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第2部 ソラが女子高校生だった頃。新生活は素顔を隠す
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ソラとセラはスタジオで依頼のあった赤ちゃんの撮影から、お見合い写真や家族写真等の業務に追われていた。
「2人ともやるじゃん!どんどん仕事を覚えていってるよ。
その調子でこれからもよろしくね!今日もお疲れ様!」
「お疲れです!」
「お疲れさまです。」
「今日もフル回転で働いたね。」
セラは元気にエレベーターへ乗り込んだ。
「お客さんとのコミュニケーションも大切だし体力も使うから、もうフラフラ…。」
「わわわっ。姉貴、ほんと大丈夫?」
疲れきったソラはエレベーターの入り口で前のめりに倒れそうになった。
「ごめん。もう寝たい…。」
「グロッキー状態ね。」
疲れて一歩も動けないソラをおぶって、セラは玄関を開けた。
「よいっしょ。姉貴、ベッドでいい?」
「うん。ありがとう。セラ。」
「あたしはこの後、ジムでトレーニングしてくるから、夕飯を食べたら気にせず先に寝てていいよ。」
セラは冷蔵庫を開けてスーパーで買ったおにぎりやチーズなどをバクバク食べている。
「いや、私は疲れ過ぎてお腹空いてないのぉ。アンタはすごいねぇ。」
「あたしは体力が取り柄だからさ!そんじゃ行ってきまーす。」
ヘルメットを被り軽やかな足取りで駐輪場へ向かうと、セラは愛車のモンキーに跨った。
ソラは目を瞑ったり、開いて天井を見つめるのを繰り返している。
疲れてヘロヘロではあるが、ウミから連絡が来るかもしれないからと眠らずにいた。
「ウミィ…。なんで連絡してくれないのさ。
やっぱ家出した私の事、嫌いになっちゃったのかな?」
仕事はハードではあるが充実した毎日を送っている。
しかしウミから未だに連絡がない為、家出をした後悔が日に日に増していった。
「このまま離婚なんて事にならないよね…。そうなったら、私は生きていけないよ。」
スマホを手にして見るが、新しい着信はなかった。
「自分から出ていっておいて、ワガママだよね。でも、あんな事を繰り返されてちゃ私も辛かったんだよぉ。」
ソラの涙が頬を伝い青い枕カバーを濡らした。
スゥゥゥ…
(あれ、なんで私は高校生の頃に戻ってるの?夢だわ…これ…。)
「お姉ちゃん?遅れるわよ!早く降りてきて朝ご飯を食べなさい。」
下から母が呼んでいる。
「なんだ?ソラはまだ寝ているのか?今日から高校生だというのにまったくしょうもない娘だ。」
スーツを着た父はコーヒーを飲みながら経済新聞を読むのが毎朝の日課だった。
「ちょっと私、お姉ちゃんを起こしに行ってくるわ。」
母はそう言って2階まで上がり子ども部屋をノックした。
コンコン
「お姉ちゃん。入るわよ。」
「どうぞ。」
「あら、起きて…どうしたのよ?その顔!?」
ソラはフェイスカバーで目から下を、大きなサングラスで目を、魔女のようなツバの長いハットで顔全体を隠した。
そして昨晩まで工作していたガスマスクのポンプを切り取り、口から右側頭部付近に取り付けていた。
「シュゴー、ママおはよう。シュゴー。」
「アンタ、いったいどうしちゃったの!」
母は驚くと同時に娘の頭がおかしくなって奇行に及んでいると思った。
「まさか、その格好で登校するわけじゃないわよね?」
机の上に置いてある工具類をどかして、丸い卓上ミラーを置いた。
メイクをするオシャレな女の子のように、顔をあらゆる角度から見ている。
「私はこの顔で学校に行くよぉ。
もし、これで学校に行けないなら退学の手続きをして。」
「2人ともやるじゃん!どんどん仕事を覚えていってるよ。
その調子でこれからもよろしくね!今日もお疲れ様!」
「お疲れです!」
「お疲れさまです。」
「今日もフル回転で働いたね。」
セラは元気にエレベーターへ乗り込んだ。
「お客さんとのコミュニケーションも大切だし体力も使うから、もうフラフラ…。」
「わわわっ。姉貴、ほんと大丈夫?」
疲れきったソラはエレベーターの入り口で前のめりに倒れそうになった。
「ごめん。もう寝たい…。」
「グロッキー状態ね。」
疲れて一歩も動けないソラをおぶって、セラは玄関を開けた。
「よいっしょ。姉貴、ベッドでいい?」
「うん。ありがとう。セラ。」
「あたしはこの後、ジムでトレーニングしてくるから、夕飯を食べたら気にせず先に寝てていいよ。」
セラは冷蔵庫を開けてスーパーで買ったおにぎりやチーズなどをバクバク食べている。
「いや、私は疲れ過ぎてお腹空いてないのぉ。アンタはすごいねぇ。」
「あたしは体力が取り柄だからさ!そんじゃ行ってきまーす。」
ヘルメットを被り軽やかな足取りで駐輪場へ向かうと、セラは愛車のモンキーに跨った。
ソラは目を瞑ったり、開いて天井を見つめるのを繰り返している。
疲れてヘロヘロではあるが、ウミから連絡が来るかもしれないからと眠らずにいた。
「ウミィ…。なんで連絡してくれないのさ。
やっぱ家出した私の事、嫌いになっちゃったのかな?」
仕事はハードではあるが充実した毎日を送っている。
しかしウミから未だに連絡がない為、家出をした後悔が日に日に増していった。
「このまま離婚なんて事にならないよね…。そうなったら、私は生きていけないよ。」
スマホを手にして見るが、新しい着信はなかった。
「自分から出ていっておいて、ワガママだよね。でも、あんな事を繰り返されてちゃ私も辛かったんだよぉ。」
ソラの涙が頬を伝い青い枕カバーを濡らした。
スゥゥゥ…
(あれ、なんで私は高校生の頃に戻ってるの?夢だわ…これ…。)
「お姉ちゃん?遅れるわよ!早く降りてきて朝ご飯を食べなさい。」
下から母が呼んでいる。
「なんだ?ソラはまだ寝ているのか?今日から高校生だというのにまったくしょうもない娘だ。」
スーツを着た父はコーヒーを飲みながら経済新聞を読むのが毎朝の日課だった。
「ちょっと私、お姉ちゃんを起こしに行ってくるわ。」
母はそう言って2階まで上がり子ども部屋をノックした。
コンコン
「お姉ちゃん。入るわよ。」
「どうぞ。」
「あら、起きて…どうしたのよ?その顔!?」
ソラはフェイスカバーで目から下を、大きなサングラスで目を、魔女のようなツバの長いハットで顔全体を隠した。
そして昨晩まで工作していたガスマスクのポンプを切り取り、口から右側頭部付近に取り付けていた。
「シュゴー、ママおはよう。シュゴー。」
「アンタ、いったいどうしちゃったの!」
母は驚くと同時に娘の頭がおかしくなって奇行に及んでいると思った。
「まさか、その格好で登校するわけじゃないわよね?」
机の上に置いてある工具類をどかして、丸い卓上ミラーを置いた。
メイクをするオシャレな女の子のように、顔をあらゆる角度から見ている。
「私はこの顔で学校に行くよぉ。
もし、これで学校に行けないなら退学の手続きをして。」
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