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第三部 宰相閣下の婚約者
636 その名付けは黒歴史?
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「どうしました、ユセフ。当家の護衛の使用権を委ねられたのは貴方でしょう。だからレイナちゃんは、貴方に伺いを立てているのよ?」
「母上……」
「いくら普段は高等法院で働きづめと言っても、レイナちゃんよりは護衛と使用人の特性を把握しているでしょう?今回動くのに相応しいのは誰なのか、何人必要なのか。ちゃんと考えて選んでいらっしゃい」
エリィ義母様の言葉に、お義兄様はハッと目を瞠った後、両方の拳をぐっと握りしめた。
「……ステット、ゼイルスはどこだ」
ゼイルス、はフォルシアン公爵家における護衛集団の長、イデオン家で言うところのファルコの立ち位置にいる男性の名前だと教わったばかりだ。
今日の大半を、ファルコたちと行動を共にしていた大柄な護衛の青年が、問われてお義兄様の方を向いた。
「昼の間、そちらのご夫人の所在確認に一度出た後は、本来夫人が向かわれる筈だったセルマの街に、様子を探りに行っておいでです。もう戻られるのではないかと……」
なるほど。
どうせコンティオラ公爵夫人が探しに行こうとしていたのならと、ブロッカ商会商会長の所在確認に出たと言うことか。
まだ誰も指示をしていなかったところにも先回りが出来るあたり、さすがフォルシアン公爵家の護衛の長だ。
彼らにも〝鷹の眼〟みたいな呼び方はあるのだろうか。
イデオン家の〝鷹の眼〟と言うのは、何とまだ当主になる前のエドヴァルド少年が、その情報収集能力の高さに驚いて、当時読んでいた民俗学の本の中から名前を付けたと言う逸話が残っていた。
どうやら本人的には中二病よろしくやらかしてしまったと言う照れでもあるのか、あまりその由来は語りたがらない。
こっそりセルヴァンが渡してくれた本の中で、まるでエジプトのホルスの眼にも似た話が、ここアンジェスでも存在していたのだと知ったのだ。
すべてを見通す知恵――鷹の眼、と。
今聞くことではないだろうから、あとでこっそりフォルシアン公爵家はどうなのかと、確認してみよう。
なければないで、何か考えて良いか、イル義父様にでも聞いてみよう。
こちらは〝鷹の眼〟で、こちらは護衛集団――何だか不便、不公平な気がする。
……などと考えていると果てしなく脱線してしまいそうだったので、私は一度かぶりを振って、思考を元に引きずり戻した。
コンティオラ公爵夫人が馬車の事故に遭った時間を考えれば、そして馬車ではなく馬を走らせていると仮定をすれば、泊まらなければギリギリ夜の内には戻って来られる。
ステットの発言は、そう言うことなんだろう。
お義兄様も「そうか」と頷いただけだった。
「では、フィンケは残っている筈だな。ゼイルスが戻るまで、人員配置の確認をするぞ」
フィンケはナンバー2、イザクの立ち位置と同じだ。
トップがいないなら、ナンバー2は残っている筈と判断して、ステットもそれを否定しなかった。
どうやらステット自身は〝鷹の眼〟で照らし合わせるとフィト相当、腕っぷしでの二番手と言うことらしい。
ただ私は、彼らそれぞれの得意分野を知らない。
同じ護衛、裏方集団としては〝鷹の眼〟の皆の方が潜在能力が高いとも聞いている。
ただそれでも、五公爵家の護衛として雇われるほどなのだから、標準以上のスキルは皆ある筈だった。
近いうち、ゼイルスとも話をしてみようと思いつつ、私はイル義父様の執務室の方へと向かうお義兄様を見送った。
「ひとことくらい、レイナちゃんに『分かった』と言えないのかしら……しようのない子ね、貴女のお義兄さまは……」
片手を頬にあてて首を傾げるエリィ義母様。
「悪態をつかなくなってきただけでも、少しは前進しているのかしら……?」
そんじょそこらのモブ令嬢がそれをやれば、ただあざといだけだろうに、絶世の美女であるエリィ義母様がやると、嫌味どころかドハマりもいいところだ。
私には絶対出来ないな、と思った。
「――では私も、そろそろこちらを出させていただきます」
そんな中、同じようにお義兄様を見送ったところで、ヒース君がそう言ってこちらに頭を下げた。
「――母上」
そうしてこちらが何かを答える前に、敢えて表情を出さずに母親の方を向いた。
「私は一切の忖度はしませんし、させません。コトはもう、一公爵家の中だけで片付く範囲を大きく逸脱してしまったのですから」
血の繋がった姉ではなく、連綿と続く五公爵家――「コンティオラ公爵家」を、次期として尊重するとヒース君は言った。
「ええ……ええ、そうね。貴方が正しいわ、ヒース。いよいよとなれば、私をまず切り捨てなさい。私はそのことで貴方を恨むことも責めることもしませんから」
「……だから、なぜ……」
ヒース君の呻きは、私にも理解は出来た。
その覚悟があるなら、どうしてマリセラ嬢にもっと厳しく接することが出来なかったかと言いたいのだろう。
ただ、それを今言ったところで、もう仕方がないと、グッとそれを呑み込んだように見えた。
「……誤解しないで下さい、母上」
拳を握りしめて、それでも顔を上げる。
「言いたいことは色々とありますが、だからと言って、エモニエ侯爵家ごと母上と姉上を切り捨てて、コンティオラ公爵家の安泰を図るなどと……そんな低俗な、どこぞの侯爵家だか他国の公爵家だかの思惑に乗るつもりは微塵もありませんから」
「ヒース……」
「貴女と父上の息子は、そんなヤワな育ち方はしていませんので」
ヒース君はそう言い残すと、今度こそ、颯爽と言っても良い動きで身を翻した。
「……次代のコンティオラ公爵は、手強そうですわねぇ……」
立ち去るヒース君の後ろ姿を見送りながら、感心したように呟くエリィ義母様に、私も全面的に賛成したくなった。
母親の前では言いづらいけれど、アレは良い具合に将来腹黒に育ちそうな気がする。
内面だけを言うなら、彼の方がむしろイル義父様の息子と言っても良いくらいかも知れない。
「ああ、じゃあオレは一応あのお坊ちゃんに付いていって、ついでに周辺の様子も確かめてくるわ。何、自分の目で確認しておきたいだけだ。朝までには戻る」
ラジス副団長が、そう言いながらヒース君を追いかけていき、更にキーロも「ワタシも、同じ。すぐにまた戻る」と、それに続いた。
「…………」
後にポツンと残されたところで、私はそうだ――と、それまで肩の上で静かにしていたリファちゃんを、指に止まらせた。
「夜もまだ長いし……じゃあリファちゃん、お肉食べようか?食べさせてあげるねー」
「チチチッ……!」
待ちくたびれた!と言わんばかりに、リファちゃんがくるると喉を鳴らしながら、羽根をぱたたと羽ばたかせた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
いつも有難うございます!
〝鷹の眼〟の他公爵家版の二つ名……募集したら応募あるかなぁ……? |⌔•..)チラッ.
「母上……」
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お義兄様も「そうか」と頷いただけだった。
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同じ護衛、裏方集団としては〝鷹の眼〟の皆の方が潜在能力が高いとも聞いている。
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片手を頬にあてて首を傾げるエリィ義母様。
「悪態をつかなくなってきただけでも、少しは前進しているのかしら……?」
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ヒース君はそう言い残すと、今度こそ、颯爽と言っても良い動きで身を翻した。
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