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若夫婦に亀裂!?

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回転寿司屋で食事後、セラに夫婦で話し合うよう説得されたソラは嫌々ながらも自宅のアパートに戻ってきていた。

「いい?今朝のような態度でお義兄さんに接したら絶対にダメだよ。
こういう問題は冷静に話し合わなくちゃいけないんだ。
ねっ、冷静にだよ。冷静に!」

ソラは今すぐ戻りたい気分ではなかったがセラの言っている事は充分理解している。
ただ、バンド活動に熱中する野心家のウミは一時的に反省はしても、前回と同様にまた同じ事を繰り返すのではないかと心配していた。


軋むドアを開けると、ウミは部屋でいびきをかいて眠っていた。

「ウミ、ねぇウミィ。」

寝ているウミの身体を揺らして起こす。

「んぁ?あぁソラか。あれ?もうこんな時間かよ。あっという間に夜になっちまった。」

ウミは目頭を擦りながら上半身を起こして腕や肩のストレッチをしている。

「遅くまで起きていたから昼夜逆転したのかもね。
月曜日からお仕事行く時、大変よ?」

「まぁな。でもよ、クソ仕事を辞めて音楽活動に専念できる日が来るんだよ。それももうすぐなんだぜ。」

「ふぅーん。それはすごいわね。」

「だろ?社長は俺らの活動にある程度の青写真があって、俺らにとっても納得できる内容だったんだ。
おかげでモチベーションは上がりまくってるからよ。」

ウミは顎を摩りながら話した。
畳の上には小さい透明のビニール袋が置いてあり、なかに入れていた氷が溶けて水になっていた。

「姉貴。」

セラがソラに目を合わせて合図を送った。

「あのさ、ウミ。今朝は殴っちゃってごめんね。
さすがにやり過ぎたと思う…。」

ウミには対してはまだわだかまりがあるものの殴った事で自己嫌悪に陥って涙が溢れそうになり声を詰まらせている。

「美人な女達ってワードは誤解でさ、ありゃ社長のニシが言ったのであって俺の気持ちじゃねんだわ。
マジで誤解だから信じてくれ。
こっちの方は大丈夫。ただまさかグーで来るとは思わなかったけどよ。
ちょっと腫れちまったがやっちまった事は仕方ねぇ。気にすんな。」

「病院に行かなくても大丈夫?」

セラの問いに「普通ならグーではなくビンタだよな。」と言いながらウミは手を横に振って病院は大袈裟だと笑って言った。

少しずつ夫婦の関係が戻りつつあると思ったセラは胸を撫で下ろした。

「ウミはお夕食食べたの?まだだったら私が何か作ろうか?」

「悪りぃな。お願いするわ。」

ソラがエプロンを締めてキッチンに立つと、ウミのスマホに着信が入った。

「おーこんばんわ!あぁ、そうなんすか?
わかりました。
それはもちろん他のメンバーも…。了解しました。
今から行きますんで。」

ウミは着信を切った。

「ニシのおっさんからだ。
今から来いってよ。俺に話があるんだとさ。
とりあえず行ってくるわ。」

「…今夜までに帰って来れるの?それとも、今朝と同じ朝帰りするパターン?」

「ソラよぉ。今朝も言ったけど約束は守れねぇよ。
もう俺を縛るのはやめてくんねぇかな?
俺はこれからバンド活動で、どんどん忙しくなってくる。
その都度、また約束を破ったと言われておまえと喧嘩か?」


































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