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61.かなり照れました
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目が覚めると、また隼の腕の中で、先に目覚めていた隼と目があった。
「おはよう譲」
「お、おはよう隼」
昨夜はあの後もう一度風呂に入り、今度は普通に洗ってもらい(いや、洗ってもらうのは普通じゃないか…)大人しく眠りについた。…昨日はなんとも濃い一日だった。けど、幸せな一日でもあった。
「ふふ、朝起きたら腕の中に譲がいるって幸せ」
髪の毛に顔を埋め、隼が抱きしめてきた。
「お、俺も…幸せ…」
隼が好きだと自覚して間もないけど、幸せなんだと思ったら、口にしていた。
「…嬉しい」
額にチュッとキスをされ、顔を上げたら口にチュッとキスもされた。
「そ、そろそろ起きて仕度しないと」
「そうだね。朝ごはんの仕度もしないとね」
恥ずかしくて、起きる口実を口にして隼から顔を背け起き上がる。
「朝ごはんの用意するから、譲は出勤の仕度してきて」
「う、うん」
案外すんなりと聞き入れてもらえて少し肩透かしを感じたが、ベッドから降りて振り向くと、バスローブを脱いだ全裸の隼の後ろ姿が目に入った。くるっと隼の顔が振り向いてバチッと目が合ってしまった。
「し、仕度してくる!」
バスローブが開けるのも気にせず、俺はその場から逃げるように自分の部屋へと駆け出した。扉を閉めて、ドアを背にその場に座り込む。
(裸見ただけで勃起とか、童貞かよ!)
頭をガシガシとかいて、深呼吸を何度かして気持ちを落ち着かせる。
「…ふ~っ…」
何とか落ち着きを取り戻し、立ち上がりバスローブを脱ぐと自分も全裸な事に今更気が付く。クローゼットの引き出しから下着を出し、履くときに体のあちこちに赤い跡があることに気が付いた。
「これって…。隼~…」
鏡を見ると、絶妙に服で隠れるところギリギリまでキスマークが付けられていた。一体いつの間にこんなに付けたのだろう…。それに気が付かなかった俺も俺だけど…。ワイシャツに袖を通し、スラックスを履き、ジャケットと鞄を持って部屋を出る。
「もうすぐ出来るからね」
「ああ。ありがとう」
キッチンを通り過ぎ、洗面所へ移動する。顔を洗い髪をセットして準備完了。…念のため首の辺りのチェックもしておいた。
「大丈夫そう…かな」
リビングに戻ると、コーヒーの香りが部屋に広がっていた。
「はい。今朝は簡単でごめんね」
テーブルには、コーヒーにトースト、スクランブルエッグとウインナーとプチトマト。後、ジャムを添えたヨーグルト。いや、普通に喫茶店のモーニングなみ。隼のスペック恐るべし…。
「全然。俺一人だとこんな朝食してないよ」
「良かった。あ、お弁当詰めるから先に食べて」
「今日ぐらいいいのに…」
「だ~め!譲は目を離すと食べないか、ファーストフード食べてそうだもん」
「あ~…何でわかった?」
「だって、お弁当箱持って無かったでしょ?自炊は夕食メインだなって」
「はは…。すごい洞察力だな」
「なので、お弁当は休まないよ。…虫よけにもなるしね」
「ん?何か言った?」
「何も。ほら、早く食べないと遅刻しちゃうよ?」
時計を見ると、家を出るまで後30分も無かった。
「やばっ!」
行儀は悪いが、急いで用意してくれた朝食を完食してコーヒーを流し込む。コーヒーはゆっくり味わいたかったが仕方ない…。
「ごちそうさま!片付け、ごめん!夜はするから!」
ジャケットと鞄を抱えて玄関に向かうと、後ろから隼が追いかけてきた。
「お弁当!言った側から忘れてるよ」
「ご、ごめん」
靴を履いた後受け取り、鞄に入れる。
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
どちらからともなく、顔を寄せ、キスをした。
「きょ、今日は早く帰れると思う」
「うん、待ってるね」
急に恥ずかしくなり、玄関を飛び出た俺。いつも見送りはしてくれたいたけど、恋人の見送りはまた違う物なんだと実感した。
「おはよう譲」
「お、おはよう隼」
昨夜はあの後もう一度風呂に入り、今度は普通に洗ってもらい(いや、洗ってもらうのは普通じゃないか…)大人しく眠りについた。…昨日はなんとも濃い一日だった。けど、幸せな一日でもあった。
「ふふ、朝起きたら腕の中に譲がいるって幸せ」
髪の毛に顔を埋め、隼が抱きしめてきた。
「お、俺も…幸せ…」
隼が好きだと自覚して間もないけど、幸せなんだと思ったら、口にしていた。
「…嬉しい」
額にチュッとキスをされ、顔を上げたら口にチュッとキスもされた。
「そ、そろそろ起きて仕度しないと」
「そうだね。朝ごはんの仕度もしないとね」
恥ずかしくて、起きる口実を口にして隼から顔を背け起き上がる。
「朝ごはんの用意するから、譲は出勤の仕度してきて」
「う、うん」
案外すんなりと聞き入れてもらえて少し肩透かしを感じたが、ベッドから降りて振り向くと、バスローブを脱いだ全裸の隼の後ろ姿が目に入った。くるっと隼の顔が振り向いてバチッと目が合ってしまった。
「し、仕度してくる!」
バスローブが開けるのも気にせず、俺はその場から逃げるように自分の部屋へと駆け出した。扉を閉めて、ドアを背にその場に座り込む。
(裸見ただけで勃起とか、童貞かよ!)
頭をガシガシとかいて、深呼吸を何度かして気持ちを落ち着かせる。
「…ふ~っ…」
何とか落ち着きを取り戻し、立ち上がりバスローブを脱ぐと自分も全裸な事に今更気が付く。クローゼットの引き出しから下着を出し、履くときに体のあちこちに赤い跡があることに気が付いた。
「これって…。隼~…」
鏡を見ると、絶妙に服で隠れるところギリギリまでキスマークが付けられていた。一体いつの間にこんなに付けたのだろう…。それに気が付かなかった俺も俺だけど…。ワイシャツに袖を通し、スラックスを履き、ジャケットと鞄を持って部屋を出る。
「もうすぐ出来るからね」
「ああ。ありがとう」
キッチンを通り過ぎ、洗面所へ移動する。顔を洗い髪をセットして準備完了。…念のため首の辺りのチェックもしておいた。
「大丈夫そう…かな」
リビングに戻ると、コーヒーの香りが部屋に広がっていた。
「はい。今朝は簡単でごめんね」
テーブルには、コーヒーにトースト、スクランブルエッグとウインナーとプチトマト。後、ジャムを添えたヨーグルト。いや、普通に喫茶店のモーニングなみ。隼のスペック恐るべし…。
「全然。俺一人だとこんな朝食してないよ」
「良かった。あ、お弁当詰めるから先に食べて」
「今日ぐらいいいのに…」
「だ~め!譲は目を離すと食べないか、ファーストフード食べてそうだもん」
「あ~…何でわかった?」
「だって、お弁当箱持って無かったでしょ?自炊は夕食メインだなって」
「はは…。すごい洞察力だな」
「なので、お弁当は休まないよ。…虫よけにもなるしね」
「ん?何か言った?」
「何も。ほら、早く食べないと遅刻しちゃうよ?」
時計を見ると、家を出るまで後30分も無かった。
「やばっ!」
行儀は悪いが、急いで用意してくれた朝食を完食してコーヒーを流し込む。コーヒーはゆっくり味わいたかったが仕方ない…。
「ごちそうさま!片付け、ごめん!夜はするから!」
ジャケットと鞄を抱えて玄関に向かうと、後ろから隼が追いかけてきた。
「お弁当!言った側から忘れてるよ」
「ご、ごめん」
靴を履いた後受け取り、鞄に入れる。
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
どちらからともなく、顔を寄せ、キスをした。
「きょ、今日は早く帰れると思う」
「うん、待ってるね」
急に恥ずかしくなり、玄関を飛び出た俺。いつも見送りはしてくれたいたけど、恋人の見送りはまた違う物なんだと実感した。
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