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建物の中は意外にも地味で薄暗く黒い壁で覆われていた。
ギラギラの装飾をイメージしていたけれどまるで廃墟のようだ。
プレイが行われている部屋は知る由もないが。

アキトがメデューサの腕を引っ張っているのが目に飛び込んできた。

「痛い!痛い!」
メデューサが叫ぶと、アキトは腕を放してバッグを引っ張り出した。

「説明してくれよ。」

「話す事なんてない!」

メデューサの金切り声が薄暗いフロアに響く。

メデューサのバッグを引っ張り続けるアキトは俺に気づくと代わりに説明するよう求めてきた。

これは良いチャンスだ。

「あんた、なんでここまで入ってくんのよ!出ていけ!」
興奮しながら叫ぶメデューサ。

「し、静かにしろよ!」

「じゃあ、放してよ!そんで今すぐソイツをこっから追っ払って!」

俺にとってもその方が好都合だ。
トオルやトオルの仲間達とバッティングしたくない。

「いったん、外で」
俺が言いかけた時、部屋のドアが開いた。

長身で長い黒髪の女性が血相を変えて怒鳴ってきた。

「あんたらさ、ちょっと静かにしてくれない?ほんっと迷惑なんだけどさ。」

俺はメデューサは別にして、初めてSM嬢を見た。
彼女は私服であったもののマゾの男女を痛ぶって快楽へ誘う女性の片鱗は垣間見れた気がする。

「あぁ、ごめん。ほら恵子!もう暴れるなよ。」

「とりあえず、ここから出ましょうよ!」
俺は宥めるアキトにすかさず話した。

「うん。早く出ていってくれる?」
追い討ちをかけるかの如く外へ出るよう


ほんの数十分程度の出来事だったのに、廃墟から地上に出ると太陽の光によって浄化された気分になる。

俺の感性には合わない世界だ。
そう思うのは当然だろう。

「あたしは戻るよ!放してよ!」

「お前、戻ったところで指名されていないだろ?そもそも不人気なんだ、あっ、いてて!」

メデューサがアキトの指に噛み付いた。

噛みつかれた痛みでアキトはメデューサを離す。

「お前、まだいるのか!早くどっか行けよー!死ね、死ね死ね!」
メデューサは、すごい剣幕で俺に蹴りをいれようと足をブン回してきた。

「止めろ!落ち着けよ!恵子!」

向かい側から2人の警官がこちらへ向かってやってきた。
誰かが通報した可能性もあるが、たまたま通りかかっただけに俺には思えた。

「ほら?ほら?警察官が来ちゃったぞ?恵子。」

「ひとまず、どこかへ行きましょう。確かこの辺に小さな公園がありましたね。そちらはどうです?」

「…いや、駐車場に停めてある俺の車がいい。」

確かにそっちのほうが安全だし話しやすい。

歪んだ表情をしつつも警官の登場により静かになった山田"メデューサ"恵子と指を押さえるアキトとともに駐車場へ向かった。































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