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奔走編

逃亡者、戦力を上げる

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僕は街の戦力を上げる為の準備に取り掛かる。

まずは敵戦力の把握だ。

「姫野さん、川霧達って他の生徒に比べて戦力としてはどうだったの?」

「詳しくはわからないけど、真ん中くらいだと思う。私みたいに引きこもってる子は抜いてね」

「誰が一番強いかわかる?」

「多分杉岡くんだと思う。なんて言っても勇者だし、レベルも高かったと思う」
杉岡が勇者ってのが考えられないんだよな。僕の鑑定でも勇者だったけど…状況的にそんなにいいスキルを貰ったとは考えられない。
何かカラクリがある気がする

「他の兵士たちは?」

「川霧くん達よりも全然弱いくらいだと思う」

聞く限りだとフィル1人でもなんとかなる気がしてきた。
フェンもいるし。
保険としてクルト達のレベルでも無理矢理上げとくか…

「ありがとう。僕はこれからクルト達のレベルを上げてくるよ。ミアはどうする?」

「私はフィルと遊んでることにする」

「わかったよ。じゃあ、行ってくるね」

僕はクルトのいる部屋に行き説明する。
エクリプスのメンバーとパーティを組む為冒険者ギルドへ向かった。

エクリプスのパーティに僕を追加する操作をしていると、後ろから声を掛けられる。

「ハイト!帝都に行ったって聞いたんだが、いるじゃないか」

振り向くとアメリアさんがいた。

「アメリアさん、久しぶりです。ワルキューレの皆さんはずっと街にいませんでしたよね?どこに行ってたんですか?」

「指名依頼で帝都に行ってたんだ。依頼が終わって戻ってきたら受付でハイトは帝都に向かったって聞いてな。入れ違いだったとショックを受けてたんだがな。なんでいるんだ?」

「そうだったんですね。詳しくは言えませんが、この街に来る時に一緒に姉弟がいたじゃないですか?彼らの村が王国に襲われてしまってた助けてたんです。それで、次はこの街が襲われるかも知れないので、戻ったついでにエクリプスの方達とレベル上げをしようかとしていた所です」

「せっかく会えたから飯でもと思ったんだがな……先約があるならしょうがないか」

「良かったらアメリアさん達も一緒にレベル上げに行きますか?」

「いいのか?それで何階層まで行く予定だ?」

「今回は500階層を目指そうかと思ってます」

「何を言ってるんだ?」

「アメリアさん、聞いてないんですか?」

「何をだ?」

「ダンジョンが攻略された事をです」

「な…!本当か?」

「はい、僕が先日攻略しましたよ」

「にわかには信じられないが、ハイトならあり得るな」

「たまたまですからね。それで、行ったことある階層なら転移出来るようになりましたので、遅くなったら帰りつつ出来るだけ下の階層でレベルを上げようかと思ってます。大体1週間くらい続ける予定でいますけどどうしますか?」

「エクリプスのクルトだったな。お前達も500階層で戦えるようになったのか?そうであればえらく差をつけられてしまったようだが…」
アメリアさんは信じられないのか、クルトに確認することにしたようだ。

「いえ、僕達が戦ったら死んでしまいますよ」
クルトは正直に答える

「そうか、ハイトが1人で戦うのだな……。少し待っててくれないか?仲間達に聞いてくる」

アメリアさんがワルキューレのメンバーに聞きに行って、全員で戻ってきた。

「私達も同行させて欲しい。」
ワルキューレの方達も行くことになった。

「ハイトくん、久しぶりね。アメリアや他の人にも聞いたけど随分とやんちゃしたようね?」
ナディアさんにからかわれる。

「そんなに大層なことはしてませんよ。ちょっと獣人の姉弟を助けただけです」

「そのちょっとでやられた方はうかばれないわね」

そうは言うけど、僕の中ではこれ以上でもこれ以下でもない。結果としてダンジョンを攻略して商業ギルドを壊滅させただけだ。

「人生、そんなもんですよ」 

「相手に同情するよ」

ナディアさんと無駄口を叩いている間にパーティ登録が終わったようだ。

僕達はダンジョンに向かう。

「ルートもわかりますし、駆け降りるだけなので1日100階層は進みます。僕に付いてきて下さいね」

「随分とハードだな。頼むから置いてけぼりにはしないでくれよ」

「気をつけます」

僕達はそれから1週間ダンジョンに通い、かなりのレベルを上げることが出来た。
まあ、僕のレベルはほとんど変わってないけどね。

そして、帝都に向かって再出発することにする

「それでは、行ってきます。多分、王国が攻めてきますけど、聞いた通りの相手なら大丈夫だと思います。難しいこともお願いしてしまいましたけど、それくらいは可能なレベル差にはなってると思いますのでよろしくお願いします」

「ああ、任された」
アメリアさんに任せれば万事うまくやってくれると思う。

「フィル、悪いけど姫野さんの事お願いね」

「わかりました」

2回目でもやっぱり別れは寂しいな。

別れを惜しみつつ、帝都に向かって再出発した
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