拶に駆けつけてくれた。

「ただいま、私は選定会に参加するだけです。けじめを付けに来ただけですから」

「それでもまたお会いできて嬉しいですよ」

 厳しくも優しいシリウス様、貴方をきっと守ってみせる。
 ユーミナとは恋の進展がまだ無いようね。

 物語の内容を私が書き換えたから、ユーミナはエドワーズ殿下と安易に結ばれるのかしら。



                                 
 選定は王家や神殿の者達に見守られて粛々と行われる。エドワーズ殿下の顔も見えた。

 平民下位の者から選定されていくがユーミナが現れると周りからざわめきが起こった。
 皆、シンデレラストーリーに期待しているんだわ。

 彼女が水晶玉に手を翳すとまばゆいばかりに輝き、誰もが神託を予想した。だが、大司祭様は沈黙したままだ、ざわめきが大きくなって「静粛に!」と司祭様が声を上げた。

 ユーミナが悔し気に肩を震わせて、私の方を睨んだ。

 まさか大司祭様もグルって事は無いよね?私もユーミナも選ばれなければ、今回は大聖女不在となる。
 どうあっても平民のユーミナは絶対に選びたくないという事なのかしら。



 さてと、最後に私の番がやって来た。

 ユーミナ以上のざわめきが起こっている。私の偽聖女の噂は誰もが知るところだ。

 手を翳そうとすると「お待ちください!」とユーミナが止めに入った。

「無礼だぞ!この場をなんと心得るのか」

 司祭が止めてもユーミナは止まらない。

「アヴィオール様は不正をしています。【聖石】を使っています!」

「黙りなさい!」

「いいえ、こんな不正は許されません!神への冒涜です!」

 私はそっとエドワーズ殿下の顔を見た。目を瞑って腕を組んだまま動かない。大司祭様も黙って見ている。


「私は【聖石】を持っていませんよ。どうぞ調べて下さい」

 ユーミナは私に近づくとボディーチェックを始めた。平民が公爵令嬢に対して許されざる行為だ。

「無いわ・・なんでよ!あんたは悪役でしょうが!」
 ユーミナも転生者なのか、おかしいと思ったのよ、納得がいったわ。

「だからって黙って処刑されるつもりは無くってよ?」

「あんたも転生者なのね。だから逃げたのね・・・シリウスも殺さないつもり?」

「当たり前でしょう!もういいかしら?」

「いいわ、あの石がなきゃ・・・あんたはただのクズだもの!」

 ユーミナは神官達に連れて行かれて退場した。



 さぁ、ガッカリして頂きましょう。私は偽聖女【聖石】が無ければこんなもんよ!

 女神の水晶玉にそっと手を翳した・・・・


 *・゜゚・*:.。..。.:*・≪≪懺悔せよ≫≫・*:.。. .。.:*・゜゚・*


「はぁああああ?私は大聖女なんて望んでないんだからね!」

 ≪懺悔せよ≫

「なによ・・・ユーミナを選べばいいじゃない!私は偽聖女でいいから・・・」

「アヴィオール!」
「お父様・・・」

 お父様の顔がとても疲れているように見えて泣きたくなった。


 ≪懺悔せよ≫

「本当はユーミナが選ばれるはずよ。でも司祭様が平民は大聖女には出来ないって言ったわ。【聖石】を使ってでも大聖女になれって、でも私はお断りよ!」

「嘘だ!この罰当たりの偽聖女め」

「そうよ、私は偽聖女です。神様どうかお許し下さい。全ての罪は私にあります!」
 その瞬間私は温かな光に包まれて、このまま天に召されてもいいと思えた。体が浮かんで誰かに抱き締められている感覚・・・この時やっと私は生まれ変われると思った。


「残念ながら今回は私には神託はありませんでした」
 大司祭様が両手を挙げて会場の人々に宣言した。

「そんな!奇跡は起こりました。アヴィオール様は神の光に包まれていました。私の目にははっきり見えました」

 シリウス様が訴えると私が大聖女だという声が次々起こったけど決定は覆らない。
 大司祭様は閉会を告げて選定会は終わった。

 大聖女なんかに選ばれたらこれからも≪懺悔≫という生き恥を晒しながら生きて行かないといけないのよ?

 絶対いやだ!これで良かったのよ。


 あとはエドワーズ殿下の処罰を待つだけね。


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