116 / 275
ソラが女子高校生だった頃。逃亡先は新横浜
115
しおりを挟む
「ヤバかったなぁ。でもなんとか撒くことはできた。」
後部座席の窓から顔を出しウミは風を浴びている。
「私、すごく怖かったよぉ…。」
ソラはタクシーの中でフェイスカバーを被りポンプを取り付けた。
「やっぱ顔を隠さなきゃ、さっきみたいな事になっちまうんだな。」
ソラは悲しげな表情で頷いた。
年配ドライバーが運転するタクシーは都筑区内に入った。
「シュゴー、私のせいでせっかくのデートが台無しになっちゃった。
ご飯を食べる時、つい油断をしてフェイスカバーを外した私がバカなのよ…。
おかげで無関係なウミの事を巻き込んじゃった。」
膝の上に顔をつけて泣き出した。
「気にすんなよ。」
背中をポンポン優しく叩いている。
年配のドライバーが運転するタクシーは次々に景色を変えていく。
多少、落ち着きを取り戻した2人は少し声に張りが出てきた。
「だいぶ景色が変わってきたな。ソラが新横を選んだ理由はなんだ?」
「理由なんて全然。一昨年、家族でお爺ちゃんちへ行く時、新幹線に乗ったのが頭の中にあったから。それで…。」
「咄嗟に口にしたわけか。」
「聞き忘れてましたがお客さん、そろそろ新横浜駅前に着きますよ。どの辺で降りますか?」
白髪頭の年配ドライバーがバックミラーで2人を見た。
「北口でお願いします。シュゴー。」
ソラはタクシー料金を渡し、デートコースには一切、含まれてなかった新横浜に到着した。
「まだ時間はあるけど、どうするよ?ソラ?」
早く帰ろうとは言えず、少し気まずそうに人差し指で頬をポリポリ掻いているウミを見て言った。
「シュゴー、やっぱりもうお家に帰った方がいいよね…。
はぁ、まだ2人きりで遊びたかったなぁ。タクシーの中でも言ったけどさ、あの時、フェイスカバーを外しちゃったせいで気付かれたんだ。
でもね私だって普通の女の子みたいに、顔を隠さず生活したいよぉ。」
「あぁ。」
ソラの切実な願いを聞いて胸が痛くなった。
何をするわけでもなく10分ほど駅前を2人はウロウロしていた。
「ちょっと聞いて!なんか彼氏がさぁ、大嵐ソラが新横浜駅前か日産スタジアム付近で見つけたとかって情報をネットで見てアタシの事を置いてどっか言っちゃった!」
彼氏の行いに怒った女子大生風の女が友人とスマホで通話しながら歩いている。
「シュ…ゴ…。」
話を聞いたソラは足元がおぼつかなくなりよろけてしまった。
「お、おい。ソラ。しっかりしろよ。」
2人の前を歩いていた高校生風の男子4人が振り返ってこちらを見ている。
「今、ソラって言った?」
しまった!
ウミはうっかり自分の口から出た言葉を悔やんだ。
「別人だったらやばくね?裏取ってんの?」
「もう一回確認させて。えっとねさっき見たネットの情報だと…。」
小柄な男子がスマホを取り出してネットの掲示板を読んでいる。
「クマがプリントされたガキみたいな服装をした髪の毛が青い男子とグラサンやフェイスカバーをしていて、清楚なワンピを着た巨乳女子って書いてある。それって…」
ソラとウミを見て、一同ハッとした表情になった。
「スゲェ!コイツらだ!!」
「マジ、オッパイでけえ!!」
「誰かムービー撮って!!」
「大嵐ソラめっちゃ可愛い!!」
「てめらうるせえんだよ!静かにしやがれ!」
ドスン!
真ん中にいた男子に怒りのローリングソバットをみぞおちに喰らわせた。
「ソラ!あっ、また言っちまった!
逃げるぞ!ソラ走れ!チクショーまた言っちまったよ!」
後部座席の窓から顔を出しウミは風を浴びている。
「私、すごく怖かったよぉ…。」
ソラはタクシーの中でフェイスカバーを被りポンプを取り付けた。
「やっぱ顔を隠さなきゃ、さっきみたいな事になっちまうんだな。」
ソラは悲しげな表情で頷いた。
年配ドライバーが運転するタクシーは都筑区内に入った。
「シュゴー、私のせいでせっかくのデートが台無しになっちゃった。
ご飯を食べる時、つい油断をしてフェイスカバーを外した私がバカなのよ…。
おかげで無関係なウミの事を巻き込んじゃった。」
膝の上に顔をつけて泣き出した。
「気にすんなよ。」
背中をポンポン優しく叩いている。
年配のドライバーが運転するタクシーは次々に景色を変えていく。
多少、落ち着きを取り戻した2人は少し声に張りが出てきた。
「だいぶ景色が変わってきたな。ソラが新横を選んだ理由はなんだ?」
「理由なんて全然。一昨年、家族でお爺ちゃんちへ行く時、新幹線に乗ったのが頭の中にあったから。それで…。」
「咄嗟に口にしたわけか。」
「聞き忘れてましたがお客さん、そろそろ新横浜駅前に着きますよ。どの辺で降りますか?」
白髪頭の年配ドライバーがバックミラーで2人を見た。
「北口でお願いします。シュゴー。」
ソラはタクシー料金を渡し、デートコースには一切、含まれてなかった新横浜に到着した。
「まだ時間はあるけど、どうするよ?ソラ?」
早く帰ろうとは言えず、少し気まずそうに人差し指で頬をポリポリ掻いているウミを見て言った。
「シュゴー、やっぱりもうお家に帰った方がいいよね…。
はぁ、まだ2人きりで遊びたかったなぁ。タクシーの中でも言ったけどさ、あの時、フェイスカバーを外しちゃったせいで気付かれたんだ。
でもね私だって普通の女の子みたいに、顔を隠さず生活したいよぉ。」
「あぁ。」
ソラの切実な願いを聞いて胸が痛くなった。
何をするわけでもなく10分ほど駅前を2人はウロウロしていた。
「ちょっと聞いて!なんか彼氏がさぁ、大嵐ソラが新横浜駅前か日産スタジアム付近で見つけたとかって情報をネットで見てアタシの事を置いてどっか言っちゃった!」
彼氏の行いに怒った女子大生風の女が友人とスマホで通話しながら歩いている。
「シュ…ゴ…。」
話を聞いたソラは足元がおぼつかなくなりよろけてしまった。
「お、おい。ソラ。しっかりしろよ。」
2人の前を歩いていた高校生風の男子4人が振り返ってこちらを見ている。
「今、ソラって言った?」
しまった!
ウミはうっかり自分の口から出た言葉を悔やんだ。
「別人だったらやばくね?裏取ってんの?」
「もう一回確認させて。えっとねさっき見たネットの情報だと…。」
小柄な男子がスマホを取り出してネットの掲示板を読んでいる。
「クマがプリントされたガキみたいな服装をした髪の毛が青い男子とグラサンやフェイスカバーをしていて、清楚なワンピを着た巨乳女子って書いてある。それって…」
ソラとウミを見て、一同ハッとした表情になった。
「スゲェ!コイツらだ!!」
「マジ、オッパイでけえ!!」
「誰かムービー撮って!!」
「大嵐ソラめっちゃ可愛い!!」
「てめらうるせえんだよ!静かにしやがれ!」
ドスン!
真ん中にいた男子に怒りのローリングソバットをみぞおちに喰らわせた。
「ソラ!あっ、また言っちまった!
逃げるぞ!ソラ走れ!チクショーまた言っちまったよ!」
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ロザリーの新婚生活
緑谷めい
恋愛
主人公はアンペール伯爵家長女ロザリー。17歳。
アンペール伯爵家は領地で自然災害が続き、多額の復興費用を必要としていた。ロザリーはその費用を得る為、財力に富むベルクール伯爵家の跡取り息子セストと結婚する。
このお話は、そんな政略結婚をしたロザリーとセストの新婚生活の物語。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる