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ステージへ!

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3人の呼吸がピッタリ合って、激しいステージになっている。
先ほどのようなアクシデントが嘘のようだ。

オーディエンスはヤジを飛ばすわけではないが、冷たい眼差しでステージ上の3人を見ている。


「彼らは、3曲ともコピーばかりだね。」

「頭の悪いウミの苦肉の策といったところでしょう。
まぁ、メンバーがいないからオリジナル曲ができないわけで。」




3人はマシンガンをぶっ放すように暴れ回った。
曲が終わるとステージ上の熱とは反対に覇気のない、まばらの拍手だ。

ウミは2人がグッタリしているのを見て、MCをする。

「あー、おまえら、何の話かわからないだろうが、俺達は誰かに作られたバンドじゃねえのさ。
音楽が、ロックが好きな集まりなんだ。」

再びブーイングが巻き起こる。

「おい!?おまえらさ、俺らにむかついてんだろ?
なぁ?おまえらの怒りってのは、こんなもんかよ!」

オーディエンスはウミに煽られて、更にヒートアップしていく。

「暴動を起こしてみろや!」

ウミはギターを弾きながら煽るのをやめない。

オーディエンスは猛り狂った。

「ウミはなんでお客さんと仲良くしないの?
喧嘩はダメよぉ…。」

ソラは両隣にいるセラとかつらの顔をキョロキョロ見ながら言った。

「ワタクシも、喧嘩はよくないと思います。」

「クラシックのコンサートとは違う事はわかるけど。」

困惑している3人娘の気持ちなど露知らず、ウミは燃料を投下するのをやめなかった。

「おいおいおい!!次はどうしようもねぇ、クソバンドが出てくる。
おまえらはそれを観にきてるんだろ?
それなら、おまえらもどうしようもねえ、クソだって事だ!」

マイクから耳をつんざくようなハウリングが生じた後、怒鳴り散らしたウミはわざとらしく高笑いをした。

会場の前方にいる観客、2階で観ている客から一斉にゴミが投げつけられた。

ステージ下にいるセキュリティや砂城院家の従業員が派手に暴れ回っている客を抑えつけ始めたが、ウミはその客がいる目の前まで近づき、舌を出して挑発している。

ここまで我慢に我慢を重ねて見ていたオオニシが、血相を変えてステージに立ち、喧嘩が発生している渦の中へ飛び込み、殴りかかった。

「オオニシさん!」

ヒロコは目が座ったオオニシを見て、カメラを止めて見ている。

3人娘も止める暇さえなかったし、鬼と化したオオニシを止めようにも止められないだろう。

オーディエンスは突然やってきて暴力を振るうオオニシの風貌、行動に恐れをなしている。

会場にいる誰もがステージを見るものはおらず、オオニシや暴れる観客に釘付けだ。

「ウミはこの後、どうするつもり?」

不安で張り裂けそうになっているソラが、かつらに言った時、後ろからの3人の男が慌てて走り出してきた。

「痛ッ!」

横切る際、かつらの肩に腕が少し当たったが男は謝る事なくステージ袖から飛び出して行った。




























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