上 下
14 / 147
王国 処刑編

逃亡者、暗殺される?

しおりを挟む
「さて、僕もステータスを見せに行きますか…」

僕は国王にステータスを見せる為、水晶に触る。もちろん偽装済みだ。

職業[逃亡者]
スキル[逃走]

国王が僕をすごく睨んでいる。
これはあれかな、ステータスの内容もそうだけどさっきの下手な芝居についても怒ってるのか… 

何か王様が隣の宰相っぽい人に僕の方に目配せしながら小声で指示を出してる

なんだろう…?いい事ではなさそうだな、とは思ったがとりあえず次の人に順番を変わることにした。


全員が水晶にステータスを表示させた後王様が口を開く

「うむ。其方らの力は見させてもらった。少々残念なものもいたが、概ね期待以上だ。これから各職業に合ったレベル上げをしていってもらう」

「残念なもの」のところで僕の方を見ていた気がする…

「今日は皆もう疲れただろう。食事を用意してあるから存分に召し上がってほしい。各々の部屋も用意してある。食事の後に案内させよう」

実際皆には疲れが見える。1日以上何も食べてないだろうし……これは僕のせいでもあるが。

「よっしゃー。飯だ。腹減ってたんだよー」

と声が聞こえる

僕達はメイド姿の女性に連れられて食堂へと移動すると机にはかなり豪華な食事が用意されていた。

僕は委員長、桜先生、小山達とでまとまって席に着く。

「影宮君、これどう思う?」

小山君に聞かれる

「鑑定したけど毒とかは入ってないよ。ただ…」

僕は気になる事があった。それは小山君も気づいたようで

「豪華すぎるよね…。歓迎の意味で今日だけなら良いけど、続くようだとさすがにおかしいよ。実際は衰退なんてしてないのか、或いは本当に国が衰退しているなら一般の住む人たちに重税をかけるとかして上の人達だけが裕福な暮らしをしているかだね。」

「そうだね。僕もそう思ったよ。やっぱりこの国は瀋陽出来ない」

飲み物が配られる。これはワインかな。日本じゃないし飲んでもいいか。
一応[鑑定]した僕は衝撃を受ける

赤ワイン(猛毒)
高級な葡萄を使いじっくりと寝かしたワイン。
服用すると数時間後に呼吸困難に落ち入り適切な対処をしなければ死に至る。

危ない。敵意を向けられていたのには気付いていたが、まさか殺そうとしてくるなんて…

委員長達に配られたワインには[鑑定]しても毒は入っていなかったので狙いは僕だけか…。

さて、どうしたものか。
正直多分僕はこれを飲んでも死なないだろう。

[最高神の加護]
地球の神々の頂点にたつ神が与えた加護
状態異常及び即死に対して完全な耐性を得る


最高神様の加護のおかげで死にはしないだろう。それどころか多分何も起きない。
殺そうとした相手が何事もなかったように生きている。それはそれでマズい気がする。
僕のスキルは[逃走]だけいうことになっているのだから。

これをうまく回避してもこのままだといずれ殺されるのは確定か。それならこちらから先手を打つか。

僕は立ち上がり、国王に向かって声を掛ける

「国王様、僕達はまだこちらの世界にきたばかりでなんでもかんでも言われた通り信用するわけにはいきません。いきなりここに連れてかれて困惑しています。王様を疑いたいわけではありませんが、安心して食事をする為に毒見をしてくれませんか?」

周りがざわつく。

「このスープでも飲めば安心できるか?」

国王は目の前にあるスープを指差す。

「国王様が選んだものを召し上がられても意味はありません。私が選んでいいですか?」

そんなスープを飲んでも意味はない。

「……構わない。何を食べればいいのだ?」

国王の顔に焦りが見える。

これは黒だな。指示を出したのは王自らだ。

「ありがとうございます。ではこちらのワインでお願いします。」

僕はもちろん自分のワインを差し出す。

国王の顔が引き攣っている。

「どうしましたか?お願いします。」

さて、どう返してくるか

「…………我はワインが飲めないのだ。アレルギーでな。」

苦しい言い訳だな。

「そうでしたか。ではそちらの燕尾服を来た方でも構いませんが…?」

「……こちらの宰相はこれから会談があるのだ。アルコールを飲ませるわけにはいかん。」

やはり宰相か。

「代わりにこちらのメイドに毒見させよう」

国王は僕達を食堂に連れてきたメイド服の少女に飲ませるみたいだ。
少女の反応からするとこれが毒だと気づいてない。
こいつクズだな。

少女がワインに口を付ける。

「これで良いか?」

国王は僕に尋ねる。

「そうですね。時間差で呼吸困難になるような猛毒とかでなければ…大丈夫でしょう」

僕は国王に向かって皮肉を言う

「……そんな都合の良い毒があるわけなかろう。さあ、毒がない事は証明出来ただろう。食事にしよう。…彼に新しいワインを持ってきてあげなさい。」

「そうですね。失礼しました」

流石に新しく持ってこられたワインには毒は入っていなかった。

なんだか負けた気がするけど…まぁ、いい。やらなくてもどうせ殺されてたんだ。
それにこれで腹をくくった。この国に未来はない。

皆が食事を始める。

委員長が僕に小声で聞いてくる

「影宮君…あんな事したのは何か理由があったんでしょ?」

「うん。僕のワインには遅効性の猛毒が入っていたんだ。すぐには効かないから僕が死んだ後に何かしら理由をつけて処理しようとしたんだと思う。この国のヤバさを他のみんなにも知ってもらおうと思ったんだけど、結果的には躱されちゃったかな。」

委員長はショックを受けながら聞いてくる

「…それじゃあ、毒入りのワインをあの子が飲んだって事?」

「そうだけど、結果的にあの子が死ぬことはないよ。僕のスキルで毒は飲んでいない事になった」

「えっ…どうゆうこと?」

「僕は[改変]ってスキルが使えるんだ。このスキルは任意の事象を改変する事が出来るんだ。毒入りのワインをただのワインに改変しんだ。だからあの子が飲んだワインはただの美味しいワインだよ。」

「良かった…」と委員長が胸を下ろす

まあ、国王のせいで新しくやらないといけない事が増えたけどね…
僕は国王の対応にイラっとしながら食事を進める。

そして食事後に小山君の部屋に集まって僕の話とこれからについて話し合うことにした。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

天職が『盗賊』という理由で追放されました。盗みを極めし男はやがて魔王と呼ばれる

こたろう文庫
ファンタジー
王国の勇者召喚により異世界に連れてこられた中学生30人。 その中の1人である石川真央の天職は『盗賊』だった。 盗賊は処刑だという理不尽な王国の法により、真央は追放という名目で凶悪な魔物が棲まう樹海へと転移させられてしまう。 そこで出会った真っ黒なスライム。 真央が使える唯一のスキルである『盗む』を使って盗んだのはまさかの・・・

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。

SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。 サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉
ファンタジー
底辺冒険者クロードは転生者である。しかしチートはなにひとつ持たない。だが救いがないわけじゃなかった。その世界にはスキルと呼ばれる力を後天的に手に入れる手段があったのだ。迷宮の宝箱から出るスキルオーブ。それがあればスキル無双できると知ったクロードはチートスキルを手に入れるために、今日も薬草を摘むのであった。

処理中です...