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第二部 宰相閣下の謹慎事情
373 「今回限り」に誰しも弱い。
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
「ホントだ、レイナ様!これ〝カフェ・キヴェカス〟のチーズケーキとか〝イクスゴード〟のタルトとかとも全然違うね!この…チェリー?母上好きそうだし、僕は飲めないからジュースだけど、お酒の方はチャペックなら飲めるかも!」
「そっか!じゃあ、ケーキのレシピと…お酒なら、持って帰れるんじゃない?」
そんな事を言いながら、私とミカ君が話しながら〝クラフティ〟を口にしていると、果実酒を口にしているエドヴァルドが、不思議そうにこちらに視線を向けた。
「…と言うか、今回は特例で小型転移装置を貸与されているんだ。レシピに加えて、実物だって持ち帰れるんじゃないのか?」
「「「‼︎」」」
その瞬間、ミカ君どころかスヴェンテ老公爵や、給仕中だったハナ侍女長までが、大きく目を瞠っていた。
「逆に、今年しか出来ない事だとも言えるが」
ダメ押しの様な一言に、スヴェンテ老公爵が「ミカ殿、ぜひ持ち帰ってくれぬか」と、一見にこやか、その実かなりの押しをこめて、ミカ君に話しかけた。
「えっ、良いんですか⁉︎」
「無論だとも。酒などは其方の父も祖父も口にしておったし、特に祖父などは甘い物も好きで〝クラフティ〟も口にしておった。母君などは喜ばれるのではないかな」
多めに木箱に詰めるから、留守を任されていた家令や使用人達にも振る舞ってやると良い――。
あくまでさりげなく、スヴェンテ老公爵はそう言って、ハナ侍女長に目配せをしていた。
「良かったね、ミカ君!確か〝イクスゴード〟のクッキーも貰ったんだよね?当分甘いものに困らないだろうけど、食べ過ぎると横に成長しちゃうから、気を付けて!定期的な運動を忘れずに!」
「え、そうなんだ⁉︎うん、横の成長は困るから、気を付けるよ!早くレイナ様と踊れるように、縦に成長しなくちゃだし!」
気合いを入れる様に拳を握るミカ君に、スヴェンテ老公爵は微笑ましげだったけど、エドヴァルドは微かに表情を痙攣らせていた。
「ミカ殿は、すっかりレイナ嬢に心酔しておるようだな」
「チャペックとレイナ様は、僕の中では別格なんです!母上も僕も、二人がいなかったら、今ここでこうしていられたかどうかは分からないから!」
「あー…うん、気持ちは有難く頂くけど、チャペックと一括りじゃなくて良いかな……?」
スヴェンテ老公爵の前では言えないけど、アレは一度はぶん殴らないとだし。
「ええっ⁉︎」
何で⁉︎って表情してるけど、ゴメンね、ミカ君。
これは譲れないのよ、うん。
「大旦那様、団欒の間の方に、護衛の方と手分けして持てそうなだけ、用意致しました」
そうこうしているうちに、いい時間になっていたんだろう。
手土産の用意を声がけのタイミングとするかのように、ハナ侍女長がこちらに話しかけて来た。
途端にミカ君が、シュンとした表情になる。
「また来年かな、ミカ君?」
「うん…でも、手紙は書くよ!チャペックが、今、母上の父上がぐちゃぐちゃにしちゃった白磁器の販路を整理してくれてる筈だから、帰ったらそれを手伝って、今回王都で知り合った人達にも手紙を書いて、新しい販路も作るんだ!僕、頑張るね!」
ああ…ミカ君的には、イリナ夫人を虐げていたコヴァネン子爵は「お祖父ちゃん」と呼ぶに値しないのか。
あの様子だと、コヴァネン子爵はきっと自分の懐が潤いそうな商会や下位貴族を優遇していて、故ハルヴァラ伯爵が開拓した既存の販路を切り捨てたりしていたんだろう。
無自覚に凄いな。将来やっぱり黒くなっちゃいそうだな……お姉さん、泣いちゃうよ?
「ミカ殿、もしその取引先の中にスヴェンテ公爵領傘下の貴族の名が出てくるようになれば、ウチに連絡をしてきなさい。口利きなり仲裁なり、手は貸せるからな」
「はい、ありがとうございます!」
どうやらカミルが仕える家の、近未来の主として、ミカ君はスヴェンテ老公爵のお眼鏡に適ったと言う事なんだろう。
スヴェンテ老公爵は、好々爺然とした表情で頷いていた。
「さて、まずは団欒の間からミカ殿が領へ戻るのだったな」
それを合図にガゼボの茶会はお開きになり「この先の花も見て行ってくれたまえ」との老公爵の一言で、元来た道ではなく、庭園を歩き切る形で、邸宅の方へと皆で戻って行った。
「……ウルリック副長、アレ、持てそう?」
――そして団欒の間には、原付バイクに乗る出前持ちの蕎麦を思わず彷彿とさせた、一つ一つは幅の小さな木箱が、複数机の上に積み重ねてあった。
出前持ちの蕎麦って、現実だと何段くらい肩に乗せられるものなんだろうか…などと、うっかり思ってしまったのは、さておき。
「侍女長……」
さすがの老公爵も目を丸くしていたけど、ハナ侍女長は「ですが大旦那様、もしかしたら二度とないかも知れない訳ですし……」と、まだ持たせたいとでも言い出しかねないくらいだった。
「まぁ…これがギリギリでしょうか。私は前が見えなくなりそうですから、ミカ殿に装置を持って貰って、背を押して貰うか何かすれば、何とか……」
ただ、ウルリック副長がそう言った為に、かろうじて踏み止まった雰囲気がありありとしていた。
「…なら、そうしてやってくれ。装置を使えるなどと、今回限りだからな。遅くなった詫びとでも、向こうには伝えてくれて構わん」
そして、その「持ち帰り」をエドヴァルドが許可する形で、最終的に話は落ち着いた。
「ウルリック、行き帰り共に行き先登録は済ませてあるのか?」
「もちろんです、お館様。ハルヴァラ伯爵邸玄関ホールと、イデオン公爵邸玄関ホールをそれぞれ登録済みです」
「それで良い。ベルセリウスはそれまで公爵邸の団欒の間で待たせておくから、ハルヴァラ伯爵邸で引き留められようと、それには応えずに戻って来い。今回の騒動に関して、必要以上に情報を抜き取られるのは困る。あそこの家令は、多分おまえと似たタイプだろうからな、ウルリック。最初から会話をしないに越したことはない」
「…なるほど。いまひとつ褒められている気がしませんが、警戒をしないといけない人物だと言うのは理解しています。委細承知しました、お館様」
「スヴェンテ老公爵様、今日はありがとうございました。イデオン公爵様、レイナ様、お世話になりました」
そう言って、ミカ君もペコリと頭を下げる。
――二人はそうして、広がった暗い穴の向こうに姿を消した。
「まあ、彼も不本意でしょうが、致し方ないでしょうな。何せまだ6歳だ」
ベルセリウス将軍の言葉が、この場の皆の内心を代弁しているかのようだった。
では、我々も…と、エドヴァルドがそう言いかけたところで、邸宅の奥から現れた、家令と思しき男性が、この場を見回して一礼すると、スヴェンテ老公爵に何やら耳打ちをしていた。
「ほう…ちょうど良いな、団欒の間に案内しておいて貰おうか」
イデオン公、とスヴェンテ老公爵がエドヴァルドに語りかける。
「運が良い…と言うべきなのか、ラヴォリ商会の者が厨房入口に来ているそうだ。会っていくかね?」
「―――」
私とエドヴァルドは、思わずと言った態で顔を見合わせた。
「ホントだ、レイナ様!これ〝カフェ・キヴェカス〟のチーズケーキとか〝イクスゴード〟のタルトとかとも全然違うね!この…チェリー?母上好きそうだし、僕は飲めないからジュースだけど、お酒の方はチャペックなら飲めるかも!」
「そっか!じゃあ、ケーキのレシピと…お酒なら、持って帰れるんじゃない?」
そんな事を言いながら、私とミカ君が話しながら〝クラフティ〟を口にしていると、果実酒を口にしているエドヴァルドが、不思議そうにこちらに視線を向けた。
「…と言うか、今回は特例で小型転移装置を貸与されているんだ。レシピに加えて、実物だって持ち帰れるんじゃないのか?」
「「「‼︎」」」
その瞬間、ミカ君どころかスヴェンテ老公爵や、給仕中だったハナ侍女長までが、大きく目を瞠っていた。
「逆に、今年しか出来ない事だとも言えるが」
ダメ押しの様な一言に、スヴェンテ老公爵が「ミカ殿、ぜひ持ち帰ってくれぬか」と、一見にこやか、その実かなりの押しをこめて、ミカ君に話しかけた。
「えっ、良いんですか⁉︎」
「無論だとも。酒などは其方の父も祖父も口にしておったし、特に祖父などは甘い物も好きで〝クラフティ〟も口にしておった。母君などは喜ばれるのではないかな」
多めに木箱に詰めるから、留守を任されていた家令や使用人達にも振る舞ってやると良い――。
あくまでさりげなく、スヴェンテ老公爵はそう言って、ハナ侍女長に目配せをしていた。
「良かったね、ミカ君!確か〝イクスゴード〟のクッキーも貰ったんだよね?当分甘いものに困らないだろうけど、食べ過ぎると横に成長しちゃうから、気を付けて!定期的な運動を忘れずに!」
「え、そうなんだ⁉︎うん、横の成長は困るから、気を付けるよ!早くレイナ様と踊れるように、縦に成長しなくちゃだし!」
気合いを入れる様に拳を握るミカ君に、スヴェンテ老公爵は微笑ましげだったけど、エドヴァルドは微かに表情を痙攣らせていた。
「ミカ殿は、すっかりレイナ嬢に心酔しておるようだな」
「チャペックとレイナ様は、僕の中では別格なんです!母上も僕も、二人がいなかったら、今ここでこうしていられたかどうかは分からないから!」
「あー…うん、気持ちは有難く頂くけど、チャペックと一括りじゃなくて良いかな……?」
スヴェンテ老公爵の前では言えないけど、アレは一度はぶん殴らないとだし。
「ええっ⁉︎」
何で⁉︎って表情してるけど、ゴメンね、ミカ君。
これは譲れないのよ、うん。
「大旦那様、団欒の間の方に、護衛の方と手分けして持てそうなだけ、用意致しました」
そうこうしているうちに、いい時間になっていたんだろう。
手土産の用意を声がけのタイミングとするかのように、ハナ侍女長がこちらに話しかけて来た。
途端にミカ君が、シュンとした表情になる。
「また来年かな、ミカ君?」
「うん…でも、手紙は書くよ!チャペックが、今、母上の父上がぐちゃぐちゃにしちゃった白磁器の販路を整理してくれてる筈だから、帰ったらそれを手伝って、今回王都で知り合った人達にも手紙を書いて、新しい販路も作るんだ!僕、頑張るね!」
ああ…ミカ君的には、イリナ夫人を虐げていたコヴァネン子爵は「お祖父ちゃん」と呼ぶに値しないのか。
あの様子だと、コヴァネン子爵はきっと自分の懐が潤いそうな商会や下位貴族を優遇していて、故ハルヴァラ伯爵が開拓した既存の販路を切り捨てたりしていたんだろう。
無自覚に凄いな。将来やっぱり黒くなっちゃいそうだな……お姉さん、泣いちゃうよ?
「ミカ殿、もしその取引先の中にスヴェンテ公爵領傘下の貴族の名が出てくるようになれば、ウチに連絡をしてきなさい。口利きなり仲裁なり、手は貸せるからな」
「はい、ありがとうございます!」
どうやらカミルが仕える家の、近未来の主として、ミカ君はスヴェンテ老公爵のお眼鏡に適ったと言う事なんだろう。
スヴェンテ老公爵は、好々爺然とした表情で頷いていた。
「さて、まずは団欒の間からミカ殿が領へ戻るのだったな」
それを合図にガゼボの茶会はお開きになり「この先の花も見て行ってくれたまえ」との老公爵の一言で、元来た道ではなく、庭園を歩き切る形で、邸宅の方へと皆で戻って行った。
「……ウルリック副長、アレ、持てそう?」
――そして団欒の間には、原付バイクに乗る出前持ちの蕎麦を思わず彷彿とさせた、一つ一つは幅の小さな木箱が、複数机の上に積み重ねてあった。
出前持ちの蕎麦って、現実だと何段くらい肩に乗せられるものなんだろうか…などと、うっかり思ってしまったのは、さておき。
「侍女長……」
さすがの老公爵も目を丸くしていたけど、ハナ侍女長は「ですが大旦那様、もしかしたら二度とないかも知れない訳ですし……」と、まだ持たせたいとでも言い出しかねないくらいだった。
「まぁ…これがギリギリでしょうか。私は前が見えなくなりそうですから、ミカ殿に装置を持って貰って、背を押して貰うか何かすれば、何とか……」
ただ、ウルリック副長がそう言った為に、かろうじて踏み止まった雰囲気がありありとしていた。
「…なら、そうしてやってくれ。装置を使えるなどと、今回限りだからな。遅くなった詫びとでも、向こうには伝えてくれて構わん」
そして、その「持ち帰り」をエドヴァルドが許可する形で、最終的に話は落ち着いた。
「ウルリック、行き帰り共に行き先登録は済ませてあるのか?」
「もちろんです、お館様。ハルヴァラ伯爵邸玄関ホールと、イデオン公爵邸玄関ホールをそれぞれ登録済みです」
「それで良い。ベルセリウスはそれまで公爵邸の団欒の間で待たせておくから、ハルヴァラ伯爵邸で引き留められようと、それには応えずに戻って来い。今回の騒動に関して、必要以上に情報を抜き取られるのは困る。あそこの家令は、多分おまえと似たタイプだろうからな、ウルリック。最初から会話をしないに越したことはない」
「…なるほど。いまひとつ褒められている気がしませんが、警戒をしないといけない人物だと言うのは理解しています。委細承知しました、お館様」
「スヴェンテ老公爵様、今日はありがとうございました。イデオン公爵様、レイナ様、お世話になりました」
そう言って、ミカ君もペコリと頭を下げる。
――二人はそうして、広がった暗い穴の向こうに姿を消した。
「まあ、彼も不本意でしょうが、致し方ないでしょうな。何せまだ6歳だ」
ベルセリウス将軍の言葉が、この場の皆の内心を代弁しているかのようだった。
では、我々も…と、エドヴァルドがそう言いかけたところで、邸宅の奥から現れた、家令と思しき男性が、この場を見回して一礼すると、スヴェンテ老公爵に何やら耳打ちをしていた。
「ほう…ちょうど良いな、団欒の間に案内しておいて貰おうか」
イデオン公、とスヴェンテ老公爵がエドヴァルドに語りかける。
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