クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業［逃亡者］が無能だと処刑される

獣人編

逃亡者、登録試験を受ける

オッサン3人に見送られた僕達は街の外にあるダンジョンへ向かう。このダンジョンは浅い階なら強い魔物が出る事は稀らしい。ダンジョンの前に立っている人に許可をもらって中に入る事数分、魔物が現れる。

「スライムか…」

「スライムは試験ではカウントされませんから無視しますか？」

「一応倒しておこうか」

僕はスライムに石をぶつけて倒す。
うん、弱い。これじゃあ試験にならないからカウントされないのもしょうがないか。

「スライムをいっぱい倒して少しづつレベルを上げてからゴブリンとかに挑戦するのが普通みたいだよ。経験にもなるし…レベルが15になってやっと新人じゃなくなるみたい」

「そうなると僕達はまだ新人だね」

「私はそうですが、お兄ちゃんは違うと思います」
僕はまだ、魔物との戦闘はこれで3回目なのにな…

「そうゆうことにしておくよ。先に進もうか」
　僕はスライムを収納に入れてからダンジョンの奥に進んでいく

「あれは、コウモリ？ちょっと大きいけど…」

「あれはワイルドバッドです。ランクはゴブリンと一緒ですが飛べる分厄介です」

僕は石を投げる

ワイルドバッドの羽に石が当たり落ちたところを石で叩く。

「大丈夫そうだね」
僕はワイルドバッドを収納に入れてから進む

「あそこにゴブリンが3対いるよ。ラッキーだね」

「普通の新人なら不幸だよ、お兄ちゃん」
ミアは呆れ顔でそんなことを言うがゴブリンは倒した事があるから余裕だ。

僕はゴブリンを処理して先に進む

順調に進んでいくと遠くから怒鳴り声が聞こえてくる

「何かあったのかもしれない。隠れながら行ってみよう」

「うん」

声がした方に近づいていくとそこには4人の冒険者？がいた。

「なにトロトロしてやがる！使ってやってるんだからさっさと運ばねえか」

ドス！

1人の男が女の子を蹴飛ばした。

僕が咄嗟に助けに入ろうとするのをミアが止める。

「冒険者同士は不干渉がルールだよ。助けを求められたならいいけど、こっちから動くのはマズイよ」

僕はぐっと堪えてから声を掛ける。
「何か大声が聞こえたのですが大丈夫ですか？」

「んあっ！？なんでもねぇよ。ほららさっさといくぞ」

男は女の子を引っ張って奥に進んで行った

僕は奥歯を噛みしめる。

「さっきの女の子頭から耳が生えてたよね？」

「うん、獣人の女の子だったね」
ミアは複雑な表情をしている

「もしかして獣人って迫害されてるの？」

「そうだね…」

「なんでか知ってる？」

「獣人は人と魔物が混ざり合った者って言ってる人達がいるて噂を鵜呑みにしちゃってる人達がたくさんいるの。本当のところは私はわからない」

「そうなんだ…僕は生まれがどうとか関係なく言葉が通じるんだから仲良くしたいな」
過程がどうであれ今生まれてくる子供に罪はないはずだり

「私もよく知らないまま嫌うのはしたくない」

「うん、ミアがそういってくれて僕はうれしいよ。なんとか出来ればいいんだけど…根づいちゃってる考えを変えるのは難しいな…」

僕達は暗い気持ちになったまま6体の魔物を倒してダンジョンを出ることにする。

冒険者ギルドに着いた僕達は受付のお姉さんに試験の報告をする。魔物をそのまま出すわけにはいかないため、証明部位だけをあらかじめ分けてある。

「確かに10体分ですね。合格おめでとうございます。それでは登録しますのでこちらの水晶に手を当てて下さい。」

僕とミアは銀貨2枚を渡した後、水晶に手を当てる。

「はい、ありがとうございます。……ではこちらが冒険者カードになります。無くされた場合は再発行に銀貨2枚掛かりますので注意してください。」

「わかりました。ありがとうございます」

「ではこちら討伐報酬になります」
お姉さんが銀貨を1枚くれる

「試験なのにもらえるんですか？」

「はい、討伐されたことに違いはありませんから。まあ報酬は銀貨1枚で固定なんですけどね…試験お疲れ様ってことです」

「ありがたくいただきます」
働いた感はないけど貰えるものはもらっておこう。

「何かご質問はございますか？」

「……いえ、ざっくりと先輩に聞いてますので大丈夫です。」
本当は獣人の事を聞きたいけど、お姉さんがどう思ってるかわからないから今はやめておこう。

「依頼は今日からでも受けられますがどうしますか？」

「明日からダンジョンに潜るつもりなので、一緒に消化出来る依頼があれば受けたいです」

「かしこまりました。それでしたらあちらの常駐依頼用のボードを確認してから向かうのがいいと思います。報酬は少し少ないですが失敗しても違約金がかからないので新人冒険者の方達にオススメです。」

「そうします。ありがとうございました」
僕は常駐依頼を確認してからギルドを後にした

今日もミアのお金で宿に泊まる。

これからは僕も稼げるし明日からは僕がミアの分も払おうと僕は決心する

「ミア、今までありがとう。明日からは僕が宿代を出すからね。いつまでも妹に払ってもらうのは兄として情けないからね」

「情けなくないよ。私が出来ることってこれだけだもん。気にしないでよ」

…僕が気にするんだよ