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13.餌付けされました
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リビングに戻ると、神宮寺がの口元が少しにやにやしているように見えた。
「…わざとだろ」
「あ、気が付いた?興味あるかと思って置いといたんだけど」
「だ、だから興味は無いから!」
「なんだ~残念。ま、気になったらいつでも聞いてよ!じゃ、出掛けよっか」
車のキーを指でクルクル回しながら、神宮寺は俺の肩を叩いて横をすり抜けて行った。
「まったく…」
何故か憎めない神宮寺の後ろを着いて行って、俺達は家を出た。
「お昼、俺の行きつけでもいいかな?イタリアンカフェなんだけど、ピザとパスタが絶品なんだ!」
「いいね。俺、パスタ好きなんだよ」
「良かった~。羽柴も気に入ると思うよ!」
車で走る事20分。レンガ造りの外観に緑に屋根。そして観葉植物で覆われたオープンテラスと、落ち着いた雰囲気の店に到着した。
「へ~こんな店あったんだ」
「なかなかいい感じだろ?」
「ああ」
ドアベルがカランと鳴り、中に入ると一人の男性がお辞儀をして出迎えてくれた。
「お待ちしておりました神宮寺様。お席へご案内いたします」
「ありがとう」
案内された席は、パーテンションで仕切られたオープンテラスの一席だった。屋根が付いていて四阿になっている。席に着くと、グラスとおしぼりが置かれた。
「ご注文はいかがなされますか?」
「ん~決まったら呼ぶよ」
「畏まりました」
一礼して、その男性は下がっていった。
「神宮寺、そんなに常連なの?」
「ああ、まあね。それより、どれにする?俺のおすすめはペスカトーレなんだけどさ!」
「お、旨そうだな!こっちの牛肉ときのこのパスタも旨そうだな~」
「なら、シェアして食べようよ。後は、定番のマルゲリータとガーリックトースト。食後はジェラートで良いか?」
「ああ」
「よし、決まり!」
テーブルのベルを押すと、さっきの男性が席にやって来た。
「お決まりですか?」
「うん。これと…」
「畏まりました。少々お待ち下さい」
喉が渇いた俺は、グラスの水を口にした。
「あ、この水ミントが少し入ってる。口の中がさっぱりしていいな」
「珍しいよね。レモン水はあるけど、俺はこっちが好きかな」
「うん、俺もこっちかな」
暫くすると、注文の料理が運ばれてきた。テーブルの横には水の入ったガラスのピッチャーが氷の入った器にセットされた。
「食後のデザートは後ほどお持ち致します。ごゆっくりどうぞ」
丁寧にお辞儀をして男性は去っていった。
「なんか、離れで食事してるみたいだな」
「静かに食事ができていいだろ?」
「うん、いい店だな」
慣れた手つきで、神宮寺が取り皿にパスタを盛り付けてくれる。きっと彼女にもこんなに優しくしてたんだろうなぁ。
「さ、食べよう」
「うん、ありがとな」
「「いただきます」」
神宮寺おすすめのペスカトーレから口にする。
「うっま~!こんなに海老が濃厚なの初めて食べたよ」
「気に入ってもらえて良かった!また来ような羽柴」
「ああ、今度はクリーム系で攻めるのも良いな!」
食事が進むと会話も弾み、気が付けば目の前にはジェラートとコーヒーが出されていた。
「このジェラート、濃厚なのにさっぱりして食後にぴったりだな」
「いくらでもいけそうだろ?」
「ほんとそれ!」
最期にコーヒーを口にすると、どこかで口にした味がした。
「ん?これ神宮寺の家のコーヒーと同じ?」
「よくわかったね!実はここのオリジナルブレンドの豆を特別にもらってるんだ」
「へ~じゃあ他所では飲めないんだな」
「羽柴には俺がいつでも淹れてあげるから、飲みたくなったら言って!」
「あ、ああ。サンキュ」
何か、もの凄く尽くされてる感があるけど、気のせいかな…?
「…わざとだろ」
「あ、気が付いた?興味あるかと思って置いといたんだけど」
「だ、だから興味は無いから!」
「なんだ~残念。ま、気になったらいつでも聞いてよ!じゃ、出掛けよっか」
車のキーを指でクルクル回しながら、神宮寺は俺の肩を叩いて横をすり抜けて行った。
「まったく…」
何故か憎めない神宮寺の後ろを着いて行って、俺達は家を出た。
「お昼、俺の行きつけでもいいかな?イタリアンカフェなんだけど、ピザとパスタが絶品なんだ!」
「いいね。俺、パスタ好きなんだよ」
「良かった~。羽柴も気に入ると思うよ!」
車で走る事20分。レンガ造りの外観に緑に屋根。そして観葉植物で覆われたオープンテラスと、落ち着いた雰囲気の店に到着した。
「へ~こんな店あったんだ」
「なかなかいい感じだろ?」
「ああ」
ドアベルがカランと鳴り、中に入ると一人の男性がお辞儀をして出迎えてくれた。
「お待ちしておりました神宮寺様。お席へご案内いたします」
「ありがとう」
案内された席は、パーテンションで仕切られたオープンテラスの一席だった。屋根が付いていて四阿になっている。席に着くと、グラスとおしぼりが置かれた。
「ご注文はいかがなされますか?」
「ん~決まったら呼ぶよ」
「畏まりました」
一礼して、その男性は下がっていった。
「神宮寺、そんなに常連なの?」
「ああ、まあね。それより、どれにする?俺のおすすめはペスカトーレなんだけどさ!」
「お、旨そうだな!こっちの牛肉ときのこのパスタも旨そうだな~」
「なら、シェアして食べようよ。後は、定番のマルゲリータとガーリックトースト。食後はジェラートで良いか?」
「ああ」
「よし、決まり!」
テーブルのベルを押すと、さっきの男性が席にやって来た。
「お決まりですか?」
「うん。これと…」
「畏まりました。少々お待ち下さい」
喉が渇いた俺は、グラスの水を口にした。
「あ、この水ミントが少し入ってる。口の中がさっぱりしていいな」
「珍しいよね。レモン水はあるけど、俺はこっちが好きかな」
「うん、俺もこっちかな」
暫くすると、注文の料理が運ばれてきた。テーブルの横には水の入ったガラスのピッチャーが氷の入った器にセットされた。
「食後のデザートは後ほどお持ち致します。ごゆっくりどうぞ」
丁寧にお辞儀をして男性は去っていった。
「なんか、離れで食事してるみたいだな」
「静かに食事ができていいだろ?」
「うん、いい店だな」
慣れた手つきで、神宮寺が取り皿にパスタを盛り付けてくれる。きっと彼女にもこんなに優しくしてたんだろうなぁ。
「さ、食べよう」
「うん、ありがとな」
「「いただきます」」
神宮寺おすすめのペスカトーレから口にする。
「うっま~!こんなに海老が濃厚なの初めて食べたよ」
「気に入ってもらえて良かった!また来ような羽柴」
「ああ、今度はクリーム系で攻めるのも良いな!」
食事が進むと会話も弾み、気が付けば目の前にはジェラートとコーヒーが出されていた。
「このジェラート、濃厚なのにさっぱりして食後にぴったりだな」
「いくらでもいけそうだろ?」
「ほんとそれ!」
最期にコーヒーを口にすると、どこかで口にした味がした。
「ん?これ神宮寺の家のコーヒーと同じ?」
「よくわかったね!実はここのオリジナルブレンドの豆を特別にもらってるんだ」
「へ~じゃあ他所では飲めないんだな」
「羽柴には俺がいつでも淹れてあげるから、飲みたくなったら言って!」
「あ、ああ。サンキュ」
何か、もの凄く尽くされてる感があるけど、気のせいかな…?
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