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ソラを探して新富福町へ
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「お義兄さん!」
「おぉ、セラちゃん!いきなり玄関を叩いてごめんな。」
ウミは右手を首の後ろ側に回し照れくさそうにしている。
「どうしてここがわかったの?」
ソラはセラを疑い視線を合わせたが、手を横に振ってセラは否定している。
「やだ?疑ってんの?あたしじゃないってば!」
「ソラ。セラちゃんからの垂れ込みじゃねぇぞ。
有り難え事に俺はコイツの力を借りておまえを見つけだしたんだよ。なっ?」
ウミに感謝されたかつらは謙虚に否定しながらソラに言った。
「もしかして大嵐さん?」
「あなたは…砂城院さん!?どうして砂城院さんがここへ!?」
ソラは内股になり口元を両手で覆った。
「大嵐さん。お久しぶりですわね。ワタクシの事を覚えているかしら?」
「うん。もちろん覚えているわ。でもなんでなんで?
砂城院さんとウミが一緒にいるのぉ?」
「コイツは俺らの結婚を祝いたくてきたんだぞ。わざわざソラのお母さんに聞いてな。」
ウミはかつらの顔を見た後、すぐソラの目を見ながら言った。
「あとはなんだっけ?
あぁ、そうだった。おまえに対する感謝と謝罪。
ずっとおまえを忘れずに生きていたみたいだぜ。」
瞬きが多くなったかつらは深々と頭を下げて、突然の訪問を詫びた。
夫であるウミとの突然の再会に驚いたソラだったが、かつらともこのような形で再会する事になるとは夢にも思わず、まさに青天の霹靂であった。
「初めて大嵐さんの素顔を拝見できたわ。
ワタクシ、姫君では顔を隠している大嵐さんしか存じていなかったので。
とても美しいお顔ね…。」
ノスタルジーに浸りつつも、かつらはまるで初対面かのような気持ちにもなっている。
玄関先でソラとかつらは互いに見つめ合い、徐々に近づいていく。
かつらは瞳を潤わせながら肩まではとどかないものの、震える両腕をソラの腰付近まで上げた。
「大嵐さん…ワタクシのせいで、マスクの下では、その美しい顔を涙で曇らせていたのでしょうね…。」
「まだ気にしているの?あの日、女子トイレで分かち合ったじゃない。私達ってもう親友のはずだよぉ。」
両手を広げて微笑むソラはかつらが一歩踏み出すのを待っている。
「大嵐さぁぁぁん!ワタクシ、ずっと貴女の事を忘れずに今日まで生きてきましたわ!」
感極まったかつらは泣きじゃくりソラに飛びつくように抱きついた。
ソラをいじめた時の主犯だったかつらが、マツダイラの罠に嵌められた際にはソラによって急死に一生を得たといっていい。
優しきソラのおかげで改心し自分を見つめ直す機会に恵まれた。
本当の意味でかつらはスタートラインに立てたのだ。
「セラちゃん。なんかわかんねえけど、コイツらはこれで良かったんだろうな。」
「あはは、そうだね。」
長身の青髪は玄関先でドアを開けたまま突っ立っている。
マンションの街灯が灯り、ウミの背後から見える遠い景色は高層ビルのネオンでキラキラ光っている。
セラは2人を部屋に招き、玄関から顔を出して注意深く周囲を確認した後、ドアを閉めて施錠した。
「おぉ、セラちゃん!いきなり玄関を叩いてごめんな。」
ウミは右手を首の後ろ側に回し照れくさそうにしている。
「どうしてここがわかったの?」
ソラはセラを疑い視線を合わせたが、手を横に振ってセラは否定している。
「やだ?疑ってんの?あたしじゃないってば!」
「ソラ。セラちゃんからの垂れ込みじゃねぇぞ。
有り難え事に俺はコイツの力を借りておまえを見つけだしたんだよ。なっ?」
ウミに感謝されたかつらは謙虚に否定しながらソラに言った。
「もしかして大嵐さん?」
「あなたは…砂城院さん!?どうして砂城院さんがここへ!?」
ソラは内股になり口元を両手で覆った。
「大嵐さん。お久しぶりですわね。ワタクシの事を覚えているかしら?」
「うん。もちろん覚えているわ。でもなんでなんで?
砂城院さんとウミが一緒にいるのぉ?」
「コイツは俺らの結婚を祝いたくてきたんだぞ。わざわざソラのお母さんに聞いてな。」
ウミはかつらの顔を見た後、すぐソラの目を見ながら言った。
「あとはなんだっけ?
あぁ、そうだった。おまえに対する感謝と謝罪。
ずっとおまえを忘れずに生きていたみたいだぜ。」
瞬きが多くなったかつらは深々と頭を下げて、突然の訪問を詫びた。
夫であるウミとの突然の再会に驚いたソラだったが、かつらともこのような形で再会する事になるとは夢にも思わず、まさに青天の霹靂であった。
「初めて大嵐さんの素顔を拝見できたわ。
ワタクシ、姫君では顔を隠している大嵐さんしか存じていなかったので。
とても美しいお顔ね…。」
ノスタルジーに浸りつつも、かつらはまるで初対面かのような気持ちにもなっている。
玄関先でソラとかつらは互いに見つめ合い、徐々に近づいていく。
かつらは瞳を潤わせながら肩まではとどかないものの、震える両腕をソラの腰付近まで上げた。
「大嵐さん…ワタクシのせいで、マスクの下では、その美しい顔を涙で曇らせていたのでしょうね…。」
「まだ気にしているの?あの日、女子トイレで分かち合ったじゃない。私達ってもう親友のはずだよぉ。」
両手を広げて微笑むソラはかつらが一歩踏み出すのを待っている。
「大嵐さぁぁぁん!ワタクシ、ずっと貴女の事を忘れずに今日まで生きてきましたわ!」
感極まったかつらは泣きじゃくりソラに飛びつくように抱きついた。
ソラをいじめた時の主犯だったかつらが、マツダイラの罠に嵌められた際にはソラによって急死に一生を得たといっていい。
優しきソラのおかげで改心し自分を見つめ直す機会に恵まれた。
本当の意味でかつらはスタートラインに立てたのだ。
「セラちゃん。なんかわかんねえけど、コイツらはこれで良かったんだろうな。」
「あはは、そうだね。」
長身の青髪は玄関先でドアを開けたまま突っ立っている。
マンションの街灯が灯り、ウミの背後から見える遠い景色は高層ビルのネオンでキラキラ光っている。
セラは2人を部屋に招き、玄関から顔を出して注意深く周囲を確認した後、ドアを閉めて施錠した。
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