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第二部 宰相閣下の謹慎事情
【アンジェス王宮Side】護衛騎士サタノフの旗幟(前)
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
レイフ・アンジェス殿下を頂点とする特殊部隊にいた際にも、この国の国王陛下は、自らの手を血で濡らす事を全く厭っていないと、事あるごとに殿下や上司から聞かされていた。
が、自らその現場を目にした時には、さすがに自分の顔が痙攣ったのが分かった。
同じ事を自分がやるのと、国王陛下がやるのとでは、受ける衝撃が違い過ぎた。
表向き、淡々と死体を片付けているように見せてはいたが、それがこの国でも重要人物である筈の、五公爵の一人とあっては、内心穏やかざる事甚だしかった。
そのまま、クヴィスト公爵と一緒にいたサレステーデのドナート第二王子を拘束して、貴族牢に放り込んだところまでは良かったものの、翌日、宰相閣下からの唐突な呼び出しを喰らった。
「サタノフ、話がある」
「は……」
イデオン公爵邸で、レイナ様に仕える事は諦めろとファルコからは釘を刺されているだけに、宰相閣下の用件に想像がつかず、表情の選択に困ってしまった。
「お前はまだ、レイフ殿下の膝元に入り込めるか?」
そして思いもよらなかった話に、らしくもなく目を瞠った。
「と、おっしゃいますと」
「直接会う訳にはいかないが、内々に通したい話がある」
「レイフ殿下に、ですか?」
とは言え、そもそも一介の護衛騎士ごときが、天下の宰相閣下に詳細な説明を乞う訳にもいかず、聞かれた事に答えるしかない。
「お呼び立てをして、どこかに来ていただく事は流石に難しいですが、手紙を渡したり、伝言を伝えたりする程度であれば、まだ可能かと」
そもそもが、特殊部隊の中で上層部に位置していた訳ではないと言うのもあるが、既に特殊部隊は多くの人間がその傍を離れていて、今はただの殿下の護衛部隊になっていると言って良い状況なのだ。
ギーレンのエドベリ王子が来訪するのに前後して、資金源だった銀の取引を抑制された結果、右にも左にも動けなくなり、一王族として日々を過ごすしかないのが、今の殿下の実情だった。
そんな状況下で自分がノコノコと出向いて、言わば「見限った」側である自分を信用して、呼び出しに応えて貰えるなどとは、到底思えなかった。
「手紙……は、今は難しいな。何らかの拍子に、外へ洩れたりしたら大変な事になる。では、話を伝えて貰う事にしようか。概要だけを話すから、その気が出たら宰相室へ来て貰いたい、詳しくはそこで――と」
「承知致しました」
そう頭を下げた後で、宰相閣下から聞かされた話の内容に、思わず口が半開きになってしまったのは、仕方がないと思う。
アンジェス国は、周辺国のどこよりも国土が狭い。
そのため、常に周辺諸国から併合の圧力にさらされていると言う印象が、どの国にもあった筈だ。
それをこちら側から「サレステーデを潰す」と、そう言っているようにしか聞こえなかったのだ。
「あの馬鹿王子が腹を括った。真偽のほどはともかく、第一王子では国が滅ぶと本気で考えたんだろう。そう思うなら、こちらはそれに手を貸すだけだ。国民の生活が変わらず、動揺が最低限で済むのなら、国の形態には拘らないとまで決断したんだ。レイフ殿下を派遣するのは、せめてもの敬意の表れと、陛下も賛成されている」
「………」
どう聞いても白々しく思えてしまうのは、あの「血塗れ陛下」を見たからだろうか。
と言うかそもそも、アンジェス国において、甥である現陛下を放逐して、自分がその地位に就く事を望んでいたレイフ殿下が、果たしてそれを是とするのか。
色々とツッコミどころ満載、と言う思いが正直なところだった。
こちらの表情からもそれを察したのか、宰相閣下がチラッとこちらに視線を向けたように見えた。
「…別にこちらは、殿下が内心でどう思おうと、どうでも良い。ただ、サレステーデへ行けば今の王族直轄領としての殿下の所領よりも大きな領土を統べる事が出来る。ドナート第二王子の血筋と派閥を上手く利用すれば、今のアンジェスでの飼い殺し状態よりは遥かにマシな環境を手に入れられる筈だ。王子は三人いて、第三王子は正妃腹だそうだが、現時点で既に国内非主流派侯爵家への婿入りが決まっているらしいから、障害にはならんだろう。バリエンダールの風下に立つくらいは、ささやかなおまけと思えば良い」
と言う事を遠回しに言え――と、なかなかの無茶ぶりをされた。
確かに今よりは大きな決裁権を得る事は出来るだろう。
ただ、上に立つのがアンジェスのフィルバート国王陛下から、バリエンダールのメダルド国王陛下に代わるだけだと言う事実は、厳然として存在する。
馬鹿正直に告げれば、あのプライドの高い殿下が、首肯される筈がない……気がする。
とは言え、自分に拒否権がない事もまた確かだ。
とりあえず、ため息を一つついて、顔を上げた。
「自分に出来るのは、せいぜい殿下を宰相室に誘導する事くらいですが、構いませんか?」
「現状を理解して貰えさえすれば、別に構わない」
「………」
手段を問わず結果のみを要求される事は、本来有難い事ではあるのだが。
宰相室で働く面々は大変だなと、一瞬同情してしまったのは秘密だ。
* * *
「その通路を使う者が、まだいたか」
王都の端に、五公爵家当主よりも広大な敷地を持つレイフ・アンジェス殿下の邸宅には、特殊部隊所属者のみに許された、認識阻害のかかる通路があった。
通路の先は殿下の執務室であり、普段は、王家が購入する物資の管理が、主な殿下の公務だった。
基本的には、真面目な人だと思うのだ。
ただただ、フィルバート陛下が絡んだ時点で、甥憎しの感情が先走るのだ。
その心境を推し量るつもりはないし、特段知りたいとも思わないが。
「申し訳ありません。私は今や宰相閣下の使いでありながらも、こちらを使用させて頂きました」
頭を下げる私を、殿下は見ようともしなかった。
元から、私の氏素性すら覚えてはいない筈である。
「ふん…イデオン宰相に鞍替えした『犬』か」
イデオン宰相と言うよりは、レイナ様についたつもりではいるのだが、殿下にとっては恐らくどうでも良い事だろう。
私は敢えて何も言わない道を選んだ。
「それで何用か」
手は動かしたまま、殿下が問う。
邸宅付の護衛を呼んで、問答無用で斬り捨てるつもりは、どうやらないらしい。
不審そうに眉を顰めたまま、なかなか用件を言わない私に、ようやく殿下が書類から目を離した。
「例え『犬』だとて、霞を喰って生きていけるものでもあるまい。金払いの良い方に流れる者が出るのは、始めから想定済みよ。まあ。予想よりも多かった事は認めるがな」
以前の自分なら流していただろうが、今は「金の為に仰ぐ旗を変えた」と言われたところで、思わず反発をしてしまった。
「私は、捕らえられた末に、仰ぐ旗を変える事を選んだ者です。決して金に左右された訳ではありません。殿下にはどちらも瑣末事であるやも知れませんが」
「そうだな。金を優先しようが命を優先しようが、確かに私にはどうでも良い事だ。まあ私を殺しに来たのなら、さすがに今の護衛を呼ぶがな。ただそれならとっくに動いているだろう。いいからさっさと用件を言え。見ての通り暇を持て余している訳でもなければ『犬』相手に無駄話をしたい訳でもない」
無駄話と言われれば、反論のしようがない。
失礼致しました、と私は頭を下げて、要件を切り出した。
レイフ・アンジェス殿下を頂点とする特殊部隊にいた際にも、この国の国王陛下は、自らの手を血で濡らす事を全く厭っていないと、事あるごとに殿下や上司から聞かされていた。
が、自らその現場を目にした時には、さすがに自分の顔が痙攣ったのが分かった。
同じ事を自分がやるのと、国王陛下がやるのとでは、受ける衝撃が違い過ぎた。
表向き、淡々と死体を片付けているように見せてはいたが、それがこの国でも重要人物である筈の、五公爵の一人とあっては、内心穏やかざる事甚だしかった。
そのまま、クヴィスト公爵と一緒にいたサレステーデのドナート第二王子を拘束して、貴族牢に放り込んだところまでは良かったものの、翌日、宰相閣下からの唐突な呼び出しを喰らった。
「サタノフ、話がある」
「は……」
イデオン公爵邸で、レイナ様に仕える事は諦めろとファルコからは釘を刺されているだけに、宰相閣下の用件に想像がつかず、表情の選択に困ってしまった。
「お前はまだ、レイフ殿下の膝元に入り込めるか?」
そして思いもよらなかった話に、らしくもなく目を瞠った。
「と、おっしゃいますと」
「直接会う訳にはいかないが、内々に通したい話がある」
「レイフ殿下に、ですか?」
とは言え、そもそも一介の護衛騎士ごときが、天下の宰相閣下に詳細な説明を乞う訳にもいかず、聞かれた事に答えるしかない。
「お呼び立てをして、どこかに来ていただく事は流石に難しいですが、手紙を渡したり、伝言を伝えたりする程度であれば、まだ可能かと」
そもそもが、特殊部隊の中で上層部に位置していた訳ではないと言うのもあるが、既に特殊部隊は多くの人間がその傍を離れていて、今はただの殿下の護衛部隊になっていると言って良い状況なのだ。
ギーレンのエドベリ王子が来訪するのに前後して、資金源だった銀の取引を抑制された結果、右にも左にも動けなくなり、一王族として日々を過ごすしかないのが、今の殿下の実情だった。
そんな状況下で自分がノコノコと出向いて、言わば「見限った」側である自分を信用して、呼び出しに応えて貰えるなどとは、到底思えなかった。
「手紙……は、今は難しいな。何らかの拍子に、外へ洩れたりしたら大変な事になる。では、話を伝えて貰う事にしようか。概要だけを話すから、その気が出たら宰相室へ来て貰いたい、詳しくはそこで――と」
「承知致しました」
そう頭を下げた後で、宰相閣下から聞かされた話の内容に、思わず口が半開きになってしまったのは、仕方がないと思う。
アンジェス国は、周辺国のどこよりも国土が狭い。
そのため、常に周辺諸国から併合の圧力にさらされていると言う印象が、どの国にもあった筈だ。
それをこちら側から「サレステーデを潰す」と、そう言っているようにしか聞こえなかったのだ。
「あの馬鹿王子が腹を括った。真偽のほどはともかく、第一王子では国が滅ぶと本気で考えたんだろう。そう思うなら、こちらはそれに手を貸すだけだ。国民の生活が変わらず、動揺が最低限で済むのなら、国の形態には拘らないとまで決断したんだ。レイフ殿下を派遣するのは、せめてもの敬意の表れと、陛下も賛成されている」
「………」
どう聞いても白々しく思えてしまうのは、あの「血塗れ陛下」を見たからだろうか。
と言うかそもそも、アンジェス国において、甥である現陛下を放逐して、自分がその地位に就く事を望んでいたレイフ殿下が、果たしてそれを是とするのか。
色々とツッコミどころ満載、と言う思いが正直なところだった。
こちらの表情からもそれを察したのか、宰相閣下がチラッとこちらに視線を向けたように見えた。
「…別にこちらは、殿下が内心でどう思おうと、どうでも良い。ただ、サレステーデへ行けば今の王族直轄領としての殿下の所領よりも大きな領土を統べる事が出来る。ドナート第二王子の血筋と派閥を上手く利用すれば、今のアンジェスでの飼い殺し状態よりは遥かにマシな環境を手に入れられる筈だ。王子は三人いて、第三王子は正妃腹だそうだが、現時点で既に国内非主流派侯爵家への婿入りが決まっているらしいから、障害にはならんだろう。バリエンダールの風下に立つくらいは、ささやかなおまけと思えば良い」
と言う事を遠回しに言え――と、なかなかの無茶ぶりをされた。
確かに今よりは大きな決裁権を得る事は出来るだろう。
ただ、上に立つのがアンジェスのフィルバート国王陛下から、バリエンダールのメダルド国王陛下に代わるだけだと言う事実は、厳然として存在する。
馬鹿正直に告げれば、あのプライドの高い殿下が、首肯される筈がない……気がする。
とは言え、自分に拒否権がない事もまた確かだ。
とりあえず、ため息を一つついて、顔を上げた。
「自分に出来るのは、せいぜい殿下を宰相室に誘導する事くらいですが、構いませんか?」
「現状を理解して貰えさえすれば、別に構わない」
「………」
手段を問わず結果のみを要求される事は、本来有難い事ではあるのだが。
宰相室で働く面々は大変だなと、一瞬同情してしまったのは秘密だ。
* * *
「その通路を使う者が、まだいたか」
王都の端に、五公爵家当主よりも広大な敷地を持つレイフ・アンジェス殿下の邸宅には、特殊部隊所属者のみに許された、認識阻害のかかる通路があった。
通路の先は殿下の執務室であり、普段は、王家が購入する物資の管理が、主な殿下の公務だった。
基本的には、真面目な人だと思うのだ。
ただただ、フィルバート陛下が絡んだ時点で、甥憎しの感情が先走るのだ。
その心境を推し量るつもりはないし、特段知りたいとも思わないが。
「申し訳ありません。私は今や宰相閣下の使いでありながらも、こちらを使用させて頂きました」
頭を下げる私を、殿下は見ようともしなかった。
元から、私の氏素性すら覚えてはいない筈である。
「ふん…イデオン宰相に鞍替えした『犬』か」
イデオン宰相と言うよりは、レイナ様についたつもりではいるのだが、殿下にとっては恐らくどうでも良い事だろう。
私は敢えて何も言わない道を選んだ。
「それで何用か」
手は動かしたまま、殿下が問う。
邸宅付の護衛を呼んで、問答無用で斬り捨てるつもりは、どうやらないらしい。
不審そうに眉を顰めたまま、なかなか用件を言わない私に、ようやく殿下が書類から目を離した。
「例え『犬』だとて、霞を喰って生きていけるものでもあるまい。金払いの良い方に流れる者が出るのは、始めから想定済みよ。まあ。予想よりも多かった事は認めるがな」
以前の自分なら流していただろうが、今は「金の為に仰ぐ旗を変えた」と言われたところで、思わず反発をしてしまった。
「私は、捕らえられた末に、仰ぐ旗を変える事を選んだ者です。決して金に左右された訳ではありません。殿下にはどちらも瑣末事であるやも知れませんが」
「そうだな。金を優先しようが命を優先しようが、確かに私にはどうでも良い事だ。まあ私を殺しに来たのなら、さすがに今の護衛を呼ぶがな。ただそれならとっくに動いているだろう。いいからさっさと用件を言え。見ての通り暇を持て余している訳でもなければ『犬』相手に無駄話をしたい訳でもない」
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