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中邑さんの奥さんが玄関先で出迎えてくれた。
俺だけで訪問したのなら、ここまで笑顔にはならなかっただろう。

「翔馬くーん!翔馬くーん!あなたも早く来て!」

翔馬の足音がバタバタ聞こえてくる。

「帰ってきたわよ!」

「グレート!おかえり!あっ、ママもいる!」

翔馬は裸足のまま玄関先まで飛び出してきた。
翔馬にとって待ちに待った瞬間だ。
ピョンピョン飛び跳ねたり、両手を振り上げたり喜びを露わにしている。

この日をどれだけ待ち望んでいた事か…。


遅れて旦那さんがルルと一緒にかけつけてきた。
ルルが鈍臭い旦那さんを引っ張っているように見えた。

「2階でルルと昼寝していたんだよ。横になっていたから呼ばれてから、動き出すまで時間がかかった。あはは!
いやぁ、まぁ、そんな事より佐山君、佐山さん。僕も翔馬君同様、とても嬉しいよ。」

「ここでは何だから、ささっ、お部屋へいらっしゃい!」
奥さんが嬉しそうに早口で話した。

翔馬は事態をイマイチ把握していないメデューサの手首を両手で掴みながら部屋へ向かう。
その際、俺の視線に気付き満面の笑顔になった。
隣にいたアキトととも目が合う。
さわやかな笑顔でビシッと親指を立てている。








俺は中邑夫妻に今日の出来事を丁寧に伝えた後、ミルクティーの入った花柄のコーヒーカップを受け皿に置いた。

「なるほど。佐山君、佐山さんの言う通り、完全決着するまでは、まだまだ問題はあるけれどこれで良かったんではないかな?」

かなりシビアな話をしている為、翔馬のいない別室で話したかったが、メデューサと久しぶりの再会を喜ぶ子を隔離するなんて出来るわけがない。

メデューサにくっついて大きな声で問いかけてはしゃいでいる翔馬を見ると、恐らくなんて耳に入っていないだろう。
それが救いだ。

「そうよね。そんな危ない人達とずっと一緒にいるなんて考えただけでも恐ろしいわよ。」


アキトのスマホに着信が入った。
手際良くスマホをズボンのポケットから取り出して画面を見ている。

「サヤマさん、言うまでもなく。」

「彼らが俺達を追っているのであれば、アパートには到着している頃ですね。」

「100パー追っているはずですよ。今頃、怒り狂ってアパート周辺で騒いでいるかもです。」

メデューサはここまで何も話さない。
ずっと沈黙したままだ。

「警察、警察に言うの。それがあなた達にとって最善じゃないかしら。私ならきっとそうするわ。」

「そうだね。本当にその男らが佐山君、佐山さんと翔馬君のアパートに来て暴れているなら住居侵入罪だ。
真っ先に警察に通報すべきだよ。」

「俺は一度、アパートに行って奴らが来ているか確認すべきだと思うんです。」
アキトの意見に俺は過去のトラウマが蘇って胃がキリキリ痛み始める前兆を感じた。

「アパートに行くのは危ないわ!しばらくここにいてもいいのよ。」

「ええ、ごもっともです。そう言って頂けてとても感謝していますが、しかしながらずっとこちらに留まるわけには…。」
アキトが俺の意見を聞きたそうに俺を見る。

「そう…ですね。このまま隠れていたら何度もアパート周辺にやってきて暴れだすかもしれませんからね。
自分としては、あんな連中と2度と関わりたくくないですが、ご近所を巻き込んで迷惑をかけてしまうわけにもいきませんし。」

「ふむ。しかし、見守るだけの側としてはアパートへ行くのを反対したい気持ちがあるな。」

「すぐ警察よ。躊躇せず、すぐ警察に通報すること。いい?」









































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