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プロジェクト・マニンゲン
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「お待ちになってぇー!」
広大な砂城院家の庭から、かつらが息を切らせて駆け寄ってきた。
「あっ、かつらちゃん。もうご用は済んだの?」
「はぁはぁ…ええ。問題は解決しましたわ。
それより、お帰りになられるのが寂しくて…。」
ソラはかつらと抱擁を交わす。
「また遊ぼうよぉ。今度は私のお家に来て!何にもないけど愛はあるぅ!」
かつらに密着しながらウサギのようにピョンピョン飛び跳ねて発言するソラに、一同はドッと笑いが起きた。
みんなが門の前で別れを名残惜しでいる時、1台のリムジンが停止した。
黒いスーツを着た男2人が左右の後部座席のドアを素早く開けている。
「あぁ、久しぶりの自宅だっぺ!やっぱり我が家が1番だべな!」
葉巻を咥えた肥満気味の中年男がゆっくり出てきた。
「父さん!」
「えっ?このおじさんはかつらちゃんのお父さんなの?」
セラが言った。
「かつらちゃん!髪を短くしたのかぁ?
いっそう美しさに磨きがかかって大人っぽくなったっぺー。」
「久しぶりだなおっさん。元気だったかよ?
って、その調子なら体力が有り余ってる感じだな。」
「誰がど思ったらウミくんもいるべさ。
おんやぁ?めんこい奥さんも!」
ソラの美しさに照れる砂城院秀高に、一同は挨拶をした。
「ワタクシが皆さんをお呼びしてパーティーを開いていたの。
おかげで楽しい時間を過ごす事ができたわ!」
かつらと若い家政婦に手渡されたお土産や手荷物を抱えながら、皆は笑顔で相槌をうっている。
「砂城院家を楽しんでくれた事はオラも嬉しい!
あやや、んだ!宗成も帰宅したべ。
ほんれ、皆さ、挨拶するっぺよ。」
宗成と聞いて驚愕する、ソラ、ウミ、かつらを他所にセラとヒロコは、驚く3人を見て何の事かもわからず話の行方を探っている。
「コンニチワ。ボクノオナマエハ、ムネナリ。
マジメガ、トリエダヨ。
ミナサン、ナカヨクシテネ。」
目力はあるものの表情がなく、一昔の人々が想像していたロボットのような、ギコチナイ話し方で皆にピースサインをした。
「…兄さん?」
「これがあの、チャラい宗成なのか…?」
「オラ達が何よりも力を注いできた"プロジェクト・マニンゲン"によって凶悪だった宗成は生まれ変わったんだっぺ。
こんで矯正は成功!
残忍で鬼畜の所業というほかない悪人を更生できるのは砂城院家だけだと、日本に、いや世界中に自信を持って証明できるっぺ!」
ロボットのように変貌した宗成の背中をバシバシ叩きながら、誇らし気に言った。
「こんで、人体実験を盲目的に反対する分からず屋の政治家や人権団体を黙らせる事ができるべさ!
今後、砂城院家はプロジェクト・マニンゲンを中心に世界にアピールする方針だっぺ!」
「ハナガ、サイテイル。アレハタンポポダ。
トリガ、トンデイル。アレハスズメダ。」
「オッサン、これが成功だってマジで言えんのか?
コイツ、ヤバ過ぎるぞ…。」
いつも強気のウミが及び腰になっている。
その隣でソラはウミの腕にしがみ付いた。
かつらは思った。
この父親を引き摺り下ろさなければ砂城院家は、どんどんダークサイドに堕ちていき、いずれは世界を掌握する危険極まりない企業になってしまう。
今よりもっと誠実に生き、そして力もつけて早急に父親へ引導を渡さなくてはならないと、かつらは胸に刻んだのだった。
広大な砂城院家の庭から、かつらが息を切らせて駆け寄ってきた。
「あっ、かつらちゃん。もうご用は済んだの?」
「はぁはぁ…ええ。問題は解決しましたわ。
それより、お帰りになられるのが寂しくて…。」
ソラはかつらと抱擁を交わす。
「また遊ぼうよぉ。今度は私のお家に来て!何にもないけど愛はあるぅ!」
かつらに密着しながらウサギのようにピョンピョン飛び跳ねて発言するソラに、一同はドッと笑いが起きた。
みんなが門の前で別れを名残惜しでいる時、1台のリムジンが停止した。
黒いスーツを着た男2人が左右の後部座席のドアを素早く開けている。
「あぁ、久しぶりの自宅だっぺ!やっぱり我が家が1番だべな!」
葉巻を咥えた肥満気味の中年男がゆっくり出てきた。
「父さん!」
「えっ?このおじさんはかつらちゃんのお父さんなの?」
セラが言った。
「かつらちゃん!髪を短くしたのかぁ?
いっそう美しさに磨きがかかって大人っぽくなったっぺー。」
「久しぶりだなおっさん。元気だったかよ?
って、その調子なら体力が有り余ってる感じだな。」
「誰がど思ったらウミくんもいるべさ。
おんやぁ?めんこい奥さんも!」
ソラの美しさに照れる砂城院秀高に、一同は挨拶をした。
「ワタクシが皆さんをお呼びしてパーティーを開いていたの。
おかげで楽しい時間を過ごす事ができたわ!」
かつらと若い家政婦に手渡されたお土産や手荷物を抱えながら、皆は笑顔で相槌をうっている。
「砂城院家を楽しんでくれた事はオラも嬉しい!
あやや、んだ!宗成も帰宅したべ。
ほんれ、皆さ、挨拶するっぺよ。」
宗成と聞いて驚愕する、ソラ、ウミ、かつらを他所にセラとヒロコは、驚く3人を見て何の事かもわからず話の行方を探っている。
「コンニチワ。ボクノオナマエハ、ムネナリ。
マジメガ、トリエダヨ。
ミナサン、ナカヨクシテネ。」
目力はあるものの表情がなく、一昔の人々が想像していたロボットのような、ギコチナイ話し方で皆にピースサインをした。
「…兄さん?」
「これがあの、チャラい宗成なのか…?」
「オラ達が何よりも力を注いできた"プロジェクト・マニンゲン"によって凶悪だった宗成は生まれ変わったんだっぺ。
こんで矯正は成功!
残忍で鬼畜の所業というほかない悪人を更生できるのは砂城院家だけだと、日本に、いや世界中に自信を持って証明できるっぺ!」
ロボットのように変貌した宗成の背中をバシバシ叩きながら、誇らし気に言った。
「こんで、人体実験を盲目的に反対する分からず屋の政治家や人権団体を黙らせる事ができるべさ!
今後、砂城院家はプロジェクト・マニンゲンを中心に世界にアピールする方針だっぺ!」
「ハナガ、サイテイル。アレハタンポポダ。
トリガ、トンデイル。アレハスズメダ。」
「オッサン、これが成功だってマジで言えんのか?
コイツ、ヤバ過ぎるぞ…。」
いつも強気のウミが及び腰になっている。
その隣でソラはウミの腕にしがみ付いた。
かつらは思った。
この父親を引き摺り下ろさなければ砂城院家は、どんどんダークサイドに堕ちていき、いずれは世界を掌握する危険極まりない企業になってしまう。
今よりもっと誠実に生き、そして力もつけて早急に父親へ引導を渡さなくてはならないと、かつらは胸に刻んだのだった。
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