魔女とお婿様

深月織

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秘密篇

第十一話 お婿様、絶好調(後)

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「お姉さま、お空飛べるって本当?」
「まほう、見せてー」
 性別違いのよく似た顔を期待に輝かせて見上げる子供たちにあたしはたじろぐ。
 昼食を済ませたあと、さすがに長々と仕事をサボるわけには行かなくなった王子が側近にさらわれていったあと、王宮を辞しようとしたあたしは下の殿下たちに捕まってしまった。
 子供たちの遊び場になっている日当たりのよいサロンに手を引かれて連れていかれて。
 そしておねだりが始まったのです。
 うーん、なつかれるのは嬉しいし良いんだけど、どうしたものか。
 王子の呪いを封じるのに、昨夜はチカラを使ったけれど、あれは塔の結界内だったし、事情が事情だから言い逃れできるだろう。
 しかし。
 王宮は王宮魔術士の領域。
 部外者であるあたしがその中であからさまなチカラを振るうのって、ちょっとマズイ。
 でも、この期待に満ちた子供たちの瞳に抗うのもツラい。
 グエンドリン姫とフェリクス王子に纏わりつかれて困っていたあたしを助けてくれたのは、サロンの窓辺で静かに書物をお読みになられていたラウレス殿下だった。
「二人とも。義姉上はお怪我をなさっている、無理を申してはいけない。それに魔術なら魔術士たちにいつでも見せてもらえるだろう」
 十三才にしては落ち着いた冷静な声が弟妹たちに向けられるのを聞いて、あたしはこっそり驚いた。
 そのときのあたしの心境を表すなら、
 わー、しゃべったー。
 ……こんな感じ。
 だって、昨日の晩餐のときも、ラウレス殿下だけひとっことも話してくれなかったから、あたし、嫌われてるんだと思ってたのよ。
 変な魔女が自慢の兄上に取り入りやがって、とか思われてるんだろうなーって。
 だから、声が聞けてかつ庇うような発言をしてもらえたのが嬉しい。
 感謝を込めてニコリと微笑むとふいと目を逸らされた。
 ……照れ屋さんなのかしら。
「だって兄上、まじゅつとまほうは違うんだよー」
 膨れておっしゃる末王子に、あらよくご存じねー、と頭を撫でそうになった。しなかったけれども。
「現実に見て、魔術と魔法の違いが解るようになってからお願いしろ。グエン、お前も、空を飛びたいなどと言って困らせるんじゃない。知れて責を負うのは義姉上なんだからな」
 正論です、とっても正論です。
 しかしお子たちがそれに素直に従うわけもなく。
「じゃあおケガが治って、お父さまが“うん”と仰ったらよいでしょう? ね、お姉さま」
「ぼくもおねがいするっ」
 あはー、拒否権ないみたいー。
 トホホな気分でそう思った。
 けってーい! とはしゃぐ弟妹を呆れたように見やって、父上よりイディ兄上が問題だろう、と呟かれたのは聞かなかったことにする。
「やほー、義姉上~。チビたちのお守りしてくれて有難う、でもあんまりなつかせると兄上がヤキモチ妬くよ?」
 どことなくやつれたサウスリード殿下が、そんな軽口を叩きながら部屋へ入ってきた。背後に、黄と銀の帯を身につけた人物を連れて。
 敷物の上に座って、姫君たちに絵本を読んで差し上げていたあたしは慌てて立ち上がる。
 この国で、魔術士のローブに黄と銀の帯を着けた方と言ったら、決まってる。
「魔術士長どの」
 片手を吊っているため、軽く膝を折る簡易礼しか取れないのが申し訳ない。
 魔術士長どのはうちの鬼母、もとい長も敬意を表されるかたなのだ。
 こうして間近にお会いするのは初めて。
 ダンディー! ご年配の方なのになんて覇気があって澄んだ魔力をお持ちなの、お素敵ー!
 ああん杖を出して最敬礼でお迎えしたかったー!
「いやいや妃殿下、こちらが礼を取らねばならぬ身、畏まられることはない。殿下方、義姉様をお借りして宜しいですかな?」
 しばしブーイングをかまされたお子たちだったが、ちょーが言うなら仕方ない、ちゃんと返してねー、と、譲り渡される。
 あたしオモチャ? オモチャ扱いですか?
 少し心配そうなラウレス殿下に見送られ、あたしはサロンを後にした。

 そうして案内されたのは、
 え、ええー、あたしがここ入っていいんですかー、な、魔術省庁の奥も奥、長どのの執務室だった。
 い、居心地悪。
 気負いも何もないサウスリード殿下と、ニコニコと好意を向けてくださる長どのがいるから、探るような、まわりの術士さんたちの視線にも辛うじて耐えられる、けれども。
「ラシェレット卿から助言を頂きましてな。なんでも、王宮の結界に綻びを感じられたとか」
 ひい。親父め、余計なこと言ってないでしょうね。下っぱ連中にどう思われようが構わないけど、長どのにヤな娘だって思われたらショックだしー。
 見当違いにドキドキしているあたしには気付かず、長どのは側近の方が差し出した紙を卓上に広げた。
 王宮の、簡易地図。
「改めて調べてみましたら確かに数ヶ所緩んでいる場所がありまして。我々が確認し、直した箇所と相違ないか、妃殿下……いや、魔女どのに確かめていただけないかと」
 魔女どの、と呼ばれた瞬間背筋が伸びる。
 意識が切り替わるのが自分でもわかった。
 カノン・ラシェレットから魔女永和に。
 ザッと印のつけられた場所と、思識を拡げて感覚に触れる術式を読んで合わせていく。
 親父伝てでイヤミ言ったのはほんの数刻前なのに、仕事早いな。
 しかも、魔術士にとっていい印象はない魔女の意見を採り入れて、すぐ実行するなんてこの長どのじゃなかったらこうはならないだろう。
 だからあたしも敬意を示して、掟に触れない程度に助言する。
「ここと……ここ、見落とされていますよ。あと、直されたこちらは良いんですが、引きずられて反対側の術式が歪んでるようです。地下に気道が通っているため、この二ヵ所は同じ核を使われた方が良いかと。相乗して、術も強化できますから」
 部外者でもあるあたしに魔術省の手抜かりを指摘されるも同然なことに、苦々しげな視線が投げ掛けられる。
 長どのと、あたしが視るかぎりバランスのよい魔力を巡らせている数人だけが納得したように頷いた。
 魔術士としての良し悪しがわかるこの反応。
 どうもあたしに反感を抱くのは、若い術士に片寄っているようだ。
 なんだろな、アレかな、やっぱり外見小娘なせいかな。
 侮られているんだろうな。
 ある程度お年を召していらっしゃる方々は、たぶん、二十数年前にあった戦を経験されているからだろう、緋の魔女がどういう存在かご存知なのだ。
 だから割合、すんなりあたしの言うことを受け入れられている。
 こればっかりは仕方ない。
 今さら年齢に見合った外見になれるわけでもないし、なれるものならこっちがなりたい。
 いつものように、異分子を見る目は意識の外に受け流した。
「ジーさん、そろそろ」
「そうですな、イーディアス殿下に本気で怒られると寿命が縮まりますからな。――永和どの、有難うございました。また何かあれば、ご助言いただきたく」
「わたくしでお役に立てることが御座いましたら、いつでも」
 サウスリード殿下のジーさん発言にオイコラと内心ツッコミを入れつつ、ニコリと微笑んで礼をした。
 一拍遅れて、寿命が縮まる怒れる殿下って? と疑問が浮かび上がったけれど、――扉の外に出て、その言葉の意味を理解する。
 ええええ、確かに!
 長どの、寿命が縮まります!
 暗雲を背負った黒の軍服姿の夫が、そこに数人の供を従えてあたしたちを待ち構えていたのだ。
 
「サウスリード、……お前は」
 低く呟いた王子の深い紫水晶が、あたしの手を引いてエスコートして下さってた弟殿下を睨み据える。
 びくっ! と肩をびくつかせたサウスリード殿下が慌てて弁明を始めて。
「いや兄上! これはれっきとしたお仕事ですヨ!? 魔術士長の要請があったワケだし、義姉上にはちゃんとボクが護衛に付いていましたから! ね、ね、義姉上っ?」
 同意して! オネガイ! という必死の眼差しにコクコクあたしも頷いた。
「護衛がお前で私が安心できるか」
 冷たくそう言い放った王子が長衣を翻しこちらへ近付く――と、浮き上がった視界に今度はあたしが焦る。
「お、王子っ……!」
「暴れると危ないですよ、姫」
 慌てふためくあたしにサラリと微笑み、至近距離で蕩けそうな甘い声を出されて。
 こんなところでお姫様抱っこ! 恥ずかしいから下ろしてええっ!
 救いを求めてさ迷わせた目はことごとく逸らされる。
 何なのみんなしてー! その“ボクなんにも見てません”的態度はー!
 周囲の裏切りにぷるぷる震えるあたしをどう思ったのかキュッと抱く腕に力が入る。
 だ、旦那様、何故にそんなにご機嫌なのですか。
 皆様が見て見ぬふりをしてるからといって、髪とかこめかみにチューするのは止めてください。
 ふうヤレヤレ助かった、と言うようにそ知らぬふりで離れていこうとする弟殿下を王子が呼び止める。
「サウスリード。久しぶりに稽古を付けてやろう、来なさい」
 ……王子はにこやかに仰ったというのに、サウスリード殿下の顔色がものすごーく優れないのはどうしてなのかしら。
 王子の部下らしき黒軍服の青年たちに励ますよう肩を叩かれ、サウスリード殿下はガックリと項垂れた。
 
 結局その日も王宮に滞在することになり、ご兄弟たちと晩餐を楽しんだあと。
(取りあえず双子殿下のおねだりは、王子の笑顔の“駄目です”にて却下され、あたしは胸を撫で下ろした。ラウレス殿下がまた無口になられていたのが謎だけど。そしてサウスリード殿下と言えば昼間王子にしごかれまくったせいか姿が見えなかった)
 昨夜をなぞったように浴室で侍女の方々に隅から隅まで磨かれ、疲れはてたあたしは部屋に入るなり寝台に倒れ込んだ。
 明日っ……、明日は絶対に帰る!
 王妃さまに引き留められようが下の殿下方にねだられようがもうおうち帰るーーー!
 始終誰かに見られている王族の生活は、伯爵家の姫といっても放任で育てられたあたしには向いてないと骨身に知れた。
 肩が凝るし気が休まらない。
 ほんと、王子が婿入りと言う形でうちに来てくれて助かった。
 王宮に嫁入りだったら数日しないうちにあたし離婚を考えてたわよ。
 カタリと静かに誰かが入ってくるのに気付いて、ウトウトしていたあたしは目を開けた。
「……カノンどの? 上掛けの中に入らねば風邪を引きます」
 笑みを含んだ柔らかな声が降ってくるのと同時に、髪を柔らかくすかれる。
 コシコシ目を擦りながら起き上がったあたしはボンヤリ王子を見上げた。
「ン……」
 苦笑の気配と共に落ちてくる口づけ。
「――そんなに無防備にされると……止まりませんよ……?」
 ……止まらない? 止める、必要があるの?
 寝ぼけた頭がそう言って、ついばむように与えられるキスを受けるままになっていた。
 それが段々と深くなって、寝ぼけとは違う理由でボンヤリしてきた。
 包帯を巻かれた手を取られ、感じるか感じないかのキス。
「……、お、うじ……」
「こんな小さな手で……世界を守られているんですね」
 ホロリと、自分の内で堅く抑えていた何かが崩れるのを感じた。
 魔女のあたしに魔法をかけるアメジスト。
 最初から、囚われていたのかもしれない。
 首筋を銀の髪がくすぐって、あたしは身をすくめた。胸のリボンをほどかれて、簡単に肌が露になる。
 昨日も思ったけど、なんでこんな頼りない寝間着なのかしら。寝てる間にはだけちゃうじゃない?
 と、余所事を考えていられたのはそこまでだった。
 素肌を這っていた唇が、時折強い刺激を送ってくるのに、あることを思い出してあたしは王子の髪を引っ張った。
「っ、ぁ……、あと、つけちゃダメ……っ」
「……なぜ?」
「侍女さんたちにっ、見られると、恥ずかしいでしょっ……」
 一瞬虚を突かれたように丸くなった瞳が、真っ赤になってるあたしを写す。
 パタリと王子の頭が伏せられ、次にクスクスと笑いに揺れた。
 響いて、くすぐったいってば。
「そんなにかわいいことを仰らないで下さい……、必死で抑えているのに」
「な、……ひゃんっ?!」
 からかうな、と文句を言おうと開いた唇から高い声が漏れる。
 ふくらみの頂点を吸われて、体が跳ねた。
「ダ、メっ……やぁ……」
 甘い痺れに支配される。
 肌を舐める合間にささやかれる言葉にも震えてしまう。
 まだちょっと覚悟ができてないんだけど、このまま流されちゃってもいいような気がしないでもないけど、今さら王子止まんないだろうし、いやでもっっ……!
 あ~、もういいや……、と身体のチカラを抜いて流されてしまおう、と決心したとき。
 扉の外が騒がしくなった。
 王子もそれに気付き、身を起こす。乱れたあたしの衣を整え寝台の傍に置いた剣を手にして。
 様子を探る間もなく、駄目です、と引き留める侍女さんや宿直兵を押し退けて扉を開けたのは―――
「おねえさまっっ!」
「あーにーうーえー」
 ――ヒラヒラフリルのついた枕をそれぞれ抱えた、双子殿下だった。

「お姉さま、あしたお帰りになるっておききしたから、ごいっしょに眠ろうと思って!」
「てー!」
「お兄さまばかりお姉さまをひとりじめしてズルいと思いますの」
「ズルいー」
 頭を抱える王子は目に入らないのか、二人は寝台によじ登り、あたしの両隣に陣取って捲し立てる。
 扉で右往左往している人々に下がってよい、と合図をして、王子は諦めたようなため息を吐いた。
 ええと。
「甘やかせ過ぎました……、教育係にひとこと言っておかねば……独り占めもなにもカノンどのは私の妻であって……」
 ぶつぶつ言いながら上掛けをキチンと掛けてやるお兄ちゃんぶり。子どもたちはキャッキャとはしゃぐ。
 弟王子を挟んで向こう側、拗ねた瞳をした旦那様に小さく笑って。
 ひとまず、二人きりの夜はお預けと相成ったのでありました―――。

 ちょっとだけホッとした、なんて言ったら、また拗ねるかしら? 

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