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「悪いな、車まで出してもらって」
「気にすんなって。荷物運ぶには車の方が便利だろ」

結局、彼女と乗った車を運転する気になれず、車も売ることに決めた。なので荷物をどうしようか悩んでいると、「俺の車で運べはいいじゃん」と言って神宮寺が車を出してくれた。

「しっかし、彼女まだ既読つかないの?」
「ああ。今行くのは気が進まないけどな…」

昨夜送ったメッセージは、今も全て未読のまま。おそらくまだ男と家に居るだろうことは予測が付く。気が重いが、現場に踏み込めば言い逃れは出来ないだろう。

「俺も一緒に部屋に行くよ。口は出さない様にするからさ」
「けど…」
「第三者がいたほうが便利だって」
「何から何まで悪いな」
「その代わり、今晩、羽柴の奢りな!」
「ああ、まかせとけ」

程なくしてマンションに到着した俺達は、ドアの前でタイミングを見計らっていた。何度か深呼吸をし、ゴクリと唾を飲みこむ。意を決して鍵を開錠し、神宮寺と頷き合いゆっくりと扉を開け中に入る。思った通り、玄関には二足の靴が昨日のまま並んでいた。

(堂々としたもんだね~)
(まだ海外と思ってるからな)

こそこそと話すと、日中にも関わらず女の甘ったるい声が聞こえてきた。

「はぁん!レオ、もっと突いて~!!」
「あぁ、あぁ、エミリさんだめ、出ちゃう…!!」
「出して!私の中に出して~!!」

「…何を出すんだ?」

ガチャッとドアを開け中を見ると、全裸で男の上に跨り、足をM字に開脚し、繋がっている所が丸見えのカノ…もとい元彼女エミリと目が合った。

「…え?…ゆず…る??」
「あっ!エミリさん出る!!」
「まっ…!あ、あぁ!」

エミリが目を見開き、腰の動きを止めた瞬間、男は達したようでエミリの腰を掴んで中に注いでいる。エミリは中に射精され、顔は呆然としながらも体をビクビクと震わせていた。

「エミリさん、いっぱい出た…エミリさん?」

エミリの様子がおかしい事に気づいた男は、エミリの視線を追ってこちらを見た。

「えっ?!だ、誰??何で部屋に???」

キョロキョロと俺とエミリを見る男は、二十歳くらいのかわいい顔をした青年だった。

(ん?この様子だと、こいつは何も知らないみたいだな…)

「い、いつ…」
「とりあえず、服を着てくれないか?そのままでも良いなら構わないが…」
「うわ~なんかAV撮影見てるみたい!」

俺の後ろから、ひょっこりと顔を出し爆弾を投下する神宮寺。その瞬間、他にも人が居ると思わなかったエミリは、青年から慌てて体を離し、シーツにくるまり一先ず裸を隠した。情況が飲み込めていない青年も、さすがに裸は恥ずかしくなり布団にくるまった。真っ白な顔で震えているエミリと、どうしていいか分からない青年。さて、なんて言い訳してくるのだろうか。

「清楚な顔して、ヤリマンなんだねエミリちゃん」

…口を出し過ぎだ神宮寺……。
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