25 / 275
若夫婦に亀裂!?
24
しおりを挟む
セクシーなジャズやボサノバが店内BGMとして流れており、ソラが好みそうな雰囲気の店だ。
「いらっしゃいませ。」
店員の品のある挨拶を聞きながら広いインテリア売り場を歩く。
北欧モダンスタイルの洗練されたソファ、テーブル、照明がレイアウトされていた。
ソラは歩き疲れてソファに座って休んでいるかもしれない。
確信はなかったが、過去の経験則から好んで訪れそうな場所を考えるともうこれ以上探す所はなかった。
初めて入った店舗だった為、ソファがどこにあるかわからなかったが労せず簡単に売り場を見つけ出した。
「シュゴー、こちらのグレーのソファ。とても気に入りました。」
「ありがとうございます。こちら大変人気のソファでありまして、在庫が残り僅かとなっております。」
「やはり人気なのですね。このソファ。本当に素敵…。シュゴー、あっ、すいません。
ちょっと夫との待ち合わせ時間になりましたので、これで失礼します。シュゴー。」
「やっと見つけた!」
セラはすぐに声をかけようと思ったが、売り場の店員とのやり取りのなかで、夫との待ち合わせ時間になったと話していたのが
気になった。
探し回っている間に、夫婦喧嘩が収束したその反動で再び愛が点火して燃え盛っているのかとセラは考えた。
ソラは俯きながら、6階のインテリア売り場からエスカレーターを利用して最上階まで上がって行く。
話しかけたい気持ちを抑えて、バレないよう間隔を空けてソラの後ろをつけた。
最上階に上がると和洋中、カフェを含めたレストランが立ち並ぶ。
土曜日という事もあり飲食店はファミリーやカップルでごった返していた。
ソラは歩みを止める事なく、レストランを見て回っている。
寿司屋の前で足を止めると、飾られた本物そっくりなレプリカを黙って見ていた。
しばらくすると、また歩き出して回転寿司屋の隣のイタリアンレストランで立ち止まった。
周囲にいる多くの客がソラの風貌を見て、二度見をするほど驚いたり、白い目で見ながらヒソヒソ話をしているが当の本人は気になっていないようだ。
ソラはイタリアンレストランから隣のラーメン屋にも立ち寄ると、やはりただ黙って食品サンプルを見るだけだ。
セラは途中から薄々気づき始めた。
本当はウミと待ち合わせなんてしてないのでは、と。
ソラはラーメン屋から立ち去ると、他の飲食店には向かわずレストランフロアに設置されているベンチに腰をおろした。
武装している為、表情はわからないが悲しみに打ちひしがれているようにセラには思えた。
そんな姉の元へ妹は人並みを縫うようにソラの座るベンチの隣に座った。
「姉貴!」
「ウソ!なんでここに?」
ソラは突然現れたセラに驚きを隠せずにいる。
「ずっと探してたんだんだよ。」
「…ごめんね。でもどうして私がここにいるってわかったの?」
フェイスカバーの上から手を口元に当てながら言った。
「妹だからわかるんだよ。姉貴の好みっていうか行動がね。
それにこの暑さじゃん?ただでさえ暑いのに武装したままの姿で屋外には長くいられないだろうって思ってさ。」
「なるほど、さすがね。アンタも私を探して暑かったでしょ。迷惑かけちゃったわ。」
ソラは申し訳なそうに言った。
「あたし?あたしはぜーんぜん!だってレスリング部でガンガンきっつい練習をこなしていたし、タイでムエタイ修行もしていたんだから。
体育会系のあたしには余裕だよ!」
セラは腕の筋肉をソラに見せつけた。
「ねぇ?姉貴はお腹空いてない?もし良かったらさ、あたしが奢るからあの店で食べようよ。」
「えっ?でも…。」
遠慮するソラを半ば強引に引っ張って回転寿司屋へ連れて行った。
「いらっしゃいませ。」
店員の品のある挨拶を聞きながら広いインテリア売り場を歩く。
北欧モダンスタイルの洗練されたソファ、テーブル、照明がレイアウトされていた。
ソラは歩き疲れてソファに座って休んでいるかもしれない。
確信はなかったが、過去の経験則から好んで訪れそうな場所を考えるともうこれ以上探す所はなかった。
初めて入った店舗だった為、ソファがどこにあるかわからなかったが労せず簡単に売り場を見つけ出した。
「シュゴー、こちらのグレーのソファ。とても気に入りました。」
「ありがとうございます。こちら大変人気のソファでありまして、在庫が残り僅かとなっております。」
「やはり人気なのですね。このソファ。本当に素敵…。シュゴー、あっ、すいません。
ちょっと夫との待ち合わせ時間になりましたので、これで失礼します。シュゴー。」
「やっと見つけた!」
セラはすぐに声をかけようと思ったが、売り場の店員とのやり取りのなかで、夫との待ち合わせ時間になったと話していたのが
気になった。
探し回っている間に、夫婦喧嘩が収束したその反動で再び愛が点火して燃え盛っているのかとセラは考えた。
ソラは俯きながら、6階のインテリア売り場からエスカレーターを利用して最上階まで上がって行く。
話しかけたい気持ちを抑えて、バレないよう間隔を空けてソラの後ろをつけた。
最上階に上がると和洋中、カフェを含めたレストランが立ち並ぶ。
土曜日という事もあり飲食店はファミリーやカップルでごった返していた。
ソラは歩みを止める事なく、レストランを見て回っている。
寿司屋の前で足を止めると、飾られた本物そっくりなレプリカを黙って見ていた。
しばらくすると、また歩き出して回転寿司屋の隣のイタリアンレストランで立ち止まった。
周囲にいる多くの客がソラの風貌を見て、二度見をするほど驚いたり、白い目で見ながらヒソヒソ話をしているが当の本人は気になっていないようだ。
ソラはイタリアンレストランから隣のラーメン屋にも立ち寄ると、やはりただ黙って食品サンプルを見るだけだ。
セラは途中から薄々気づき始めた。
本当はウミと待ち合わせなんてしてないのでは、と。
ソラはラーメン屋から立ち去ると、他の飲食店には向かわずレストランフロアに設置されているベンチに腰をおろした。
武装している為、表情はわからないが悲しみに打ちひしがれているようにセラには思えた。
そんな姉の元へ妹は人並みを縫うようにソラの座るベンチの隣に座った。
「姉貴!」
「ウソ!なんでここに?」
ソラは突然現れたセラに驚きを隠せずにいる。
「ずっと探してたんだんだよ。」
「…ごめんね。でもどうして私がここにいるってわかったの?」
フェイスカバーの上から手を口元に当てながら言った。
「妹だからわかるんだよ。姉貴の好みっていうか行動がね。
それにこの暑さじゃん?ただでさえ暑いのに武装したままの姿で屋外には長くいられないだろうって思ってさ。」
「なるほど、さすがね。アンタも私を探して暑かったでしょ。迷惑かけちゃったわ。」
ソラは申し訳なそうに言った。
「あたし?あたしはぜーんぜん!だってレスリング部でガンガンきっつい練習をこなしていたし、タイでムエタイ修行もしていたんだから。
体育会系のあたしには余裕だよ!」
セラは腕の筋肉をソラに見せつけた。
「ねぇ?姉貴はお腹空いてない?もし良かったらさ、あたしが奢るからあの店で食べようよ。」
「えっ?でも…。」
遠慮するソラを半ば強引に引っ張って回転寿司屋へ連れて行った。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
夫が留守のとき新妻が男に襲われた!! ああ、どうしたらいいの!!
マッキーの世界
大衆娯楽
新婚夫婦の新妻。
「あなた、いってらっしゃい」
新妻はかわいらしい笑顔で夫を見送る。
「ああ、いってくるよ」
玄関先で熱いキスをする2人。
マイカは出勤した夫を
英雄になった夫が妻子と帰還するそうです
白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。
愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。
好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。
今、目の前にいる人は誰なのだろう?
ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。
珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥)
ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。
そういうとこだぞ
あとさん♪
恋愛
「そういえば、なぜオフィーリアが出迎えない? オフィーリアはどうした?」
ウィリアムが宮廷で宰相たちと激論を交わし、心身ともに疲れ果ててシャーウッド公爵家に帰ったとき。
いつもなら出迎えるはずの妻がいない。
「公爵閣下。奥さまはご不在です。ここ一週間ほど」
「――は?」
ウィリアムは元老院議員だ。彼が王宮で忙しく働いている間、公爵家を守るのは公爵夫人たるオフィーリアの役目である。主人のウィリアムに断りもなく出かけるとはいかがなものか。それも、息子を連れてなど……。
これは、どこにでもいる普通の貴族夫婦のお話。
彼らの選んだ未来。
※設定はゆるんゆるん。
※作者独自のなんちゃってご都合主義異世界だとご了承ください。
※この話は小説家になろうにも掲載しています。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ヒロインのシスコンお兄様は、悪役令嬢を溺愛してはいけません!
あきのみどり
恋愛
【ヒロイン溺愛のシスコンお兄様(予定)×悪役令嬢(予定)】
小説の悪役令嬢に転生した令嬢グステルは、自分がいずれヒロインを陥れ、失敗し、獄死する運命であることを知っていた。
その運命から逃れるべく、九つの時に家出して平穏に生きていたが。
ある日彼女のもとへ、その運命に引き戻そうとする青年がやってきた。
その青年が、ヒロインを溺愛する彼女の兄、自分の天敵たる男だと知りグステルは怯えるが、彼はなぜかグステルにぜんぜん冷たくない。それどころか彼女のもとへ日参し、大事なはずの妹も蔑ろにしはじめて──。
優しいはずのヒロインにもひがまれ、さらに実家にはグステルの偽者も現れて物語は次第に思ってもみなかった方向へ。
運命を変えようとした悪役令嬢予定者グステルと、そんな彼女にうっかりシスコンの運命を変えられてしまった次期侯爵の想定外ラブコメ。
※話数は多いですが、1話1話は短め。ちょこちょこ更新中です!
●3月9日19時
37の続きのエピソードを一つ飛ばしてしまっていたので、38話目を追加し、38話として投稿していた『ラーラ・ハンナバルト①』を『39』として投稿し直しましたm(_ _)m
なろうさんにも同作品を投稿中です。
浮気の手紙で、愛は消え去ってしまったのでしょうか?
Hibah
恋愛
ラヴィアール伯爵と妻アデリーヌは幸せな生活を送っていた。しかし、ラヴィアールが公爵の娘マリアンヌと不適切な関係にあるとの噂が立ち、アデリーヌは衝撃を受ける。彼女は証拠となる手紙を見つけ、夫を問い詰めに行く。ラヴィアールは、マリアンヌのことをあくまで友人だと主張するが、アデリーヌは納得できない。その後、夫婦間には距離が生まれることになるが……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる