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第三部 宰相閣下の婚約者
685 忘れじの膝枕
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呼吸もままならないほどの口づけを繰り返されて、時間の間隔も何もかもが吹き飛んだ。
「……座ろうか」
確かにそんな声を聞いた筈で、だからこそ声は出せないまでも、頷いた筈だった。
それが。
「ぴゃっ⁉︎」
「寝台に横になると誤解を招くからな。代わりにしばらくこうしていたい」
……それから、ゆっくりとソファに腰を下ろした筈で。
気付けば何故か膝、と言うか太腿の上にエドヴァルドの頭。
世に言う膝枕。
ちょっと待って⁉︎
何がどうして、こうなった!
「あああのっ、エドヴァルド様⁉︎」
「…………」
「っ! ル、ルド!」
「……どうした?」
「いやっ、どうした? じゃなくて……っ」
目は閉じたまま、クスリとエドヴァルドが笑ったように見えた。
「……恋人同士とかだと一緒に横になったり、どちらかが膝枕をして、交流を深めたりする――だったか? 以前に言っていただろう」
「え⁉ それ……は……」
それはまだ、この世界に来て二か月も経っていなかった頃に、ヨンナはじめ侍女'ズとピクニックをした時に言った言葉だ。
あれからヨンナたちとはリベンジピクニックをしたものの、エドヴァルドとはすっかりうやむやになっていた。
ひとえに、膝枕のことを聞かれても困ると思ったからだ。
膝枕の何たるかは、リベンジピクニックの際に侍女'ズと話はしたけれど。
どこから洩れた。まさか、また参加出来なかったセルヴァンのプチ復讐がさく裂したのか。
「今度はセルヴァンとユーハンと〝鷹の眼〟とかでやった方がいいのかな……」
「何の話だ」
「いえっ、なんでも⁉」
「レイナ」
「ひゃいっ」
「ぴくにっくとやらは、いつやってくれるんだ?」
「いや、ちゃんと聞いてるし!」
うっかりツッコミを入れてしまったところで、エドヴァルドは左腕を瞼の上に乗せた状態で、くつくつと低く笑っていた。
「そうだな……いっそ、きゃんぷとやらとまとめてやるか?」
「え、いいんですか⁉ シャーリー……ボードリエ伯爵令嬢を誘うつもりだったんですけど」
シャルリーヌもキャンプ自体にあまりいい思い出はないようはことは言っていたけど、イデオン邸で私とやるのなら……くらいの感触はあったから、いずれ計画を立てようとは思っていたのだ。
「やったことがないことをやりたいのなら、まずは私に声をかけてくれないか。何にせよ、貴女の『初めて』を譲りたくはない」
「……っ」
どうやらヨンナたちと先んじて「ピクニック」をしたことに、拗ねているのはこちらも同じだったらしい。
って言うか、言い方!
「ぴくにっくはもう仕方がないとして、きゃんぷはまだなんだろう? 確かに私は今は身動きが取れないし、やれるとしても三国会談の後以降になるだろうが、せめてそれまでは待ってくれないか?」
「……ルド……」
うっかり「エドヴァルド様」と言いかけて、空気ごと言葉を呑み込んでから言い直した。
「レイナ」
「はい」
「膝枕は……もう、誰かとやったのか?」
顔の上に手が置かれたままで、エドヴァルドの表情がよく見えない。
ただ、答えずにはいられない空気はひしと感じたので、私は小さく首を横に振ってから、口を開いた。
「……誰も。そもそもピクニック自体、私の居た国では家族とか恋人とか、ごく親しい人と行くと言う認識ですし。そう言う意味では、誰も」
お弁当を持って出かけると言う意味では、幼稚園や小学校あたりは「遠足」として、それに近いイベントはあったはずだけど、ピクニックかと言われれば、厳密には違う気がするからだ。
「私の膝は……ルドに初めて貸しました」
「…………そうか」
腕の下から見える口元が、わずかに綻んだ。そんな気がした。
「ではこれからも、誰にも貸さないでくれ」
はい、と頷く以外に果たして言えることがあっただろうか。
「このまま、少し休んでも構わないか? 貴女も色々あっただろうし、疲れているとは思うんだが……」
「あっ、はい、どうぞ! えっと……寝にくくなければ……」
「いや……こんなに落ち着くものだとは……思わなかった……」
そう言ったきり、エドヴァルドからの反応が返らなくなった。
どうしたことかと見下ろしていると、すぅ……と、静かな寝息すら聞こえてきて、私は心底驚かされてしまった。
誰かに膝を貸したことはもちろん、誰かに膝枕をしてもらったことすらない私としては、この体勢で眠ることが出来るのかと、斬新な驚きがあったのだ。
……いつか逆のパターンを頼んでみても良いんだろうか……
詳細は分からないまでも「疲れ果てた」と本人が言っていたので、今日は余計なことは聞かない方が良いのかも知れないとは思っているけれど。
これ、寝返りとか打つようならどうしたら良いんだろう……とか、あらぬ心配をしながら見守っている間に、そこそこの時間は経っていたのかも知れない。
やがて、部屋の入口の扉が軽く叩かれる音が聞こえた。
「あっ、はい、どうぞ」
こればっかりは、起こしてしまったとしても不可抗力だろう。
私としても、返事はせざるを得なかった。
「……ん……」
「っ⁉」
ただ、そこで寝返りを打ったエドヴァルドに腰から抱きつかれてしまったのが全くの想定外で、私は声にならないまでも小さな悲鳴を上げてしまった。
「ル……エドヴァルド様! そろそろ――」
「…………レイナちゃん?」
時すでに遅し。
エドヴァルドが目を覚ますよりも早く、イル義父様が扉を開けて、中に入って来てしまっていた。
「……随分斬新な休憩の仕方だ」
「!」
そう言えば「おかしな声がしたら出禁」って言い渡していたと聞いたような。
今のはカウントされないよね⁉ とばかりに、私は慌てて両手を横に振った。
「ええっとですね、イル義父様! これは『膝枕』と言いまして、私の居た国で家族とか恋人限定で寛いで過ごす姿勢と言うか……いざ説明して実践したら、ことのほか気に入ったみたいと言うか……?」
「……ひざまくら」
「その、今度詳しく説明しますので、ぜひエリィ義母様ともこのように過ごしてみて下さい!」
「レイナちゃんの国の習慣……」
「ええっと、抱きつくのはちょっと違うかも知れません……」
「……なるほど」
納得いったのかいってないのか、すん……と無表情になったイル義父様は、歩きながら手近にあった薄めの本を手に取ると、それをおもむろにエドヴァルドに向かって投げつけていた。
「⁉ イ、イル義父様⁉」
「途中からもう起きてたくせに往生際が悪いぞ、エドヴァルド。私ですらエリィとしていないようなことを満喫しておいて、ふざけるなよ」
「……っ」
ちっ、と気のせいじゃなく舌打ちが聞こえた。
私の膝の上で。
「……それは確実に八つ当たりだろう、イル」
「それがどうした。ただでさえ、時間もエリィも足りなかったんだ」
「…………」
どこかで聞いたようなセリフを吐く義父に、エドヴァルドが沈黙している。
そしてやがて諦めたように身体を起こすと、気だるげに髪をかき上げていた。
……勘弁して下さい、色気が駄々洩れです。
「夕食をとらずにもう少し互いに補充していても良かったが、それではエリィとレイナちゃんが、あんまりだ。諦めて食堂へ来い」
「…………承知した。話しておきたいこともあるしな」
「忘れていなかったのなら、何よりだ」
そう言ってイル義父様は身を翻さ――なかった。
多分、そうしたらエドヴァルドが来ないと思ったのかも知れない。
本当に観念したエドヴァルドが立ち上がって、私にエスコートの手を差し伸べてくれるまで、イル義父様はそこから動かなかった。
「エリィは先に食堂に案内しておいたよ。あまり待たせると寂しがらせてしまう。さ、行こうか」
「「…………」」
この邸宅の主はイル義父様だ。
私もエドヴァルドも、そこは素直に従うことにした。
「……座ろうか」
確かにそんな声を聞いた筈で、だからこそ声は出せないまでも、頷いた筈だった。
それが。
「ぴゃっ⁉︎」
「寝台に横になると誤解を招くからな。代わりにしばらくこうしていたい」
……それから、ゆっくりとソファに腰を下ろした筈で。
気付けば何故か膝、と言うか太腿の上にエドヴァルドの頭。
世に言う膝枕。
ちょっと待って⁉︎
何がどうして、こうなった!
「あああのっ、エドヴァルド様⁉︎」
「…………」
「っ! ル、ルド!」
「……どうした?」
「いやっ、どうした? じゃなくて……っ」
目は閉じたまま、クスリとエドヴァルドが笑ったように見えた。
「……恋人同士とかだと一緒に横になったり、どちらかが膝枕をして、交流を深めたりする――だったか? 以前に言っていただろう」
「え⁉ それ……は……」
それはまだ、この世界に来て二か月も経っていなかった頃に、ヨンナはじめ侍女'ズとピクニックをした時に言った言葉だ。
あれからヨンナたちとはリベンジピクニックをしたものの、エドヴァルドとはすっかりうやむやになっていた。
ひとえに、膝枕のことを聞かれても困ると思ったからだ。
膝枕の何たるかは、リベンジピクニックの際に侍女'ズと話はしたけれど。
どこから洩れた。まさか、また参加出来なかったセルヴァンのプチ復讐がさく裂したのか。
「今度はセルヴァンとユーハンと〝鷹の眼〟とかでやった方がいいのかな……」
「何の話だ」
「いえっ、なんでも⁉」
「レイナ」
「ひゃいっ」
「ぴくにっくとやらは、いつやってくれるんだ?」
「いや、ちゃんと聞いてるし!」
うっかりツッコミを入れてしまったところで、エドヴァルドは左腕を瞼の上に乗せた状態で、くつくつと低く笑っていた。
「そうだな……いっそ、きゃんぷとやらとまとめてやるか?」
「え、いいんですか⁉ シャーリー……ボードリエ伯爵令嬢を誘うつもりだったんですけど」
シャルリーヌもキャンプ自体にあまりいい思い出はないようはことは言っていたけど、イデオン邸で私とやるのなら……くらいの感触はあったから、いずれ計画を立てようとは思っていたのだ。
「やったことがないことをやりたいのなら、まずは私に声をかけてくれないか。何にせよ、貴女の『初めて』を譲りたくはない」
「……っ」
どうやらヨンナたちと先んじて「ピクニック」をしたことに、拗ねているのはこちらも同じだったらしい。
って言うか、言い方!
「ぴくにっくはもう仕方がないとして、きゃんぷはまだなんだろう? 確かに私は今は身動きが取れないし、やれるとしても三国会談の後以降になるだろうが、せめてそれまでは待ってくれないか?」
「……ルド……」
うっかり「エドヴァルド様」と言いかけて、空気ごと言葉を呑み込んでから言い直した。
「レイナ」
「はい」
「膝枕は……もう、誰かとやったのか?」
顔の上に手が置かれたままで、エドヴァルドの表情がよく見えない。
ただ、答えずにはいられない空気はひしと感じたので、私は小さく首を横に振ってから、口を開いた。
「……誰も。そもそもピクニック自体、私の居た国では家族とか恋人とか、ごく親しい人と行くと言う認識ですし。そう言う意味では、誰も」
お弁当を持って出かけると言う意味では、幼稚園や小学校あたりは「遠足」として、それに近いイベントはあったはずだけど、ピクニックかと言われれば、厳密には違う気がするからだ。
「私の膝は……ルドに初めて貸しました」
「…………そうか」
腕の下から見える口元が、わずかに綻んだ。そんな気がした。
「ではこれからも、誰にも貸さないでくれ」
はい、と頷く以外に果たして言えることがあっただろうか。
「このまま、少し休んでも構わないか? 貴女も色々あっただろうし、疲れているとは思うんだが……」
「あっ、はい、どうぞ! えっと……寝にくくなければ……」
「いや……こんなに落ち着くものだとは……思わなかった……」
そう言ったきり、エドヴァルドからの反応が返らなくなった。
どうしたことかと見下ろしていると、すぅ……と、静かな寝息すら聞こえてきて、私は心底驚かされてしまった。
誰かに膝を貸したことはもちろん、誰かに膝枕をしてもらったことすらない私としては、この体勢で眠ることが出来るのかと、斬新な驚きがあったのだ。
……いつか逆のパターンを頼んでみても良いんだろうか……
詳細は分からないまでも「疲れ果てた」と本人が言っていたので、今日は余計なことは聞かない方が良いのかも知れないとは思っているけれど。
これ、寝返りとか打つようならどうしたら良いんだろう……とか、あらぬ心配をしながら見守っている間に、そこそこの時間は経っていたのかも知れない。
やがて、部屋の入口の扉が軽く叩かれる音が聞こえた。
「あっ、はい、どうぞ」
こればっかりは、起こしてしまったとしても不可抗力だろう。
私としても、返事はせざるを得なかった。
「……ん……」
「っ⁉」
ただ、そこで寝返りを打ったエドヴァルドに腰から抱きつかれてしまったのが全くの想定外で、私は声にならないまでも小さな悲鳴を上げてしまった。
「ル……エドヴァルド様! そろそろ――」
「…………レイナちゃん?」
時すでに遅し。
エドヴァルドが目を覚ますよりも早く、イル義父様が扉を開けて、中に入って来てしまっていた。
「……随分斬新な休憩の仕方だ」
「!」
そう言えば「おかしな声がしたら出禁」って言い渡していたと聞いたような。
今のはカウントされないよね⁉ とばかりに、私は慌てて両手を横に振った。
「ええっとですね、イル義父様! これは『膝枕』と言いまして、私の居た国で家族とか恋人限定で寛いで過ごす姿勢と言うか……いざ説明して実践したら、ことのほか気に入ったみたいと言うか……?」
「……ひざまくら」
「その、今度詳しく説明しますので、ぜひエリィ義母様ともこのように過ごしてみて下さい!」
「レイナちゃんの国の習慣……」
「ええっと、抱きつくのはちょっと違うかも知れません……」
「……なるほど」
納得いったのかいってないのか、すん……と無表情になったイル義父様は、歩きながら手近にあった薄めの本を手に取ると、それをおもむろにエドヴァルドに向かって投げつけていた。
「⁉ イ、イル義父様⁉」
「途中からもう起きてたくせに往生際が悪いぞ、エドヴァルド。私ですらエリィとしていないようなことを満喫しておいて、ふざけるなよ」
「……っ」
ちっ、と気のせいじゃなく舌打ちが聞こえた。
私の膝の上で。
「……それは確実に八つ当たりだろう、イル」
「それがどうした。ただでさえ、時間もエリィも足りなかったんだ」
「…………」
どこかで聞いたようなセリフを吐く義父に、エドヴァルドが沈黙している。
そしてやがて諦めたように身体を起こすと、気だるげに髪をかき上げていた。
……勘弁して下さい、色気が駄々洩れです。
「夕食をとらずにもう少し互いに補充していても良かったが、それではエリィとレイナちゃんが、あんまりだ。諦めて食堂へ来い」
「…………承知した。話しておきたいこともあるしな」
「忘れていなかったのなら、何よりだ」
そう言ってイル義父様は身を翻さ――なかった。
多分、そうしたらエドヴァルドが来ないと思ったのかも知れない。
本当に観念したエドヴァルドが立ち上がって、私にエスコートの手を差し伸べてくれるまで、イル義父様はそこから動かなかった。
「エリィは先に食堂に案内しておいたよ。あまり待たせると寂しがらせてしまう。さ、行こうか」
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