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フレイの秘密と僕の体
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ある日、フレイから相談したいことがあると言われ、放課後に訓練室に来て欲しいと言われた。
フレイは真剣な顔をしていた。只事ではなさそうだ。
放課後に訓練室に行くと、そこにはフレイだけがいた。
「この部屋は貸し切らせてもらっているから、内緒話をしても大丈夫よ」
「話をする為に訓練室を貸し切ったの?」
「貸し切ったのは、他の誰かに見られたくなかったから。訓練室なのは、魔力を使うつもりだからよ」
「そうなの?それで内緒話ってなに?」
「屋敷の片付けの依頼を受けた時に、ローザがエルクに魔力の伸ばし方を聞いてたと思うんだけど覚えてる?」
「覚えてるよ。ローザはそんなこと続けられるわけないって言ってたね」
「そうね。その時にエルクは辛くならないって言ってたでしょ?」
「うん。言ったよ」
なんでかわからないけど、僕だけ魔力をどれだけ使っても辛くはならない。他の人は魔力を使い切るのが近くなった頃から急激に辛くなるって言ってたけど……
「……私もなの」
フレイの告白に僕は驚く。僕だけじゃなかった?
「そうなんだ。それじゃあフレイは魔力を伸ばす訓練が無理なく続けられるね」
「そうなんだけど、それよりも気になることというか、やらないといけないことがあってね。言いたくなかったら言わなくてもいいんだけど、私はこうなった理由に思い当たることがあるのよ。魔力を使っても辛くならなくなったのは最近で生まれつきじゃないから」
フレイは心当たりがあるらしい。
「僕には心当たりはないよ。最近まで魔力を使ったら辛くなることも知らなかったくらいだからね。フレイは思い当たるところがあるんだよね?教えてもらってもいい?聞いたら、僕にも当てはまることがあるかも知れないから」
「エルクが私の家の別荘に来た時に、私の様子がおかしくなったのは覚えてる?」
ローザとフレイが喧嘩したやつだ。
「覚えてるよ」
「実はあの時、ロザリーが私の体を乗っ取っていたのよ。あ、ロザリーっていうのはあの祠に祀られていた幽霊のことね」
フレイがいきなり怖い話を始めた。
「……あの時は強がったけど、本当は怖い話は苦手なんだ」
ここにはフレイしかいないので、正直に白状する。
「それは見ていてわかるけれど、怖い話をしたいんじゃないのよ。本当の事なの」
本当の事だとしたら、余計に怖い
「……それでそれがどうしたの?」
僕は恐る恐る続きを聞く。
「あの時に私に浄化魔法を掛けたんだったわよね?」
「そうだよ。回復魔法ってあの時は言ってたけど、本当は浄化魔法だよ」
「浄化魔法ってけがれたものを取り除く魔法って言ってたよね?」
「うん、そうだよ。それで汚れとかが綺麗に取れるんだよ」
「その魔法で私の体を乗っ取っていたロザリーの魂も穢れがなくなってキレイになったんだと思うんだけど……」
「どういう事?」
「私の体の中にロザリーの魂が今もちゃんとあるのよ。浄化されて力を失ったのか、表に出てくることは出来ないんだけど、私と会話することは出来るのよ。あの日から私は魔力を使っても辛くならなくなったの」
「本当に?僕のことをからかったりしていない?」
「証明することは出来ないんだけど、ロザリーのスキルは使えるようになったの。見てて」
フレイはそう言って魔法陣を描き出した。
完成した魔法陣からは一定の風が流れ続けている。
フレイが魔法陣を描けるなんて話は知らない。
「魔力操作のスキルを最近覚えたって前に言ったでしょ?あれはロザリーのスキルなの。ロザリーは生前、魔力操作のスキルと精密な技能で魔法陣を描くのが得意だったのよ。私はそのおかげで指から精密な魔力を出すことは出来る様になったんだけど、どうしても上手く描けなかったのよ。でもスキル書で複写のスキルを獲得したから、見本がある魔法陣なら描けるようになったわ」
あの時微妙そうなスキルを獲得して喜んでいたのは、これを見越していたからだったようだ。
「完全に信じるわけではないけど、フレイの中にロザリーの魂がいるって話は理解したよ」
「私はロザリーをちゃんと天に返してあげたいのよ。考えてみたけど、どうしたらいいのか見当もつかないからエルクに話すことにしたの。実はエルクの体の中にも魂が2つあるなんてことはない?」
そんなことはないと思いたいけど、思い当たることはある。子供の魂と日本で暮らしていた大人の魂だ。
僕は転生した結果、神の計らいで赤子スタートではないと思っていたけど、実は生まれ変わったのではなく魂だけ移動していて、この子供の体を奪っていたのだろうか?
そうなるとこの体の本当の持ち主は僕ではないということになる。
子供の体に大人の精神が引っ張られて、思考が子供化していたのだと思っていたけど、2つの魂が混ざりあって1つになったという可能性もある。それでも魂は2つとして作用しているのかもしれない。
今考えたところで答えが出るとは思えない。
そもそも魔力を使いきっても辛くならないというのが、魂が2つあるからというのもフレイの推測でしかない。
心当たりがあるだけで魂が2つあると確定したわけではない。
とりあえず今は……
「思い当たることはないよ。でもフレイがロザリーって人をなんとかしてあげたいってことはわかったから、僕に出来ることなら協力するよ」
魂がどうのこうのは気になるけど、それを説明するには転生したことを言わないと話が繋がらない。
僕がどうだとしても、協力出来ることはあるかもしれない。
「ありがとう。それならもう一度私に浄化魔法を掛けてもらってもいいかな?」
「うん」
僕はロザリーを成仏させるイメージでフレイに浄化魔法を掛ける。
「ありがとう。でも変わらないわ」
「そっか。他に何か試して欲しいことはある?」
「今思いついていることはないよ」
「また何か思いついたら遠慮なく言ってね。協力は惜しまないつもりだから」
「ありがとう。その時は頼らせてもらうわね」
寮の部屋に戻ってきてから悩む。
僕は一体誰なんだろうか……
フレイは真剣な顔をしていた。只事ではなさそうだ。
放課後に訓練室に行くと、そこにはフレイだけがいた。
「この部屋は貸し切らせてもらっているから、内緒話をしても大丈夫よ」
「話をする為に訓練室を貸し切ったの?」
「貸し切ったのは、他の誰かに見られたくなかったから。訓練室なのは、魔力を使うつもりだからよ」
「そうなの?それで内緒話ってなに?」
「屋敷の片付けの依頼を受けた時に、ローザがエルクに魔力の伸ばし方を聞いてたと思うんだけど覚えてる?」
「覚えてるよ。ローザはそんなこと続けられるわけないって言ってたね」
「そうね。その時にエルクは辛くならないって言ってたでしょ?」
「うん。言ったよ」
なんでかわからないけど、僕だけ魔力をどれだけ使っても辛くはならない。他の人は魔力を使い切るのが近くなった頃から急激に辛くなるって言ってたけど……
「……私もなの」
フレイの告白に僕は驚く。僕だけじゃなかった?
「そうなんだ。それじゃあフレイは魔力を伸ばす訓練が無理なく続けられるね」
「そうなんだけど、それよりも気になることというか、やらないといけないことがあってね。言いたくなかったら言わなくてもいいんだけど、私はこうなった理由に思い当たることがあるのよ。魔力を使っても辛くならなくなったのは最近で生まれつきじゃないから」
フレイは心当たりがあるらしい。
「僕には心当たりはないよ。最近まで魔力を使ったら辛くなることも知らなかったくらいだからね。フレイは思い当たるところがあるんだよね?教えてもらってもいい?聞いたら、僕にも当てはまることがあるかも知れないから」
「エルクが私の家の別荘に来た時に、私の様子がおかしくなったのは覚えてる?」
ローザとフレイが喧嘩したやつだ。
「覚えてるよ」
「実はあの時、ロザリーが私の体を乗っ取っていたのよ。あ、ロザリーっていうのはあの祠に祀られていた幽霊のことね」
フレイがいきなり怖い話を始めた。
「……あの時は強がったけど、本当は怖い話は苦手なんだ」
ここにはフレイしかいないので、正直に白状する。
「それは見ていてわかるけれど、怖い話をしたいんじゃないのよ。本当の事なの」
本当の事だとしたら、余計に怖い
「……それでそれがどうしたの?」
僕は恐る恐る続きを聞く。
「あの時に私に浄化魔法を掛けたんだったわよね?」
「そうだよ。回復魔法ってあの時は言ってたけど、本当は浄化魔法だよ」
「浄化魔法ってけがれたものを取り除く魔法って言ってたよね?」
「うん、そうだよ。それで汚れとかが綺麗に取れるんだよ」
「その魔法で私の体を乗っ取っていたロザリーの魂も穢れがなくなってキレイになったんだと思うんだけど……」
「どういう事?」
「私の体の中にロザリーの魂が今もちゃんとあるのよ。浄化されて力を失ったのか、表に出てくることは出来ないんだけど、私と会話することは出来るのよ。あの日から私は魔力を使っても辛くならなくなったの」
「本当に?僕のことをからかったりしていない?」
「証明することは出来ないんだけど、ロザリーのスキルは使えるようになったの。見てて」
フレイはそう言って魔法陣を描き出した。
完成した魔法陣からは一定の風が流れ続けている。
フレイが魔法陣を描けるなんて話は知らない。
「魔力操作のスキルを最近覚えたって前に言ったでしょ?あれはロザリーのスキルなの。ロザリーは生前、魔力操作のスキルと精密な技能で魔法陣を描くのが得意だったのよ。私はそのおかげで指から精密な魔力を出すことは出来る様になったんだけど、どうしても上手く描けなかったのよ。でもスキル書で複写のスキルを獲得したから、見本がある魔法陣なら描けるようになったわ」
あの時微妙そうなスキルを獲得して喜んでいたのは、これを見越していたからだったようだ。
「完全に信じるわけではないけど、フレイの中にロザリーの魂がいるって話は理解したよ」
「私はロザリーをちゃんと天に返してあげたいのよ。考えてみたけど、どうしたらいいのか見当もつかないからエルクに話すことにしたの。実はエルクの体の中にも魂が2つあるなんてことはない?」
そんなことはないと思いたいけど、思い当たることはある。子供の魂と日本で暮らしていた大人の魂だ。
僕は転生した結果、神の計らいで赤子スタートではないと思っていたけど、実は生まれ変わったのではなく魂だけ移動していて、この子供の体を奪っていたのだろうか?
そうなるとこの体の本当の持ち主は僕ではないということになる。
子供の体に大人の精神が引っ張られて、思考が子供化していたのだと思っていたけど、2つの魂が混ざりあって1つになったという可能性もある。それでも魂は2つとして作用しているのかもしれない。
今考えたところで答えが出るとは思えない。
そもそも魔力を使いきっても辛くならないというのが、魂が2つあるからというのもフレイの推測でしかない。
心当たりがあるだけで魂が2つあると確定したわけではない。
とりあえず今は……
「思い当たることはないよ。でもフレイがロザリーって人をなんとかしてあげたいってことはわかったから、僕に出来ることなら協力するよ」
魂がどうのこうのは気になるけど、それを説明するには転生したことを言わないと話が繋がらない。
僕がどうだとしても、協力出来ることはあるかもしれない。
「ありがとう。それならもう一度私に浄化魔法を掛けてもらってもいいかな?」
「うん」
僕はロザリーを成仏させるイメージでフレイに浄化魔法を掛ける。
「ありがとう。でも変わらないわ」
「そっか。他に何か試して欲しいことはある?」
「今思いついていることはないよ」
「また何か思いついたら遠慮なく言ってね。協力は惜しまないつもりだから」
「ありがとう。その時は頼らせてもらうわね」
寮の部屋に戻ってきてから悩む。
僕は一体誰なんだろうか……
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