上 下
42 / 77

42.枕にされました

しおりを挟む
目が覚め、時計を見るとすでにお昼前だった。ベッドの下には昨夜着ていた服と…パンツ。当然全裸の俺。

「はぁ~…」

頭を掻きながら起き上がり、落ちている服とパンツを拾う。もらったはいいが、このパンツを履くときがあるのだろうか?と思う反面、昨夜の事を思い出し下半身が疼く自分もいる。

(いやいや、なに考えてるんだ俺!)

いつものパンツを履き、服を着て部屋を出た。

「あ、おはよう譲」
「おはよう隼」

隼はソファーでコーヒーを飲んで寛いでいた。

「コーヒーもらっていいか?」
「どうぞ~」

コーヒーメーカーに残っていたコーヒーをカップに注ぎ、不自然にならないようにソファーに座った。

「昨日は誕生日祝ってくれてありがとな」
「喜んでもらえて良かった」
「そう言えば、隼の誕生日っていつ?」
「俺?12月24日」
「クリスマスイブ?」
「そう。だから子供の時なんていつも一緒にお祝いだから、損した気分だったよ。周りはケーキ2回。プレゼント2回。なのに俺だけ何で1回なの?って泣いた時もあったかな。その分豪華だったとは思うけど、小さい時はそういう事じゃないんだよね~」
「わかる!子供の時は質より量なんだよな~」
「そうそう!ま、ある程度になれば価値もわかってきたから良いんだけどね」

…そっか、誕生日はイブなのか…。俺にしてくれたみたいに、サプライズで誕生日をお祝いしたら喜んでくれるかな。もちろんクリスマスとは別で。と、考えながらコーヒーを口にした。

「さてと、譲も起きたしお昼ごはんにしよっか?」
「あ、悪い…」
「ううん。俺も起きるの遅かったし。簡単な物で良い?」
「手伝うよ」

二人でキッチンへと移動して昼食の準備にとりかかった。昼食はオムライスになった。昨日の残ったチキンも使って玉ねぎと炒めてチキンライスに仕上げる。玉子は自分でしようと言うことになり、隼はふわとろオムライスを作り上げた。俺はそんな器用なことは出来ないので、普通にチキンライスを玉子で包んだ。…ま、失敗したけど。

「じゃ、譲はこっちね」

そう言って、隼は自分と俺のオムライスを交換した。

「え?いや、それは…」
「いっただきま~す!」

パクっと、素早く口にして美味しそうに咀嚼している。

「うん!美味しい!」
「まったく…」

結局、俺は隼が勝手に交換したふわとろオムライスを頂くことにした。玉子のふわとろ加減が絶妙であっという間に完食してしまった。食後のデザートと言うわけではないが、昨日の残ったケーキを二人で食べた。

「「ごちそうさまでした」」
「片づけ俺がするよ」
「ありがと。じゃ、任せるね」

お皿とスプーン、フォークだけなので洗い物はすぐに終わった。さて、昼からどうするかな…。
タオルで手を拭きながらリビングを見ると、隼はソファーに凭れてテレビを見ているようだった。

「何見てるんだ?」
「あ、前に見逃したドラマがネットに上がってて、見ようかなって」
「そうなんだ」

特にすることも無いので、俺もソファーに座り一緒にドラマを見ることにした。
ドラマはよくある恋愛ものだった。しばらくすると、隣で隼がウトウトしているのに気が付いた。

「隼?眠いなら部屋に…」

声を掛けたらそのまま俺の方に倒れてきて、ポスンと膝枕の状態になってしまった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

【創作BL】彼パパの催眠猛特訓は効果抜群です!

めめもっち
BL
名前あり。NTR注意。 純情攻め正規彼氏「タツマ」 狡猾攻めNTR彼パパ「タマキ」   ✖ 平凡受け「ユーマ」 ユーマとタツマは幼馴染である。幼馴染として確固たる友情を築き上げてきた二人だったが、受けのユーマが高校生の頃に段々とタツマへの恋心を抱いていく。同性だからと想いを隠し通そうと思っていたユーマだったが、大学生に上がった頃、その想いが叶う事になる──。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

【BL】攻めの将来の為に身を引こうとしたら更に執着されてハメられました

めめもっち
BL
名前無し。執着ハイスペ×地味な苦学生。身分格差。友達から始めた二人だったが、あまりにも仲良くしすぎて一線を越えてしまっていた。なすがまま流された受けはこのままでいいのだろうかと悩んでいた中、攻めの結婚を聞かされ、決断をする。 2023年9月16日付 BLランキング最高11位&女性向け小説96位 感謝! お気に入り、エール再生ありがとうございます!

解せない王子のことなんか

ぱんなこった。
BL
昔から目付きが悪いと言われ喧嘩を売られることが多かったヤンキー男子高校生、日内詩乃也(ひうちしのや)18歳。 中学から高校まで喧嘩は日常茶飯事で、学校でも周りから不良扱いされ恐れられていた。 そんなある夜。路地裏のゴミ箱にハマっていたところを、同じ高校の1つ年下内石波璃(うちいしはり)に目撃される。 高校でも有名な一流企業の息子で優等生の波璃と、ヤンキーで問題児の詩乃也。全くタイプが違う接点の無かった2人だが…。 ゴミ箱にハマって抜け出せない上に他校のヤンキーと警官に追いかけられていた詩乃也に、波璃は怖がるどころか「助けてあげるから僕と付き合ってほしい」と申し出て… 表紙/フリーイラスト ヒゴロ様

男子肛門性交合宿

ゆめゆき
BL
夏休み、なないろくらぶという特別合宿で、少年たちは大人の階段を登る

同じ穴の狢と狢

御藷いも
BL
高瀬渉は大学で知り合った湯野拓真と付き合っている。けれども拓真の渉に対する態度は褒められたものではなく粗雑で、全く隠すつもりもなく浮気すらする。渉と拓真が付き合っていると知っている友人はなぜ渉が別れないのか心配するほどだったが、渉は本当に拓真の態度を気にしていなかった。 拓真×渉です。 匂わせる程度に性的な表現があります。攻めの浮気表現がありますが、受けは言うほど可哀想ではないです。 他サイトでも掲載しています。

処理中です...