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悪行止まらず
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ガチャン
「誰か入ってきたんじゃない?」
チグサは音がする玄関側に耳を傾けて言った。
「よっぴいに鍵かけるように頼んだよね。」
「はい。ボク、間違いなくお店を閉めましたよ。」
ガチャガチャ!
今度はドアノブを力づくで回す音が4人に聞こえた。
「やだぁ?誰よ?」
ベッドに座り込むチグサはタオルケットを羽織った。
モモはケンスケがやってきたのかと頭をよぎったが、ケンスケはここを毛嫌いしており誘っても立ち寄る事は一度もなかった。
異変を感じた4人は、しばし息を殺して乱痴気撮影会を中断し、音の行方に注視した。
「…止まった?静かになった、よね?」
モモはチグサの顔を見た。
ガチャガチャ!
「キャアァァァ!」
4人は叫んだ。
一度は鳴り止んだかに思われたがドアノブを捻る音はいっそう強くなり、不安は高まり恐怖に変わっていく。
「めっちゃ怖いよ。」
常連客のサッチーは、よっぴいの背後に周り抱きついた。
「よっぴい、アンタが見に行きなさいよ。最後に店仕舞いをしたのはアンタだから。」
チグサは責任を従業員になすりつけた。
「そんなぁ酷いですよ。ボクだって怖いんだから。」
「男装は伊達なのかな?
こんなんじゃ、キャラを作ってるその辺のボクっ娘と変わらないじゃんね?そう思わない?
ねぇ、モモちゃんもそう思わない?」
モモはチグサに問われ深く考えずなんとなく同意した。
「わかりました。見に行けばいいんでしょ?」
ヤケになったよっぴいは立ち上がり、部屋を出ようとした。
「よっぴい、さすがにそんな格好で玄関出ちゃダメよ。
まぁ、誰もいやしないだろうけどね。」
サッチーが脱ぎ捨てられたよっぴいのシャツやパンツを持って手渡した。
「ありがとう、サッチーさん。」
サッチーに抱きつきキスをした。
「チュパチュパうるさいな。早く見てきなさいなぁ!」
イラつくチグサに追い立てられ、よっぴいはみんながいる6畳の部屋を出て行った。
サッチーはチグサを見つめる。
「なにその目線?止めてくれない?そんな目で私を見るのはさぁ。
心配ならついていきなよ?」
サッチーは意を決して下着姿のまま、よっぴいの後を追った。
「だからちゃんと羽織ってきなさいったら。
見せたがりなわけ?」
チグサは呆れながらくたびれたブラジャーの肩紐を付け直した。
「でも店は閉めているんでしょ?いったい誰かな?」
「モモちゃんは心当たりある?」
モモは頬杖ついた。
ケンスケは大嵐家の一件以降、連絡はない。
セラやソラはこの場所どころかウミの置かれている状況さえ把握していない。
「私は酔っ払いが自宅と間違えてると思うんよ。」
何も答えられず頬杖をついたまま黙り込むモモに、不安が募るチグサは希望的観測を述べた。
バタン
静かにドアが閉まった音がモモとチグサに聞こえた。
怒鳴り声も聞こえてこない。
「あの娘達、大丈夫そうね。」
チグサはタオルケットを放って大きな尻をモモに向け、四つん這いでウミの元へ行く。
失神して無防備な状態でいるウミの隣で米俵の如くゴロンと横になり、腕枕をして円をかくように引き締まったウミの胸板を愛しげに撫でている。
「もう少し待っててね、一緒に気持ちよくなろう?ねぇー。」
チグサはウミの耳元で呟いた。
「誰か入ってきたんじゃない?」
チグサは音がする玄関側に耳を傾けて言った。
「よっぴいに鍵かけるように頼んだよね。」
「はい。ボク、間違いなくお店を閉めましたよ。」
ガチャガチャ!
今度はドアノブを力づくで回す音が4人に聞こえた。
「やだぁ?誰よ?」
ベッドに座り込むチグサはタオルケットを羽織った。
モモはケンスケがやってきたのかと頭をよぎったが、ケンスケはここを毛嫌いしており誘っても立ち寄る事は一度もなかった。
異変を感じた4人は、しばし息を殺して乱痴気撮影会を中断し、音の行方に注視した。
「…止まった?静かになった、よね?」
モモはチグサの顔を見た。
ガチャガチャ!
「キャアァァァ!」
4人は叫んだ。
一度は鳴り止んだかに思われたがドアノブを捻る音はいっそう強くなり、不安は高まり恐怖に変わっていく。
「めっちゃ怖いよ。」
常連客のサッチーは、よっぴいの背後に周り抱きついた。
「よっぴい、アンタが見に行きなさいよ。最後に店仕舞いをしたのはアンタだから。」
チグサは責任を従業員になすりつけた。
「そんなぁ酷いですよ。ボクだって怖いんだから。」
「男装は伊達なのかな?
こんなんじゃ、キャラを作ってるその辺のボクっ娘と変わらないじゃんね?そう思わない?
ねぇ、モモちゃんもそう思わない?」
モモはチグサに問われ深く考えずなんとなく同意した。
「わかりました。見に行けばいいんでしょ?」
ヤケになったよっぴいは立ち上がり、部屋を出ようとした。
「よっぴい、さすがにそんな格好で玄関出ちゃダメよ。
まぁ、誰もいやしないだろうけどね。」
サッチーが脱ぎ捨てられたよっぴいのシャツやパンツを持って手渡した。
「ありがとう、サッチーさん。」
サッチーに抱きつきキスをした。
「チュパチュパうるさいな。早く見てきなさいなぁ!」
イラつくチグサに追い立てられ、よっぴいはみんながいる6畳の部屋を出て行った。
サッチーはチグサを見つめる。
「なにその目線?止めてくれない?そんな目で私を見るのはさぁ。
心配ならついていきなよ?」
サッチーは意を決して下着姿のまま、よっぴいの後を追った。
「だからちゃんと羽織ってきなさいったら。
見せたがりなわけ?」
チグサは呆れながらくたびれたブラジャーの肩紐を付け直した。
「でも店は閉めているんでしょ?いったい誰かな?」
「モモちゃんは心当たりある?」
モモは頬杖ついた。
ケンスケは大嵐家の一件以降、連絡はない。
セラやソラはこの場所どころかウミの置かれている状況さえ把握していない。
「私は酔っ払いが自宅と間違えてると思うんよ。」
何も答えられず頬杖をついたまま黙り込むモモに、不安が募るチグサは希望的観測を述べた。
バタン
静かにドアが閉まった音がモモとチグサに聞こえた。
怒鳴り声も聞こえてこない。
「あの娘達、大丈夫そうね。」
チグサはタオルケットを放って大きな尻をモモに向け、四つん這いでウミの元へ行く。
失神して無防備な状態でいるウミの隣で米俵の如くゴロンと横になり、腕枕をして円をかくように引き締まったウミの胸板を愛しげに撫でている。
「もう少し待っててね、一緒に気持ちよくなろう?ねぇー。」
チグサはウミの耳元で呟いた。
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