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ソラが女子高校生だった頃。ウミの地元、桜木町でデート
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「俺、君の大ファンなんだ!これ見てごらんよ!」
「なんだ?てめぇは?」
口に入っていた食べ物をゴクリと飲み込んだウミは低い声で言った。
ウミは眼鏡男を睨むが、まるでウミの存在なんてはじめからなかったかのように振る舞い始めた。
ウミが怒りを露わにしても、スマホを取り出して待ち受け画面をソラに見せた。
写真は中学生時代のソラでスクール水着を着た写真だった。
「私だ…水泳の授業の時の私だ…。」
「ほかにもジャジャーン!ソラちゃんのフィギュアさ!」
眼鏡男はリュックから取り出してソラに見せた。
「どうだい?このフィギュアはソラちゃんにそっくりだろ?
たぶんソラちゃん自身は初めて見たんじゃないのかな?」
浅い呼吸をして俯いたソラは過呼吸を起こしかけるほど心を抉られている。
「ソラァ大丈夫か?…てめえ!それ以上口を聞いたらぶっ飛ばすぞ!」
「ソラちゃんグッズが熱狂的なファンのあいだで制作、販売されていてね、俺も買ったんだ。
なんとこちらは3万5000円!
今やプレミアがついて…」
「いい加減にしやがれ!」
ウミは鼻筋に強烈なパンチを喰らわせると、眼鏡男は誰も座っていないソファにもんどり打って倒れた。
「キャー!」
近くにいた4人連れの女性が悲鳴をあげた。
「こうなったら逃げるしかねぇ!」
ソラの手を繋いで、レストランの出入り口に向かった。
「ウミィ…。」
「早く出るぞ!」
「お会計…。」
「わかってらぁ!」
金のないウミに変わってソラが母から貰ったお小遣いを店員に手渡す。
友人の太った男は殴られて倒れ込んだ眼鏡男の付近まで行き、大声で叫び始めた。
「あのガキに殴られた!会計をしている青髪のガキだ!
隣には大嵐ソラちゃんもいるぞー!」
「大嵐ソラだって!?」
「日本一可愛い美少女の大嵐ソラがここに?」
「握手してもらおうぜ!」
ざわめく店内で男達の鼻息が荒くなっている。
「あんのクソ野郎ぉぉぉ!でっけぇ声で名前を叫びやがってよ!」
「ウミィ…私、怖い…。」
ソラは一斉に男達が暴徒と化して飛びかかってくるのを恐れている。
店員がソラにお釣りを渡そうとしたのを、ウミが乱暴に受け取った。
「早くしろってんだよ!」
会計が済み、レストランを飛び出すと再びウミはソラの腕を引っ張って走った。
「どけどけ!邪魔だー!」
イラつくウミに驚く人々は道を開けて両端に寄った。
「クソッタレが!!」
「ウミィ、私のせいだ。ごめんね。」
「おまえは悪くねぇよ!変態野郎どもが悪りぃんだ!」
ウミは後ろを振り返った。
「信じられねぇ…。」
ソラが目当てで集まった約50人以上の男達が走って追いかけてきている。
「ソラァ!あのタクシーに乗るぞ!あの黄色いタクシーだ!いいか、それまで全力で走れー!」
「うん。」
2人は信号待ちをしているタクシーに脇目も振らず走った。
「爺さん早く出してくれ!場所はどこでもいいから!」
「はぁはぁはぁ、もうあそこまで、はぁはぁ、来ちゃってるよ。」
「お客さん、それじゃあ困るんだよなぁ~。行き先を伝えて貰わんと。」
「ソラ?どこがいい?」
「新横をお願いします。」
「なんだ?てめぇは?」
口に入っていた食べ物をゴクリと飲み込んだウミは低い声で言った。
ウミは眼鏡男を睨むが、まるでウミの存在なんてはじめからなかったかのように振る舞い始めた。
ウミが怒りを露わにしても、スマホを取り出して待ち受け画面をソラに見せた。
写真は中学生時代のソラでスクール水着を着た写真だった。
「私だ…水泳の授業の時の私だ…。」
「ほかにもジャジャーン!ソラちゃんのフィギュアさ!」
眼鏡男はリュックから取り出してソラに見せた。
「どうだい?このフィギュアはソラちゃんにそっくりだろ?
たぶんソラちゃん自身は初めて見たんじゃないのかな?」
浅い呼吸をして俯いたソラは過呼吸を起こしかけるほど心を抉られている。
「ソラァ大丈夫か?…てめえ!それ以上口を聞いたらぶっ飛ばすぞ!」
「ソラちゃんグッズが熱狂的なファンのあいだで制作、販売されていてね、俺も買ったんだ。
なんとこちらは3万5000円!
今やプレミアがついて…」
「いい加減にしやがれ!」
ウミは鼻筋に強烈なパンチを喰らわせると、眼鏡男は誰も座っていないソファにもんどり打って倒れた。
「キャー!」
近くにいた4人連れの女性が悲鳴をあげた。
「こうなったら逃げるしかねぇ!」
ソラの手を繋いで、レストランの出入り口に向かった。
「ウミィ…。」
「早く出るぞ!」
「お会計…。」
「わかってらぁ!」
金のないウミに変わってソラが母から貰ったお小遣いを店員に手渡す。
友人の太った男は殴られて倒れ込んだ眼鏡男の付近まで行き、大声で叫び始めた。
「あのガキに殴られた!会計をしている青髪のガキだ!
隣には大嵐ソラちゃんもいるぞー!」
「大嵐ソラだって!?」
「日本一可愛い美少女の大嵐ソラがここに?」
「握手してもらおうぜ!」
ざわめく店内で男達の鼻息が荒くなっている。
「あんのクソ野郎ぉぉぉ!でっけぇ声で名前を叫びやがってよ!」
「ウミィ…私、怖い…。」
ソラは一斉に男達が暴徒と化して飛びかかってくるのを恐れている。
店員がソラにお釣りを渡そうとしたのを、ウミが乱暴に受け取った。
「早くしろってんだよ!」
会計が済み、レストランを飛び出すと再びウミはソラの腕を引っ張って走った。
「どけどけ!邪魔だー!」
イラつくウミに驚く人々は道を開けて両端に寄った。
「クソッタレが!!」
「ウミィ、私のせいだ。ごめんね。」
「おまえは悪くねぇよ!変態野郎どもが悪りぃんだ!」
ウミは後ろを振り返った。
「信じられねぇ…。」
ソラが目当てで集まった約50人以上の男達が走って追いかけてきている。
「ソラァ!あのタクシーに乗るぞ!あの黄色いタクシーだ!いいか、それまで全力で走れー!」
「うん。」
2人は信号待ちをしているタクシーに脇目も振らず走った。
「爺さん早く出してくれ!場所はどこでもいいから!」
「はぁはぁはぁ、もうあそこまで、はぁはぁ、来ちゃってるよ。」
「お客さん、それじゃあ困るんだよなぁ~。行き先を伝えて貰わんと。」
「ソラ?どこがいい?」
「新横をお願いします。」
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