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国盗り編

逃亡者、部屋割りをする

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小山君と戦ってから少しして、委員長達は予定を決めたようだ。

「影宮君達と一緒に行くわ」

「皇帝には会わなくていいの?」

「王国の事は影宮君がなんとかしてくれるんでしょ?なら皇帝に用事はないわ」
確かにそうかもしれない。

「なら一緒に行こうか」
委員長達もミハイル様の街に行くことになった。

「それでどうやって行くの?歩いて行くには少し遠いわよね?」

「待ってれば馬車がくるよ」
昨日のうちに皇帝に馬車を頼んである。
帝都からは少し離れているのでまだ来ていないが、待っていれば来るだろう。

「どういうこと?」

「僕のスキルで皇帝に馬車の手配を頼んだから。今こっちに向かってるよ」

「影宮君、皇帝にそんなこと頼んでいいの?」

「そのくらい大丈夫だよ。皇帝にはもっと貸しがあるから」

皇帝には少なくてもエミルの件とSランクのチンピラの件で貸しがあるはずだ。
あとはこれから王国と戦うことも貸しになる。

貸しが溜まりすぎないように少しずつ返してもらっているだけだ。

馬車が来る間の待ち時間にその辺りをみんなに説明した。
昨日は、僕が魔王城を探しているフリをしている頃の話はあまりしていなかった。

しばらくして馬車が到着したので乗り込んでミハイル様の街に行ってもらう。

野営しつつしばらく進み、ミハイル様の街に着いた。

とりあえず、フィルの屋敷に行くか。
さすがに8人分も部屋は空いてないよね?

着いたのは昼間だったけど、フィルは屋敷に居た。
僕との約束を守ってダンジョンには行っていないようだ。

「ただいま!仕事はどう?」
僕はフィルに聞く

「あ、ハイトさん。おかえりなさい。暇を持て余してますよ」

「その暇な時間が本当の休息だよ」

「そうなんですかね……。それでその人達は誰ですか?」

「紹介するね」
僕はフィルに委員長達を紹介す?

「それで今部屋って空いてる?」

「空いてるのは2部屋だけです」

「その部屋って広いの?」

「広くはないです。他の部屋とあんまり変わりません」
そうなると8人はキツいな。

「姫野さんはミハイル様の所かな?」

「はい、そうです」
僕はミハイル様に念話で姫野さんを屋敷に戻すように言う

少しして姫野さんが帰ってきた。

「急に呼んでごめんね」

「別にいいわよ。それよりも本当に生きてたのね。良かった……」
委員長達のことを知ってはいても、実際に会って安心したようだ。

「姫野さんにお願いがあるんだけど、委員長達と合流出来たんだけど部屋が空いてないんだよ。姫野さん、相部屋になってもいい?」

「それなら私がお兄ちゃんと一緒の部屋でいいよ」
姫野さんに聞いたのにミアが答えた。

「あの部屋は僕専用だからダメだよ」
ミアへの気持ちがよくわからない以上、部屋は分けたほうがいい

「えー。ケチ」

「それでどうかな?」
僕はミアを置いといて姫野さんにもう一度聞く

「私は構わないわよ。私も貸してもらってるだけで居候だもの」

「なら先生は姫野さんと同じ部屋でお願いします。委員長達は2部屋を4人で使ってね」
僕は部屋を割り振る。
先生を姫野さんと同じ部屋にしたのは心のケアを頼みたいからだ。大分安定したとは思うけど、まだ暗い顔をしているのをよく見かける。
こういうのは先生が適任だと思う。

「ちょっと待ってよ。僕達は?」
小山君が言う。

「空いている部屋がないんだから仕方ないよ。宿屋を借りてよ」
これは仕方ない。空き部屋がないなら姫野さんみたいに相部屋を頼むしかないけど、使っているメンバーを考えると余裕があるのは僕とミアの部屋だけだ。

「なんとかならないのか?別に宿が嫌というわけではないけどさ」

フィルは遠慮したのか狭い部屋を使っているし、フェンはボルグさんの息子と同じ部屋を子供部屋として使っている。
ボルグさんはもう1人の雇ってる獣人の人と同じ部屋だし、クルト達はパーティで用途ごとに部屋を使い分けている。それから物も多い。
サラさんは1人で部屋を使っているけど、使用人としての道具も置いているからスペースがない。

僕の部屋は趣味の部屋だし、ミアを断って小山君達を入れるのは良くない。
もちろんミアと小山達が同室なのはありえない。

うん、やっぱり仕方ない。

「無理だよ。部屋が空いてないんだから。領主様の屋敷になら空き部屋はあると思うけど、宿屋とどっちがいい?」

「…………宿屋で頼むよ」

「そっか。紹介できる宿屋はないから自分達で探してね」
僕とミアが以前泊まっていた宿屋は獣人を差別していた所だった。
今どうなっているかは知らないけど、紹介する気にはなれない。

「冷たいなぁ」
小山君はそう言いながら3人で宿屋を探しに行こうとしたので、食事は小山君達の分も用意するからと言っておいた。

別に小山君達に冷たくしようとしているわけではないので許して欲しい。

「それじゃあ、僕は部屋でのんびりしてるから何かあったら呼んでね」
僕はフィルの見本となるため、部屋でぐーたら過ごすことにする。

そういえばさっきサラさんがいなかったな。
買い物にでも行ってるのかな?
そうだとしたら人数が一気に増えたことを伝えないといけない

ぐーたらすると決めたから動きたくはないけど、このままだとサラさんに迷惑をかけることになってしまう。

僕はサラさんに念話で何をしているのか聞く。
聞いて良かった。食材の買い物をしている途中だった。
市場にいるとのことだったので、僕は市場へと向かう。

買ってきてもらうにも増えた人数が多いので、荷物を持った方が良いと思ったからだ。

市場に行きサラさんと合流する。

サラさんに泊まっている人数が増えたことを伝える。

「部屋が全部埋まったんですね」

「そうです。2人部屋として使ってもらって、姫野さんの部屋も2人部屋になりました」

「わかりました」

「仕事を増やしてしまってすみません」

「問題ありませんよ。皆さん手伝ってくれますから。ハイトさんも荷物を持ちにきてくれたんですよね?」

「あの屋敷はフィルの物だと言いつつ、僕が連れてきた人ばかりになってしまってますからね。迷惑を掛けてばかりではいられないと思っただけです」

他愛もない話もしながらサラさんの買い出しを手伝う。

買い出しを終えて、屋敷に戻る。
食事の時間になったので、食堂に集まった時にマズいことに気づいた。
まず小山君達の食事を用意すると言ったけど、用意していない。
そして席も空いていない。

これは僕がサラさんに屋敷に増えた人数を説明する時に、食事はさらに3人増えると言わなかったからだ。

僕は誤魔化すために、客間に3人分の食事を収納から取り出して並べて小山君達を呼ぶことにした。

部屋が違えば、料理が違うことにも気づかないだろう。

小山君達が来たので、僕は客間に案内する。

「食堂に入りきれなくてここになっちゃったよ。今日だけだからごめんね」
僕は嘘をついて謝る。

「急だったから仕方ないよ。用意してくれただけで嬉しいよ」
小山君はそう言った。

僕は良心が痛みつつも食堂に行きみんなで食事を食べた。

翌日、ふとした会話から小山君達だけ料理が違ったことがバレて、忘れられたていたと落ち込まれることを僕はまだ知らない
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