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第二部 宰相閣下の謹慎事情
301 要教育案件?
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
「えーっと…エドヴァルド様がお忙しいようでしたら、私がミカ君に付き添いましょうか……?」
明日、サレステーデの第一王子が表向き、第二王子と第一王女を引き取る名目で来ると言うのなら、確実に明後日や明々後日も、その後始末に追われていそうな気がする。
財務を預かるスヴェンテ関係者に関しては、娘の夫で実務を束ねるブレヴァル侯爵が、長官としてお世辞抜きに優秀な人らしく、老公爵自身は、王都邸宅で四歳になる孫を公爵として教育する事が、むしろ公務のメインになっているらしかった。
孫の実両親であるスヴェンテ家先代次男、つまりはハルヴァラ伯爵家家令カミル・チャペックの実弟とその妻である元第二王子妃に関しては、ブレヴァル侯爵が王都で財務を束ねる代わりとして、今は侯爵領を運営しているらしい。
王都にいては揉め事の元と、先代及び長男が毒杯を賜ったのと同時に、事実上の追放処分として沙汰が下されたのだ。
ブレヴァル侯爵家直系が長男一人であり、領地は家令が代理で預かっていたが故に、その措置が可能だったそうだ。
つまるところ、四歳にしてその子は、実の両親から引き離されて、曾祖父母の下で育てられていると言う環境にあるのが実状だった。
「今の内から、未来のスヴェンテ公爵と顔を合わせておくのも悪い事ではない気がします。年齢も近いですし」
――私なら、カミル・チャペックの正体を知っていて、口も噤める。
言葉にしなかった所まで、エドヴァルドも正確に察した様だった。
だけど「いや、ダメだ」と、スヴェンテ老公爵の方を向いたまま、冷ややかに言い切った。
「スヴェンテ老公爵の招待を受ける事自体は悪い事じゃない。貴女の言う事も、その通りだ。だが二人でなど行かせられる訳がないだろう。それでは付き添いになっていない。ボードリエ伯爵家へ行くのとは、訳が違う」
「えーっと…スヴェンテ家とは、特段対立していらっしゃらないんですよね?」
「それでもだ。行くのなら、私も共に行く」
「それなら私は要らない気が……」
「えっ、僕、レイナ様と行きたい!スヴェンテ老公爵様も、今日のお料理の話とか、レイナ様とももう少し話をしてみたいって仰ってたよ?」
「「………」」
私とエドヴァルドの会話が耳に届いたミカ君が「はい!」と手を上げる様に言葉を被せてきたところで、エドヴァルドと二人、お互いに顔を見合わせて、言葉が続かなくなってしまった。
「……行くのなら、三人で。サレステーデ王家の連中が帰国した後で、日程を組む。それ以外では許可しない」
折れたのか折れていないのかよく分からないエドヴァルドの結論に、私もミカ君も、何も言えなくなった。
「スヴェンテ公爵邸には、過去には王妃殿下も来臨された程の、多種多様な花が咲く庭園がある。スヴェンテ老公がミカと話したいのであれば、その間、私と貴女とは庭園を見学させて貰えば良い。話が終われば、庭園内のガゼボで合流できるようにすれば、ミカとて後から見る事は出来る」
フォルシアン公爵邸がチョコレートづくしのお茶会を名物としているように、直系が粛清されるより前のスヴェンテ公爵邸では、その庭園でのお茶会が名物だったらしい。
エドヴァルドも、フォルシアン公爵から「いずれ迎える夫人の為に、情報として覚えておけ」とかなんとか、かなり昔に言われていたのだとか。
「……ああ、まあ……もう何年も茶会など開いてはいないが、庭園は年中何かしらの花は咲いている」
ちょっと意外そうな表情を浮かべたスヴェンテ老公爵も、このままミカ君に帰られる方が嫌だったんだろう。
エドヴァルドの出した条件で首肯するより他、なかったみたいだった。
* * *
四人の公爵様方と、フォルシアン公爵夫人が王宮へと戻って行った後は、予め皆に伝えてあったように、そのまま使用人と〝鷹の眼〟たちのランチ会と化した。
「みんな、協力ありがとう!あ、ただ食べないでね!アリかナシか、ハーグルンド領で振る舞えるかどうか、改良の余地があるならあるで、全部聞かせて!」
ベルセリウス将軍やウルリック副長、シャルリーヌにミカ君は、まだそのまま残っていたけれど、もうこの場は全部無礼講にしてしまった。
多分絶対、彼らだって気を遣って思う存分味わえなかった筈だからだ。
そして彼らは全員、使用人たちとの同席を厭わない為人をも持っている。
「はぁ……お米と味噌と、みりんに醤油が欲しいわよね……」
私のすぐ隣に席移動をして、舞茸もどきの天ぷらに塩をかけて食べながら、シャルリーヌが呟いた。
彼女曰くは、そもそも舞茸の天ぷらと松茸の天ぷらが、転生前の「推し」だったらしい。
私のせいで彼女が伯爵令嬢であると言う事実が、この邸宅の中で、どこかに置き去りになっている気もするけれど、彼女の素の部分が出ているだけと言えなくもない。微妙だ。
ちなみにミカ君は、ポテチのチョコがけに虜になった状態で、自ら立食テーブルの方に取りに行っている。
多分身長的に自分でよそうのが難しかったようで、すぐ傍にいたルヴェックが、それを手伝っていた。
「お米がないのもそうだけど、大豆があっても麹菌が作れないからね……」
みりんや醤油があれば、もう少し「うどん」らしくは出来たと思う。
目線でミカ君を追いかけつつ、私はそう呟いた。
ワインは自然発酵で良い(と、オルセン侯爵夫人に聞いた)けど、麹菌ともなると、そうはいかない。
そもそも、穀物に付いている麹の為の菌って?と言うところから始まる上に、それを培養するなどと、更に未知なる作業だ。
そうよねー…と、シャルリーヌもぼやいた。
「パソコンもスマホもないし、麹菌の作り方なんて分かるワケないし?でも、こんなテンプレな事態になるとは思わなかったわ。ギーレンにない、アンジェスにないとなれば――後はベルィフ、バリエンダール、サレステーデとか?真面目にそのうち探しに行きたいくらいよ。それか、前世酒蔵の杜氏さんとか、どこかにいないかしら」
「ああ……ワイン、ウイスキー、エールに……あとはリキュール?少なくとも日本酒は存在していないものね……」
「レイナはお酒飲む人?」
「うーん……日本ではまだ未成年だったし?こっちに来てから初めて口にしたけど、どうもあんまり強くないみたい。シャーリーは?」
「まあ、こっちは社交界デビュー=お酒を飲んで良い年齢だから、多少はね?」
ああ、これはきっと多少どころじゃなく飲む。
そして好きなんだ…と、日本人特有の謙遜文化の果てに、私は察してしまった。
それが証拠に「今、オルセン領で新しいワインの開発途中だから、完成したらお試しで伯爵邸に持って行くわ」と言ったところが、物凄く嬉しそうに微笑ったからだ。
「なぁに、その呆れた顔。言っときますけど、王族のヨメなんて、そもそも『飲みません』『飲めません』が社交上一番通用しないのよ。だってそのお酒が特産品の領があるんだから、会話にならないじゃない。まあ、アンジェスに来てからはほとんど飲んでいないから、弱くなっちゃってる可能性はあるけど」
ギーレンの王妃教育を終えていた強者の話は参考になります、ハイ。
「……酔って朝チュン、とかだけは気を付けてよ……」
心からの願いをこめて私がそう忠告すると、最初こそ「失礼ね!」と切り返したシャルリーヌだったけど、やがてじっ…と、私の方を見つめてきた。
レイナ…と言いかけて、ああダメだ!と、何やら一人で自己完結をさせている。
「この先はもはや、深夜のパジャマトーク案件だわ!言いたい事やら聞きたいことやらいっぱいあるのに!」
「……それはちょっと聞きたくない」
「ダメダメ、レイナが公爵邸から出して貰えなくなる前に、伯爵邸でお泊まり会よ!サレステーデの王子の話が片付いたら、ちゃんと計画立てるからね!」
――公爵邸から出して貰えなくなるって、何。
半目になった私の疑問を見透かしたシャルリーヌが、私の両肩に手を置いて、思い切り揺さぶって来た。
「ちょっとぉ、あの宰相閣下の駄々洩れの牽制に、まさか気が付かないの⁉あのままいったら、陛下ルートじゃないのに、監禁エンド驀進よ⁉今のうちからちゃんと教育しようよ――‼」
「ちょっ……シャーリー……っ」
さすがに声は抑えているけど、言っている内容は物騒極まりない。
「教育って……」
「――お任せ下さいませ、シャルリーヌ様」
「⁉」
多分、揺さぶられている私を気遣って近付いてきたところが、会話の後半が耳に入ってきたんだろう。
絶妙なタイミングで、ヨンナが囁いてきた。
「近頃浮かれすぎな旦那様の教育に関しましては、私ども使用人の悩みの種にもなっておりますので、シャルリーヌ様が危惧されるような事態にはならないよう、充分に留意したいと存じます」
「………」
「……心強いわね」
絶句する私の横で、シャルリーヌが心底感心したとばかりに頷いていた。
「えーっと…エドヴァルド様がお忙しいようでしたら、私がミカ君に付き添いましょうか……?」
明日、サレステーデの第一王子が表向き、第二王子と第一王女を引き取る名目で来ると言うのなら、確実に明後日や明々後日も、その後始末に追われていそうな気がする。
財務を預かるスヴェンテ関係者に関しては、娘の夫で実務を束ねるブレヴァル侯爵が、長官としてお世辞抜きに優秀な人らしく、老公爵自身は、王都邸宅で四歳になる孫を公爵として教育する事が、むしろ公務のメインになっているらしかった。
孫の実両親であるスヴェンテ家先代次男、つまりはハルヴァラ伯爵家家令カミル・チャペックの実弟とその妻である元第二王子妃に関しては、ブレヴァル侯爵が王都で財務を束ねる代わりとして、今は侯爵領を運営しているらしい。
王都にいては揉め事の元と、先代及び長男が毒杯を賜ったのと同時に、事実上の追放処分として沙汰が下されたのだ。
ブレヴァル侯爵家直系が長男一人であり、領地は家令が代理で預かっていたが故に、その措置が可能だったそうだ。
つまるところ、四歳にしてその子は、実の両親から引き離されて、曾祖父母の下で育てられていると言う環境にあるのが実状だった。
「今の内から、未来のスヴェンテ公爵と顔を合わせておくのも悪い事ではない気がします。年齢も近いですし」
――私なら、カミル・チャペックの正体を知っていて、口も噤める。
言葉にしなかった所まで、エドヴァルドも正確に察した様だった。
だけど「いや、ダメだ」と、スヴェンテ老公爵の方を向いたまま、冷ややかに言い切った。
「スヴェンテ老公爵の招待を受ける事自体は悪い事じゃない。貴女の言う事も、その通りだ。だが二人でなど行かせられる訳がないだろう。それでは付き添いになっていない。ボードリエ伯爵家へ行くのとは、訳が違う」
「えーっと…スヴェンテ家とは、特段対立していらっしゃらないんですよね?」
「それでもだ。行くのなら、私も共に行く」
「それなら私は要らない気が……」
「えっ、僕、レイナ様と行きたい!スヴェンテ老公爵様も、今日のお料理の話とか、レイナ様とももう少し話をしてみたいって仰ってたよ?」
「「………」」
私とエドヴァルドの会話が耳に届いたミカ君が「はい!」と手を上げる様に言葉を被せてきたところで、エドヴァルドと二人、お互いに顔を見合わせて、言葉が続かなくなってしまった。
「……行くのなら、三人で。サレステーデ王家の連中が帰国した後で、日程を組む。それ以外では許可しない」
折れたのか折れていないのかよく分からないエドヴァルドの結論に、私もミカ君も、何も言えなくなった。
「スヴェンテ公爵邸には、過去には王妃殿下も来臨された程の、多種多様な花が咲く庭園がある。スヴェンテ老公がミカと話したいのであれば、その間、私と貴女とは庭園を見学させて貰えば良い。話が終われば、庭園内のガゼボで合流できるようにすれば、ミカとて後から見る事は出来る」
フォルシアン公爵邸がチョコレートづくしのお茶会を名物としているように、直系が粛清されるより前のスヴェンテ公爵邸では、その庭園でのお茶会が名物だったらしい。
エドヴァルドも、フォルシアン公爵から「いずれ迎える夫人の為に、情報として覚えておけ」とかなんとか、かなり昔に言われていたのだとか。
「……ああ、まあ……もう何年も茶会など開いてはいないが、庭園は年中何かしらの花は咲いている」
ちょっと意外そうな表情を浮かべたスヴェンテ老公爵も、このままミカ君に帰られる方が嫌だったんだろう。
エドヴァルドの出した条件で首肯するより他、なかったみたいだった。
* * *
四人の公爵様方と、フォルシアン公爵夫人が王宮へと戻って行った後は、予め皆に伝えてあったように、そのまま使用人と〝鷹の眼〟たちのランチ会と化した。
「みんな、協力ありがとう!あ、ただ食べないでね!アリかナシか、ハーグルンド領で振る舞えるかどうか、改良の余地があるならあるで、全部聞かせて!」
ベルセリウス将軍やウルリック副長、シャルリーヌにミカ君は、まだそのまま残っていたけれど、もうこの場は全部無礼講にしてしまった。
多分絶対、彼らだって気を遣って思う存分味わえなかった筈だからだ。
そして彼らは全員、使用人たちとの同席を厭わない為人をも持っている。
「はぁ……お米と味噌と、みりんに醤油が欲しいわよね……」
私のすぐ隣に席移動をして、舞茸もどきの天ぷらに塩をかけて食べながら、シャルリーヌが呟いた。
彼女曰くは、そもそも舞茸の天ぷらと松茸の天ぷらが、転生前の「推し」だったらしい。
私のせいで彼女が伯爵令嬢であると言う事実が、この邸宅の中で、どこかに置き去りになっている気もするけれど、彼女の素の部分が出ているだけと言えなくもない。微妙だ。
ちなみにミカ君は、ポテチのチョコがけに虜になった状態で、自ら立食テーブルの方に取りに行っている。
多分身長的に自分でよそうのが難しかったようで、すぐ傍にいたルヴェックが、それを手伝っていた。
「お米がないのもそうだけど、大豆があっても麹菌が作れないからね……」
みりんや醤油があれば、もう少し「うどん」らしくは出来たと思う。
目線でミカ君を追いかけつつ、私はそう呟いた。
ワインは自然発酵で良い(と、オルセン侯爵夫人に聞いた)けど、麹菌ともなると、そうはいかない。
そもそも、穀物に付いている麹の為の菌って?と言うところから始まる上に、それを培養するなどと、更に未知なる作業だ。
そうよねー…と、シャルリーヌもぼやいた。
「パソコンもスマホもないし、麹菌の作り方なんて分かるワケないし?でも、こんなテンプレな事態になるとは思わなかったわ。ギーレンにない、アンジェスにないとなれば――後はベルィフ、バリエンダール、サレステーデとか?真面目にそのうち探しに行きたいくらいよ。それか、前世酒蔵の杜氏さんとか、どこかにいないかしら」
「ああ……ワイン、ウイスキー、エールに……あとはリキュール?少なくとも日本酒は存在していないものね……」
「レイナはお酒飲む人?」
「うーん……日本ではまだ未成年だったし?こっちに来てから初めて口にしたけど、どうもあんまり強くないみたい。シャーリーは?」
「まあ、こっちは社交界デビュー=お酒を飲んで良い年齢だから、多少はね?」
ああ、これはきっと多少どころじゃなく飲む。
そして好きなんだ…と、日本人特有の謙遜文化の果てに、私は察してしまった。
それが証拠に「今、オルセン領で新しいワインの開発途中だから、完成したらお試しで伯爵邸に持って行くわ」と言ったところが、物凄く嬉しそうに微笑ったからだ。
「なぁに、その呆れた顔。言っときますけど、王族のヨメなんて、そもそも『飲みません』『飲めません』が社交上一番通用しないのよ。だってそのお酒が特産品の領があるんだから、会話にならないじゃない。まあ、アンジェスに来てからはほとんど飲んでいないから、弱くなっちゃってる可能性はあるけど」
ギーレンの王妃教育を終えていた強者の話は参考になります、ハイ。
「……酔って朝チュン、とかだけは気を付けてよ……」
心からの願いをこめて私がそう忠告すると、最初こそ「失礼ね!」と切り返したシャルリーヌだったけど、やがてじっ…と、私の方を見つめてきた。
レイナ…と言いかけて、ああダメだ!と、何やら一人で自己完結をさせている。
「この先はもはや、深夜のパジャマトーク案件だわ!言いたい事やら聞きたいことやらいっぱいあるのに!」
「……それはちょっと聞きたくない」
「ダメダメ、レイナが公爵邸から出して貰えなくなる前に、伯爵邸でお泊まり会よ!サレステーデの王子の話が片付いたら、ちゃんと計画立てるからね!」
――公爵邸から出して貰えなくなるって、何。
半目になった私の疑問を見透かしたシャルリーヌが、私の両肩に手を置いて、思い切り揺さぶって来た。
「ちょっとぉ、あの宰相閣下の駄々洩れの牽制に、まさか気が付かないの⁉あのままいったら、陛下ルートじゃないのに、監禁エンド驀進よ⁉今のうちからちゃんと教育しようよ――‼」
「ちょっ……シャーリー……っ」
さすがに声は抑えているけど、言っている内容は物騒極まりない。
「教育って……」
「――お任せ下さいませ、シャルリーヌ様」
「⁉」
多分、揺さぶられている私を気遣って近付いてきたところが、会話の後半が耳に入ってきたんだろう。
絶妙なタイミングで、ヨンナが囁いてきた。
「近頃浮かれすぎな旦那様の教育に関しましては、私ども使用人の悩みの種にもなっておりますので、シャルリーヌ様が危惧されるような事態にはならないよう、充分に留意したいと存じます」
「………」
「……心強いわね」
絶句する私の横で、シャルリーヌが心底感心したとばかりに頷いていた。
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