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第一部 宰相家の居候
206 誰も知らない再会 ☆
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
まさか、と振り返った瞬間、片方の腕を掴まれて、思い切り抱き寄せられた。
「っ⁉︎」
「――聞きたい事も、言いたい事も、山程あるが」
視界が上質なウエストコートで覆い尽くされていようと、頭上から降ってくるバリトン声を聞き違える事など有り得なかった。
「貴女がギーレンにいると言う事を、この上なく喜ばしいと思う自分もいる。――我ながら、度し難いな」
背中に回った手に力が入り、私はビクリと身体を痙攣らせた。
「エドヴァルド様……どうして……」
「エヴェリーナ妃やコニー夫人と話した後、ラハデ公爵に昼食に誘われた。すぐ帰るつもりだったが、その方がもしかしたら、午後からの来客と挨拶くらいは交わせるのでは?などと意味ありげに言われては…な」
「え……」
「ただ私は本来、既にナリスヴァーラ城に戻った筈の人間だ。だからまぁ…さっきの執事がガゼボに貴女の到着を知らせに行って、戻るくらいの時間しか与えられてはいない。残念だが、今はこのまま話だけをさせて欲しい」
「あ……はい」
未だ私の頭の中の理解が追いついておらず、まともな返事が出来ない。
このままってどう言う事だろうとぼんやり考えていたら、見透かしたかの様な、クスッとした笑いが頭上で洩れた。
「座っても良いが、多分私が冷静に話をする事が出来なくなる。流石に茶会前にドレスを皺だらけにするのも――な。ベクレル家にあった物を借りているんだろう?」
「……っ‼︎」
そう言いながら、エドヴァルドの右手が背中を滑った。
私はおかしな声をあげるのを辛うじて耐えて、代わりに両手でウエストコートを握りしめていた。
「――話を続けても?」
「ど、どうぞ…っ」
色々な感情がごちゃ混ぜになって、とても抱きすくめられた状態から顔が上げられない。
「例の書物をフィトがゲルトナーに預けた。貴女の知る『話』の役に立つかどうかは分からなかったが、多少なりとでも、貴女の無茶が止まる一助なればと思ったからな」
無茶、のところが妙に強調されたのは、多分気のせいじゃない。
「最も途中から、書物の持ち主が情報と共に書き遺した内容があまりに下衆過ぎて、やはりあんな家は再興させるべきではないとしか思えなくなった。多分私は今、自分で思うよりも冷静ではない筈だ。だからこそ、書物は貴女に預けておきたいと思ったんだ。私以外にただ一人、私に流れる血筋の全てを知る――貴女に」
エドヴァルドの身体が、少し強張った気がした。
昨日ナシオが「怒りで荒れている」と言っていた片鱗が、少し見えたかも知れない。
「あんな男の血を引いているなどと、軽蔑される事への怖さもある。だがそれでも、貴女には全てを知った上で、私を受け入れて欲しいとの思いもある。だからあの書物は、最後まで目を通してくれ。その上で……使い道も、貴女に委ねようと思う」
「エドヴァルド様……」
「もしかすると、この後エヴェリーナ妃、コニー第二夫人、ラハデ公爵の内の誰かが、書物を欲しいと言い出すかも知れない。貴女の助言に従って、今、ナシオ達に城内の内通者は探させているが、そうなるとエドベリ王子の側も、書物の存在が発覚した事に気付いて取り返そうとしてくるかも知れない。燃やしても良い。今言った中の誰かに交渉の手札として、渡してしまっても良い。――貴女の思うようにしてくれれば良い。私があの書物を、遺品として手元に残すつもりは微塵もないから」
ただ自分が冷静に取り扱える自信がないだけだと、エドヴァルドは言った。
「――それと、もう一つ」
時間があまりない事もあってか、エドヴァルドは私の返答を待たずに、言葉を続けた。
「シーカサーリ王立植物園の研究施設に籍を置くと言うキスト室長と、会う段取りをつけてくれないか。なるべく早い方が良いとは思うが、調整は貴女に任せる」
「………キスト室長?」
「何故、を説明している時間が今はないが、恐らくはこの後の茶会で、ある程度は想像がついてくるのかも知れない。ただ今は、貴女に予断を持たせないためにも、私からはこれ以上は何も言わない。恐らく貴女なら、私と同じ結論に達するだろうとは思うが、誘導するのは公平ではないと、この後の彼らに言われそうだからな」
午前中、エドヴァルドとエヴェリーナ妃たちは、いったい何の話をしていたのだろうか。
確かに今、聞いている時間はなさそうだけれど、どうやらそれぞれが、たまたま呼ばれたと言う訳でもないようだった。
「レイナ」
「!」
エドヴァルドの声が、頭上ではなく、すぐ耳元で聞こえた。
恐らくは少し屈んだのだろうと、理解するよりも先に言葉が続く。
「キスト室長への訪問要請をするのに、最も確実な伝手が何故貴女なのかと——その辺り、帰ったらじっくり聞かせて貰うから……そのつもりで」
「⁉」
今確実に、ひんやりとした空気が周囲を取り巻いた。
(氷漬け⁉やっぱり帰ったら氷漬けなんですね⁉)
「あああのですね、エドヴァルド様…っ、えっと、駆け落ちするまで、もうちょっと猶予を頂きたいんですが……っ」
「………」
何でそこだけ無言!
「い、今だと全てが中途半端で、戻ったら確実に、こちら側にも責があると、口実を与える事になりますし!だ、だから……ひゃっ⁉」
私は今度こそ、声を上げるのを我慢出来なかった。
エドヴァルドの唇が、不意に耳元から首筋に下りてきて、そのまま小さな痛みが走ったからだ。
「え…っ…あ…っ」
もしかしなくても、除けるご令嬢もいないのに、ネックレスもつけているのに、痕をつけた⁉
「――なら、攫って帰るか」
しかも絶対一つじゃない…と思ったところで、物騒な囁き声が聞こえる。
「後から揉めたところで、責任なら国王陛下が取るだろう。そもそもこの状況に人を追い込んでいるのは、あの男だ」
やっぱりコノヒト「抗議上等」で、某子爵令嬢叩き出してる……!
思わぬところで正解が見えたけれど、今はビクとも身体を動かせない事の方に焦りが隠せない。
これ、ソファでされてるコトと、中身変わらないし……!
「い…えっ、でもっ、どうせなら、二度と馬鹿な話を持ち掛けてこないようにしてから帰ったほうが…んっ」
言いかけた言葉が、エドヴァルドの唇で塞がれてしまう。
「――レイナ」
これ以上は腰砕けになって、ガゼボまで歩けない!となりそうになった絶妙なタイミングで、唇は離れた。
「目処なら、もうすぐそこまで見えている」
「!」
目を瞠る私の頬に、エドヴァルドの右手がそっと添えられる。
「そして多分、私も、貴女も、自分に流れる血に関わる『覚悟』を、最後に問われる事になる」
「覚悟……」
「私はもう、切り捨てる覚悟を決めた。血のしがらみ全てを捨てて、アンジェスに戻る。貴女に強要はしない。しないが……私が貴女の決断を蔑む事は決してないと、そう思っている事だけは忘れずに、決断して欲しい。私を——」
どうか迷った時の、内心の弱さの言い訳に使う事だけはしないで欲しい――。
最後耳元で囁かれた声に、私は目を見開いた。
〝私を貴方の弱さの言い訳に使わないで――!〟
いつか、媚薬に苦しむエドヴァルドに向けて、言い放った言葉。
シチュエーションは違う。
天と地ほどに違うけれど。
私は、エドヴァルドが耐える為と言うよりは、ただ、突き放してしまった鬼畜じゃないのかとさえ思うんだけれど。
エドヴァルドはただ、背中を押そうとしている。
自分に軽蔑されるのが嫌で、妹を切り捨てられないと言うのなら、その考えは今すぐ捨てろ――と。
「!」
その時『控えの間』の扉が、トントンとノックされた。
「ユングベリ様。ガゼボのエヴェリーナ様への連絡が済みまして、どうぞ直接お越し下さいとの事ですので、ご案内させていただきます。宜しいでしょうか」
「あ…っ、はい、今行きます!」
私が答えたのと前後して、エドヴァルドの腕が名残惜しそうに解かれた。
「時間切れ……か」
「エドヴァルド様……」
「先に出ると良い。私は、もう帰った筈の人間だ。頃合いを見て、黙って帰らせて貰う。ラハデ公爵もそのあたりは黙認する筈だ」
「あ…はい」
「改めて、キスト室長の件は頼む。茶会を楽しめと言うのは流石に難しいだろうが、貴女なら大丈夫だろうと思っている」
「が…頑張ります」
正直に顔を痙攣らせている私に、エドヴァルドの口元が僅かに綻んだ気がした。
「レイナ。なるべく早く『駆け落ち』の誘いには来てくれ。私も色々と我慢の限界だ」
「⁉」
――ちょっと何言ってるのか分かりません!!
まさか、と振り返った瞬間、片方の腕を掴まれて、思い切り抱き寄せられた。
「っ⁉︎」
「――聞きたい事も、言いたい事も、山程あるが」
視界が上質なウエストコートで覆い尽くされていようと、頭上から降ってくるバリトン声を聞き違える事など有り得なかった。
「貴女がギーレンにいると言う事を、この上なく喜ばしいと思う自分もいる。――我ながら、度し難いな」
背中に回った手に力が入り、私はビクリと身体を痙攣らせた。
「エドヴァルド様……どうして……」
「エヴェリーナ妃やコニー夫人と話した後、ラハデ公爵に昼食に誘われた。すぐ帰るつもりだったが、その方がもしかしたら、午後からの来客と挨拶くらいは交わせるのでは?などと意味ありげに言われては…な」
「え……」
「ただ私は本来、既にナリスヴァーラ城に戻った筈の人間だ。だからまぁ…さっきの執事がガゼボに貴女の到着を知らせに行って、戻るくらいの時間しか与えられてはいない。残念だが、今はこのまま話だけをさせて欲しい」
「あ……はい」
未だ私の頭の中の理解が追いついておらず、まともな返事が出来ない。
このままってどう言う事だろうとぼんやり考えていたら、見透かしたかの様な、クスッとした笑いが頭上で洩れた。
「座っても良いが、多分私が冷静に話をする事が出来なくなる。流石に茶会前にドレスを皺だらけにするのも――な。ベクレル家にあった物を借りているんだろう?」
「……っ‼︎」
そう言いながら、エドヴァルドの右手が背中を滑った。
私はおかしな声をあげるのを辛うじて耐えて、代わりに両手でウエストコートを握りしめていた。
「――話を続けても?」
「ど、どうぞ…っ」
色々な感情がごちゃ混ぜになって、とても抱きすくめられた状態から顔が上げられない。
「例の書物をフィトがゲルトナーに預けた。貴女の知る『話』の役に立つかどうかは分からなかったが、多少なりとでも、貴女の無茶が止まる一助なればと思ったからな」
無茶、のところが妙に強調されたのは、多分気のせいじゃない。
「最も途中から、書物の持ち主が情報と共に書き遺した内容があまりに下衆過ぎて、やはりあんな家は再興させるべきではないとしか思えなくなった。多分私は今、自分で思うよりも冷静ではない筈だ。だからこそ、書物は貴女に預けておきたいと思ったんだ。私以外にただ一人、私に流れる血筋の全てを知る――貴女に」
エドヴァルドの身体が、少し強張った気がした。
昨日ナシオが「怒りで荒れている」と言っていた片鱗が、少し見えたかも知れない。
「あんな男の血を引いているなどと、軽蔑される事への怖さもある。だがそれでも、貴女には全てを知った上で、私を受け入れて欲しいとの思いもある。だからあの書物は、最後まで目を通してくれ。その上で……使い道も、貴女に委ねようと思う」
「エドヴァルド様……」
「もしかすると、この後エヴェリーナ妃、コニー第二夫人、ラハデ公爵の内の誰かが、書物を欲しいと言い出すかも知れない。貴女の助言に従って、今、ナシオ達に城内の内通者は探させているが、そうなるとエドベリ王子の側も、書物の存在が発覚した事に気付いて取り返そうとしてくるかも知れない。燃やしても良い。今言った中の誰かに交渉の手札として、渡してしまっても良い。――貴女の思うようにしてくれれば良い。私があの書物を、遺品として手元に残すつもりは微塵もないから」
ただ自分が冷静に取り扱える自信がないだけだと、エドヴァルドは言った。
「――それと、もう一つ」
時間があまりない事もあってか、エドヴァルドは私の返答を待たずに、言葉を続けた。
「シーカサーリ王立植物園の研究施設に籍を置くと言うキスト室長と、会う段取りをつけてくれないか。なるべく早い方が良いとは思うが、調整は貴女に任せる」
「………キスト室長?」
「何故、を説明している時間が今はないが、恐らくはこの後の茶会で、ある程度は想像がついてくるのかも知れない。ただ今は、貴女に予断を持たせないためにも、私からはこれ以上は何も言わない。恐らく貴女なら、私と同じ結論に達するだろうとは思うが、誘導するのは公平ではないと、この後の彼らに言われそうだからな」
午前中、エドヴァルドとエヴェリーナ妃たちは、いったい何の話をしていたのだろうか。
確かに今、聞いている時間はなさそうだけれど、どうやらそれぞれが、たまたま呼ばれたと言う訳でもないようだった。
「レイナ」
「!」
エドヴァルドの声が、頭上ではなく、すぐ耳元で聞こえた。
恐らくは少し屈んだのだろうと、理解するよりも先に言葉が続く。
「キスト室長への訪問要請をするのに、最も確実な伝手が何故貴女なのかと——その辺り、帰ったらじっくり聞かせて貰うから……そのつもりで」
「⁉」
今確実に、ひんやりとした空気が周囲を取り巻いた。
(氷漬け⁉やっぱり帰ったら氷漬けなんですね⁉)
「あああのですね、エドヴァルド様…っ、えっと、駆け落ちするまで、もうちょっと猶予を頂きたいんですが……っ」
「………」
何でそこだけ無言!
「い、今だと全てが中途半端で、戻ったら確実に、こちら側にも責があると、口実を与える事になりますし!だ、だから……ひゃっ⁉」
私は今度こそ、声を上げるのを我慢出来なかった。
エドヴァルドの唇が、不意に耳元から首筋に下りてきて、そのまま小さな痛みが走ったからだ。
「え…っ…あ…っ」
もしかしなくても、除けるご令嬢もいないのに、ネックレスもつけているのに、痕をつけた⁉
「――なら、攫って帰るか」
しかも絶対一つじゃない…と思ったところで、物騒な囁き声が聞こえる。
「後から揉めたところで、責任なら国王陛下が取るだろう。そもそもこの状況に人を追い込んでいるのは、あの男だ」
やっぱりコノヒト「抗議上等」で、某子爵令嬢叩き出してる……!
思わぬところで正解が見えたけれど、今はビクとも身体を動かせない事の方に焦りが隠せない。
これ、ソファでされてるコトと、中身変わらないし……!
「い…えっ、でもっ、どうせなら、二度と馬鹿な話を持ち掛けてこないようにしてから帰ったほうが…んっ」
言いかけた言葉が、エドヴァルドの唇で塞がれてしまう。
「――レイナ」
これ以上は腰砕けになって、ガゼボまで歩けない!となりそうになった絶妙なタイミングで、唇は離れた。
「目処なら、もうすぐそこまで見えている」
「!」
目を瞠る私の頬に、エドヴァルドの右手がそっと添えられる。
「そして多分、私も、貴女も、自分に流れる血に関わる『覚悟』を、最後に問われる事になる」
「覚悟……」
「私はもう、切り捨てる覚悟を決めた。血のしがらみ全てを捨てて、アンジェスに戻る。貴女に強要はしない。しないが……私が貴女の決断を蔑む事は決してないと、そう思っている事だけは忘れずに、決断して欲しい。私を——」
どうか迷った時の、内心の弱さの言い訳に使う事だけはしないで欲しい――。
最後耳元で囁かれた声に、私は目を見開いた。
〝私を貴方の弱さの言い訳に使わないで――!〟
いつか、媚薬に苦しむエドヴァルドに向けて、言い放った言葉。
シチュエーションは違う。
天と地ほどに違うけれど。
私は、エドヴァルドが耐える為と言うよりは、ただ、突き放してしまった鬼畜じゃないのかとさえ思うんだけれど。
エドヴァルドはただ、背中を押そうとしている。
自分に軽蔑されるのが嫌で、妹を切り捨てられないと言うのなら、その考えは今すぐ捨てろ――と。
「!」
その時『控えの間』の扉が、トントンとノックされた。
「ユングベリ様。ガゼボのエヴェリーナ様への連絡が済みまして、どうぞ直接お越し下さいとの事ですので、ご案内させていただきます。宜しいでしょうか」
「あ…っ、はい、今行きます!」
私が答えたのと前後して、エドヴァルドの腕が名残惜しそうに解かれた。
「時間切れ……か」
「エドヴァルド様……」
「先に出ると良い。私は、もう帰った筈の人間だ。頃合いを見て、黙って帰らせて貰う。ラハデ公爵もそのあたりは黙認する筈だ」
「あ…はい」
「改めて、キスト室長の件は頼む。茶会を楽しめと言うのは流石に難しいだろうが、貴女なら大丈夫だろうと思っている」
「が…頑張ります」
正直に顔を痙攣らせている私に、エドヴァルドの口元が僅かに綻んだ気がした。
「レイナ。なるべく早く『駆け落ち』の誘いには来てくれ。私も色々と我慢の限界だ」
「⁉」
――ちょっと何言ってるのか分かりません!!
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