上 下
81 / 147
奔走編

逃亡者、ミコちゃんに会う

しおりを挟む
サクヤさんの故郷に到着する

「ようこそエド村へ」
サクヤさんが村に入って僕達を歓迎する

エド村か……トランプの事もあるし、これはもう確定だろう

「とりあえず、村長の所に挨拶に行こうか」
サクヤさんに連れられて村長に会いに行く

村長から滞在の許可をもらう。
村長の家に泊まっていいと言われたけど、気を使うので空き家を借りることにした。

村長に他の大陸の事を聞くけど、村長もよくは知らないようだ。
知ってる範囲で教えてもらった。

ここから、確かに海の向こうに大陸があるように見えるけど、船で向かっても一向に辿りつかないらしい。

昔、冒険者が数年かけて船を漕ぎ続けたことがあるらしい。
その時はこの大陸の反対側に着いたらしい。

もしかしたら幻覚か何かを見せられているのかも……
謎は深まるばかりである。

でも、魔王城に行くには許可がいるって言ってたから、もしかしたら、許可を得ている僕は辿り着けるかもしれない。
魔王城と関係なくても気になるので行ってみたいな

村の名前の由来を聞いたら、200年程前にこの村を開拓した人がつけたらしい。
多分、その人が日本人だ

村長がその人の子孫だと思ったけど違った。

子孫は今から会うつもりでいたミコト様らしい

村長にお礼を言って外に出る

「それじゃあ、ミコちゃ…ミコト様の所に案内しますね」

「別に愛称で呼んでも、僕達は気にしませんよ?」

「いえ、ミコト様は村人から崇拝されていますので聞かれたら厄介なことになるかもしれません」
聖人君主みたいな人なのだろうか?

「そうなんだね…」

僕達はミコト様の家……というか屋敷に案内された。

明らかに村長の家よりも大きいんだけど……

「ここにミコト様がいるの?」

「はい、まずは私が話をしてきますので少し待っていて下さい」
サクヤさんが屋敷の中に入っていく。
僕達は言われた通り、屋敷の前で待つ

屋敷の中でドタバタと音が聞こえるけど大丈夫なのだろうか?

しばらくしてサクヤさんが戻ってきた。
なんだか疲れた様子で

「大丈夫ですか?なんだか騒がしかったですけど…?」

「大丈夫ですので気にしないで下さい。中へどうぞ」

僕達はサクヤさんに連れられて屋敷の中に入る

屋敷の奥の方の部屋に案内されて入ると、そこに女性が座っていた

この人がミコト様か…

ミコト様は着物を着て髪に櫛を挿している。

昔の日本人の格好ってこんなだったのかな?異世界にいるせいか違和感しかない

「はじめまして、ミコト様。ハイトと申します、こちらは妹のミアです。本日はミコト様にお願いがあって参りました」
偉い人のようなので出来るだけ丁寧に挨拶する

「堅苦しいのは無しじゃ。まずはサクちゃんをここまで連れてきてくれたことにお礼を言うのじゃ」

のじゃ?まだ若いのに変な喋り方してるなぁ

「では、お言葉に甘えて……。僕達が連れてきてもらったのでお礼を言うのは僕の方ですよ。道中もサクヤさんと一緒で楽しかったです」

「そうじゃろ、そうじゃろう?サクちゃんは良い子だからな」

「ミコト様、そんなことより――」

「そんな堅苦しい呼び方をせんでくれ。妾の事は前みたいにミコちゃんと呼ぶのじゃ」
サクヤさんが話を変えようとするのを遮って、ミコト様が言う

幼馴染だって言ってたから、他人行儀なのは嫌なのだろう

「でも、あれはまだ私も子供でミコト様の事をよく知らなかったからで……村の人に聞かれたらなんて言われるか」

「村の奴らなんてほっておけば良いのじゃ。それともサクちゃんも皆と同じように妾を1人にする気かの?」

崇拝されるってやっぱり良いことばかりじゃないね。

「ミコト様がいいって言ってるんだから、普通に接していいんじゃないの?無理してるでしょ?」
僕は背中を押してあげる。
多分ミコト様にとってサクヤさんが唯一気を許せる人なんだろう。見ててそんな気がする。

「お主良い事を言うのじゃ。さあサクちゃん、昔みたいに妾と遊ぶのじゃ」

ん、遊ぶの?今は僕の話を聞いて欲しいんだけど……

「しょうがないなぁ。この屋敷の中だけだよ、ミコちゃん」

「それでこそサクちゃんなのじゃ。さて、何をしようかの?」
ダメだ、完全に遊ぶつもりだ。
遊ぶのは2人になってからにしてほしい

「あの、先に僕の話を聞いてもらってもいいですか?」

「お主、サクちゃんとの時間を邪魔するつもりか?」
一瞬背筋がゾワっとした

「…そんなつもりはありませんよ」

僕はミコト様を鑑定する


職業
[退魔師]
スキル
[降霊術]

色々と気になる所があるけど、今はそれどころじゃなさそうだ。
サクちゃんLOVEすぎるだろう。

「なぜじゃ。なぜ効かぬのじゃ。ならばこっちじゃ」

「ひゃっ」
ミアが声を上げる

「ミア、大丈夫?」

「うん、なんか、ひやっとしただけ」

再会を邪魔されて駄々をこねてるだけなのはわかってるけど、これ以上ミアに危害を加えようとするなら、僕も強く出ないといけない

「ミコト様、落ち着いて下さい。邪魔をするつもりはないんです」

「うるさいのじゃ。こうなったら仕方ないのじゃ。ご先祖さま頼むのじゃ」

また一瞬背筋がゾワっとする。

「ん、んぅぅぅぅ」
ミアが苦しみ出して、僕の体から魔力がごっそりと持ってかれた

「はぁ、はぁ、はぁ。ごめん……お兄ちゃん」

「大丈夫だから、ミアは離れてて」

「うん」

スキルから何をしているかはわかっていたけど、ミアがあのスキルを使わないといけないくらい追い詰められるとは思ってなかった。

これは躊躇していた僕の責任だ。

僕はミコト様の方に歩いていく

「待ってください、ハイトさん。ミコちゃんに悪気はないんです」
サクヤさんが止めようとするけど、悪気がなかったとしてもミアを苦しめられて黙っているわけにはいかない。

「黙ってて下さい」

僕はミコト様の頭を掴む
「駄々をこねるのもいい加減にしてください。僕がいつまでも下手に出てると思わないで下さいね」

僕はミコト様を見下ろしながら言う

「い、痛いのじゃ。やめるのじゃ。謝るからゆる――貴様、私のかわいい娘に何をする?」

急に雰囲気が変わった。
謝ろうとしてたから、詫びを受け取って許してあげようと思ったのに……さらに面倒そうなことになった。


状態
[憑依中]
職業
[退魔師]
スキル
[降霊術][鑑定][聖魔法Lv10][闇魔法Lv10][幻想]
称号
[勇者][魔王]

鑑定のツッコミどころがさらに増えた
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

天職が『盗賊』という理由で追放されました。盗みを極めし男はやがて魔王と呼ばれる

こたろう文庫
ファンタジー
王国の勇者召喚により異世界に連れてこられた中学生30人。 その中の1人である石川真央の天職は『盗賊』だった。 盗賊は処刑だという理不尽な王国の法により、真央は追放という名目で凶悪な魔物が棲まう樹海へと転移させられてしまう。 そこで出会った真っ黒なスライム。 真央が使える唯一のスキルである『盗む』を使って盗んだのはまさかの・・・

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。

SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。 サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉
ファンタジー
底辺冒険者クロードは転生者である。しかしチートはなにひとつ持たない。だが救いがないわけじゃなかった。その世界にはスキルと呼ばれる力を後天的に手に入れる手段があったのだ。迷宮の宝箱から出るスキルオーブ。それがあればスキル無双できると知ったクロードはチートスキルを手に入れるために、今日も薬草を摘むのであった。

処理中です...