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ソラが女子高校生だった頃。鍵をかけて2人きり
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「いい?貴方、神園君が出てきたらワタクシに連絡をしなさい。サボったら承知しないわよ!」
「わかったよ…。」
「図体ばかりでかくて、ちっとも役に立たない奴ね。」
かつらはブツブツいいながら頭を掻いて、お抱えドライバーが待つ車へ向かった。
春とはいえ、気温が上がりマツダイラは汗をかきながらウミが改装したスタジオ前で2人が出てくるのを待っていた。
「はぁ~。最悪だよ。俺が好きな砂城院さんは神園に惚れてしまってるんだもん。
あんな奴のどこがいいんだってんだよ。」
ガチャ
「あっ、ドアが開いたぞ!」
ウミがスタジオのドアを開けて姿を現した。
ソラはウミの背中にピタッと、くっ付いてかつらとマツダイラが攻撃を仕掛けてくるのではないかと恐れている。
「おいデブ。あの変なリボン女が見当たらねえが、ここにいるのはおまえだけか?」
周囲を見ながらウミは言った。
「砂城院さんを変なリボン女だって?彼女を悪く言うのは許しておけない!
うぉー!!」
「またやるつもりかよ!」
マツダイラはガムシャラにパンチを連打したが、パンチを交わしてウミは強烈なヘッドバットを顔面に打ち込んだ。
ゴツッ!
「ギャァァァァ!」
マツダイラは泣きながら、のたうち回っている。
「雑魚め!」
倒れているマツダイラに唾を吐きかけようとしたが、咄嗟にソラは止めた。
「やめてぇー!シュゴー、こんな事をしたら大怪我では済まないわよぉ!」
マツダイラは両鼻から、おびただしい量の鼻血を出している。
「止めるなよ!先にこのクソデブから殴りかかってきたんだぜ!」
「痛い!痛いぃぃ!」
「うるせぇ!黙ってろ!」
スタジオのドアに、さっさと鍵をかけてウミはソラの腕を引っ張り走り出した。
「シュゴー、ちょっとどこへ連れて行くつもり?」
ウミは無言だ。
2人は裏門から外へ出て交通量の多い環状線沿いにあるラーメン屋へ向かった。
そこの駐車場に自販機が三台あったのをウミは知っていた。
「さっき、ポケットの中に百円玉があったんだ。弁当のお返しにはならないけど、良かったらなにか飲んでくれ。」
ウミはソラの手のひらに無理やり百円玉を捩じ込んできた。
「いい!いらない、私は百円なんかいらないってば。シュゴー。」
「なんだよ、ソラ?遠慮するなよ。」
「シュゴー、だってウミはお金がないんでしょ?貰えるわけない。」
「そりゃねぇけどさ、俺だってせめて飲み物くらい奢りてぇじゃん。
頼むよ。飲んでくれ!」
ウミは深々と頭を下げた。
「頼まれたって飲みたくないものは飲みたくない!シュゴー。」
身体をクイッと曲げてウミに背を向けた。
「おまえ、意外に強情だな。」
背を向けたままのソラにどうすれば、自販機の飲料水を飲ませる事ができるかウミは考えた。
「じゃあよ、ソラ。俺は自分の飲みたいコーラを買う。
おまえに奢りたいからではなく自分の為に買うんだ。
でもな、コーラは好きだが炭酸はガキみてぇに全部飲み干せねえんだよ。
悪りぃけど、最初のなん口か飲んで減らしてくれねぇかな?」
ソラはウミのあまりに子供じみた屁理屈におかしくなって笑いが込み上げた。
「なにがおかしいんだ?笑ってないで飲めよ!」
「シュゴー、わかったぁ、そこまで言うなら飲むよ。コーラでいいんでしょ?」
バス停で座っている主婦や年寄りがニヤニヤしているのに気づき、会話を聞かれて恥ずかしくなった2人は走ってその場を後にした。
「わかったよ…。」
「図体ばかりでかくて、ちっとも役に立たない奴ね。」
かつらはブツブツいいながら頭を掻いて、お抱えドライバーが待つ車へ向かった。
春とはいえ、気温が上がりマツダイラは汗をかきながらウミが改装したスタジオ前で2人が出てくるのを待っていた。
「はぁ~。最悪だよ。俺が好きな砂城院さんは神園に惚れてしまってるんだもん。
あんな奴のどこがいいんだってんだよ。」
ガチャ
「あっ、ドアが開いたぞ!」
ウミがスタジオのドアを開けて姿を現した。
ソラはウミの背中にピタッと、くっ付いてかつらとマツダイラが攻撃を仕掛けてくるのではないかと恐れている。
「おいデブ。あの変なリボン女が見当たらねえが、ここにいるのはおまえだけか?」
周囲を見ながらウミは言った。
「砂城院さんを変なリボン女だって?彼女を悪く言うのは許しておけない!
うぉー!!」
「またやるつもりかよ!」
マツダイラはガムシャラにパンチを連打したが、パンチを交わしてウミは強烈なヘッドバットを顔面に打ち込んだ。
ゴツッ!
「ギャァァァァ!」
マツダイラは泣きながら、のたうち回っている。
「雑魚め!」
倒れているマツダイラに唾を吐きかけようとしたが、咄嗟にソラは止めた。
「やめてぇー!シュゴー、こんな事をしたら大怪我では済まないわよぉ!」
マツダイラは両鼻から、おびただしい量の鼻血を出している。
「止めるなよ!先にこのクソデブから殴りかかってきたんだぜ!」
「痛い!痛いぃぃ!」
「うるせぇ!黙ってろ!」
スタジオのドアに、さっさと鍵をかけてウミはソラの腕を引っ張り走り出した。
「シュゴー、ちょっとどこへ連れて行くつもり?」
ウミは無言だ。
2人は裏門から外へ出て交通量の多い環状線沿いにあるラーメン屋へ向かった。
そこの駐車場に自販機が三台あったのをウミは知っていた。
「さっき、ポケットの中に百円玉があったんだ。弁当のお返しにはならないけど、良かったらなにか飲んでくれ。」
ウミはソラの手のひらに無理やり百円玉を捩じ込んできた。
「いい!いらない、私は百円なんかいらないってば。シュゴー。」
「なんだよ、ソラ?遠慮するなよ。」
「シュゴー、だってウミはお金がないんでしょ?貰えるわけない。」
「そりゃねぇけどさ、俺だってせめて飲み物くらい奢りてぇじゃん。
頼むよ。飲んでくれ!」
ウミは深々と頭を下げた。
「頼まれたって飲みたくないものは飲みたくない!シュゴー。」
身体をクイッと曲げてウミに背を向けた。
「おまえ、意外に強情だな。」
背を向けたままのソラにどうすれば、自販機の飲料水を飲ませる事ができるかウミは考えた。
「じゃあよ、ソラ。俺は自分の飲みたいコーラを買う。
おまえに奢りたいからではなく自分の為に買うんだ。
でもな、コーラは好きだが炭酸はガキみてぇに全部飲み干せねえんだよ。
悪りぃけど、最初のなん口か飲んで減らしてくれねぇかな?」
ソラはウミのあまりに子供じみた屁理屈におかしくなって笑いが込み上げた。
「なにがおかしいんだ?笑ってないで飲めよ!」
「シュゴー、わかったぁ、そこまで言うなら飲むよ。コーラでいいんでしょ?」
バス停で座っている主婦や年寄りがニヤニヤしているのに気づき、会話を聞かれて恥ずかしくなった2人は走ってその場を後にした。
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