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ソラが女子高校生だった頃。宗成の凶行
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「アイツの親はとんでもねぇ権力者だったわけか。だとしてもそんなもん俺には関係ねえけどな。」
「なんだ君は?」
「この子は宗成に怪我を負わされていたので手当をした子です。」
養護教諭が校長に答えた。
「虚勢を張ったところで君に何ができる?」
校長は冷たく言い放った。
「うるせえんだよ。老ぼれは黙ってろ!俺はソラを助けに行く。権力に屈したおまえらヘタレはブルブル震えてクソでもたれてやがれ!」
ウミは保健室のドアを乱暴に開けて出て行った。
「待たんか!この命知らずめ!」
校長は「もう私は知らん」と皆の前で語気を強めた。
廊下を走っていると、後ろからマキが追いかけてくる。
「待ちな!待ちなよって!アンタ、彼女がどこに連れて行かれたか知ってんのかい?」
「おまえは知ってるのか?」
「知ってるから呼んだのよ。」
「早く言えよ!ソラはどこにいんだよ!?」
ウミはマキに怒声をあげた。
「あたしと駐輪場にきな!宗成のクソが住む家にアンタを送ってあげる。」
(駐輪場に到着)
「おまえ、カワサキのニンジャに乗ってんのか。」
「兄貴から貰ったお下がりよ。それよりほら、メットだよ。早く彼女んとこ行きたいだろ?乗んな。」
ウミはソラを救出する為、マキの単車で砂城院宗成の屋敷へ向かった。
「おまえよ、宗成側の人間だろ?なんで俺の味方すんだ?」
赤信号で停止している際、タンデムシートに跨るウミはマキに聞いた。
「宗成とは一応はトモダチだよ。だったと言った方がいいか。
あたしはアンタが好きだったから、それを知られた事で宗成から声がかかったんだ。
そんで校門付近で待ち伏せだ。
知らねえゴリラみたいな奴らもいて、いきなりアンタと喧嘩だろ?
あたしゃ、こんな展開になるとは夢にも思わなかったよ。
アンタの事、宗成から紹介してもらうだけだと思ってたんだからさ。」
信号機は青に変わりマキはバイクを発進させた。
「ちゃんとお姉ちゃんに掴まってな!」
****
「オガタさん、これはどういう事なの?」
手錠をかけられたソラを見て不審に思った家政婦は、かつらのお抱えドライバーに聞いた。
「見ての通り…非道な宗成による誘拐事件だ。」
「えぇ、誘拐!?」
若い家政婦は両手を口元に添えて驚きを隠せずにいる。
「あなたはまだ砂城院家に住み込みで働き始めたばかりでわからないだろうから教えてあげよう。
ここは世間の常識なんぞ通用しない。
世界的な財閥であるにも関わらずね。いや世界的な財閥だからこそかもしれない。
君はまだ若いのだから、見切りをつけて新しい職場を探した方がいい。」
黒いスーツを着たオガタは革靴の音をコツコツ鳴らして運転していたリムジンへ戻った。
「ちょっと?」
「はい?なんですか?かつらさん。」
全裸のかつらは家政婦に話しかけた。
「兄さんがまた何かをやらかしたみたいね?」
「実は宗成さんが同じ姫君学院の後輩に当たる、大嵐ソラという名前の女子生徒を手錠をかけた状態で砂城院家に連れてきたのです。
オガタさんによれば"誘拐事件"だと…。」
「大嵐ソラさんですって!!」
「なんだ君は?」
「この子は宗成に怪我を負わされていたので手当をした子です。」
養護教諭が校長に答えた。
「虚勢を張ったところで君に何ができる?」
校長は冷たく言い放った。
「うるせえんだよ。老ぼれは黙ってろ!俺はソラを助けに行く。権力に屈したおまえらヘタレはブルブル震えてクソでもたれてやがれ!」
ウミは保健室のドアを乱暴に開けて出て行った。
「待たんか!この命知らずめ!」
校長は「もう私は知らん」と皆の前で語気を強めた。
廊下を走っていると、後ろからマキが追いかけてくる。
「待ちな!待ちなよって!アンタ、彼女がどこに連れて行かれたか知ってんのかい?」
「おまえは知ってるのか?」
「知ってるから呼んだのよ。」
「早く言えよ!ソラはどこにいんだよ!?」
ウミはマキに怒声をあげた。
「あたしと駐輪場にきな!宗成のクソが住む家にアンタを送ってあげる。」
(駐輪場に到着)
「おまえ、カワサキのニンジャに乗ってんのか。」
「兄貴から貰ったお下がりよ。それよりほら、メットだよ。早く彼女んとこ行きたいだろ?乗んな。」
ウミはソラを救出する為、マキの単車で砂城院宗成の屋敷へ向かった。
「おまえよ、宗成側の人間だろ?なんで俺の味方すんだ?」
赤信号で停止している際、タンデムシートに跨るウミはマキに聞いた。
「宗成とは一応はトモダチだよ。だったと言った方がいいか。
あたしはアンタが好きだったから、それを知られた事で宗成から声がかかったんだ。
そんで校門付近で待ち伏せだ。
知らねえゴリラみたいな奴らもいて、いきなりアンタと喧嘩だろ?
あたしゃ、こんな展開になるとは夢にも思わなかったよ。
アンタの事、宗成から紹介してもらうだけだと思ってたんだからさ。」
信号機は青に変わりマキはバイクを発進させた。
「ちゃんとお姉ちゃんに掴まってな!」
****
「オガタさん、これはどういう事なの?」
手錠をかけられたソラを見て不審に思った家政婦は、かつらのお抱えドライバーに聞いた。
「見ての通り…非道な宗成による誘拐事件だ。」
「えぇ、誘拐!?」
若い家政婦は両手を口元に添えて驚きを隠せずにいる。
「あなたはまだ砂城院家に住み込みで働き始めたばかりでわからないだろうから教えてあげよう。
ここは世間の常識なんぞ通用しない。
世界的な財閥であるにも関わらずね。いや世界的な財閥だからこそかもしれない。
君はまだ若いのだから、見切りをつけて新しい職場を探した方がいい。」
黒いスーツを着たオガタは革靴の音をコツコツ鳴らして運転していたリムジンへ戻った。
「ちょっと?」
「はい?なんですか?かつらさん。」
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「実は宗成さんが同じ姫君学院の後輩に当たる、大嵐ソラという名前の女子生徒を手錠をかけた状態で砂城院家に連れてきたのです。
オガタさんによれば"誘拐事件"だと…。」
「大嵐ソラさんですって!!」
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