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第1部 新婚生活はボロアパートで!
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新婚夫婦が住む6畳の部屋は飾りっ気がなく、小さなテーブルと冷蔵庫と洗濯機、それに加えてギタリストのウミが愛するエレキギターが3本とアンプしかなかった。
俺も人の事を言える身分ではないが、随分、質素な暮らしをしているのだな。とミカミは思った。
「実は、私達はお夕飯を済ませていて…お呼びしておきながらミカミさんにお出しする物がなくてすいません。」
ソラはバツが悪そうに頭を下げた。
「いやいや、こちらこそお構いなく!」
「あっ、そうだわ!」
何かを閃いたようでポンと手のひらを叩いたソラは小さなキッチンへ向かった。
「お昼にスーパーで買ったモヤシがあります。
まだお夕飯は食べてませんよね?
今すぐこれをフライパンで炒めてあげますね。」
そうミカミに伝えるとユニセックスなブルーを基調としたギンガムチェックのエプロンを素早く後ろ手で結ぼうとしている。
「モヤシか。あんまり好きな食いもんではねえが、夕飯を納豆と卵焼きしか食ってねえ俺には貴重な食料だぜ?
俺らだってひもじいのにソイツに食わせるこたぁねえだろ?ソラ。」
ウミはギターのペグを触りチューニングしながら話した。
「だってぇ…。」
(女神が、こんな俺の為に手料理を作ろうしてくれるとは…。ビールなんぞとは比べものにならないぞ。
それにしても、この青髪のギター野郎は健気な女神になんていう極貧生活をさせているんだ…。
本当は腹を空かせているが、ここは一つ男気を見せよう。)
「奥さん、私は外で夕食を済ませてから帰宅してますので本当に気になさらないでください。」
「そうですか?なんか、かえってお気を遣わせちゃって。」
頬に両手を当て、少々俯きながらソラはミカミに答えた。
「そんじゃ、コイツの胃袋に入っちまう難は逃れたわけか。
そんなら明日の朝のオカズはモヤシ炒めで決まりだな。」
二人に背を向けたウミはエレキギターを抱えてアンプが置いてある部屋に向かった。
「よぉ、このまま黙っていたってつまんねぇだろ?俺のギターをあんたにも聴かせてやるからこっちに来な。」
タオルで額の汗を拭うと青い髪の毛を右手でかき上げた。
「貴様、奥さんの手前、さっきから黙って聞いてれゃいい気になりやがって!
お前のヘッタクソなギターに我慢なんねえから、こうしてここへ来たんだぜ?それを忘れんじゃねえよ!」
「もう、また喧嘩?ねぇ、ウミィィ!?」
「わーってるよ。わーってる。
いつもの俺ならここで挑発にのっちまってるところだが、嫁のお前に免じて許してやる。
せっかく客としてコイツを迎えてやる事にしたんだ。まぁ、イマイチな客だがよ。」
「ウミ、そんな言い方失礼…。」
「ギュギュギュギューン、ギュギュギュギューン!」
サウスポーでギターを弾くウミは同じくサウスポーのジミ・ヘンドリックスのパープル・ヘッズを弾き始めた。
「わぁ、すごい。」
"みちのくモヤシ"と袋に記載されたモヤシを手に持ちながら、ウミのプレイに驚愕するソラ。
「確かにすごいな。俺は音楽に詳しかないがすごいって事は認めてやらなきゃな…。」
驚く二人を前にして、ウミは妖しくニヤリと笑い更にギターを唸らせる。
何かに取り憑かれたかのように、ウミは身体をくねらせ、顔を歪めたり、眼を閉じて念じるそぶりを見せながら演奏を続けた。
パープル・ヘッズに続きフォクシー・レディを含む他3曲を、ぶっ通しで弾いた後、曲と曲の合間にボソッと「クロスロード」と言いロバート・ジョンソンの曲を奏でた。
(はっ、俺はなにをやってんだ。
ガキのペースにハマって演奏会の客になってどうする?
コイツのやかましいギターを止める為に来たんだぞ。)
ロバート・ジョンソンに酔いしれ、まさに自己を神格化しているウミに対してミカミはアンプに繋がれているシールドを乱暴に引っこ抜いた。
「!?」
何が起ったのかわからずウミは呆気に取られている。
ソラも事態を把握できていない。
「おい、小僧。
もう一度だけ言うから、よく聞けよ。
そのやかましいギターを止めろと言っているんだ。」
「おまえ、やりやがったな!」
オンボロアパートの一室から、どこか遠い世界、それは宇宙なのか砂漠のオアシスなのか、はたまた場末のBARなのかはわからない。
だがウミのハートは間違いなくここではない、どこかへ飛んでいた。
しかし、ミカミによって強制的にオンボロアパートの自室に引き返されるハメになってしまった。
「ここから五体満足で出られると思うなよ。オッサン!」
「上等だね、返り討ちにしてやるからな!」
狼のように牙を剥き出しにした二人はバチバチ睨み合い、互いの間合いを詰めていく。
「もういい加減にしてぇぇぇぇぇ!!!」
興奮して大声を出したソラは肩で息をしている。
「はぁはぁ、もう止めてよ…。お願い…。うっうっう。」
耐えきれず後ろを向き、身体を震わせているソラを見てウミは言った。
「わかったよ。ソラ…。今回はソラに免じてコイツを許してやる。」
ウミは大切なエレキギターを静かに置いた。
(しまった!自我を通す為とはいえ、愛しき女神を悲しませてしまった。
これでは俺が悪者ではないか。き、嫌われたらお終いだよ。)
同じくミカミも二人に背を向けて泣きそうな表情を浮かべた。
「ソラ、俺は喧嘩なんてもう止めた。だから機嫌を直して、いつもみたくまた笑ってくれよ。
俺に出来る事はないかな?」
ソラに近づき、優しく肩に手を乗せた。
「奥さん。僕も不毛な喧嘩は止めました。どうやってお詫びをすればいいか…。」
ドギマギしながら、嫌われたくない一心でウミに続きミカミも詫びを入れた。
「わかってくれたみたいで良かった。私もメソメソしちゃってごめんなさいね。」
そう言って振り返ると目は充血していながらも、いつもの笑顔を振りまいた。
「最後は楽しくゲームをやって笑って終わりにしましょ?ねっ?」
突然、脈絡もなくゲームと言われた二人の男は何の事かわからなかったが、逆らわずウンと頷いた。
「さっそく、連想ゲームを始めるよぉ。まずはウミからね。
ギターで色々あったから、ギターと同じ、頭文字がGで始まるものは?」
人差し指を天井にかざして、ハキハキとした声で言った。
「えっ?なんのこった?Gたってなぁ。」
「カッチ、カッチ、カッチ」
ソラはクイズ番組にありがちな時計が秒針を刻む音を口で真似ている。
「…Gだろ?そんなら、ジーン・ヴィンセントのG?ダメ…かな?」
ソラの考えた謎のゲームに困惑しているウミはルールを理解していなかった。
ウミはダメ元覚悟で答えたが、どうやら正解らしい。
「次はミカミさんの番です。」
「Gだから…ゴキブリのG!
僕のネタはどうでしょうか?ここのアパート、よく出ますよ~。なはは。」
ソラとウミは、特にソラの方が嫌悪感を示していた。
「ソラ、俺らは答えたぞ。トリはお前だ。」
「私のGはうんとね~。大好きなジーパンのGです!」
ピチッとしたタイトなデニムを履きこなしたソラは腰に手を当てて桃のような見事な尻を大胆に突き出して左右に振った。
「ギャハハ!何やってんの?おまえ。」
ゲラゲラ笑っているウミの隣でミカミはソラの抜群の桃尻を見て、昨晩と同じく奇妙な声を上げて泣きだした。
そして、そのまま玄関へ前屈みの状態で進み神園家を後にした。
「ゲッ?ミカミさんまたぁ?ウケ狙いでしたことなんだけどなぁ。
ねぇ、ウミィ教えて?また私、変な事した?」
「俺にだってわかんねえよ…。」
一方、自室へ帰ったミカミはというとーーーー
「素晴らしいのは、お顔とお乳だけではなかったのだ。桃が、女神の桃が、あは、あははのはっはぁ。」
壊れていた。
俺も人の事を言える身分ではないが、随分、質素な暮らしをしているのだな。とミカミは思った。
「実は、私達はお夕飯を済ませていて…お呼びしておきながらミカミさんにお出しする物がなくてすいません。」
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「いやいや、こちらこそお構いなく!」
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何かを閃いたようでポンと手のひらを叩いたソラは小さなキッチンへ向かった。
「お昼にスーパーで買ったモヤシがあります。
まだお夕飯は食べてませんよね?
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そうミカミに伝えるとユニセックスなブルーを基調としたギンガムチェックのエプロンを素早く後ろ手で結ぼうとしている。
「モヤシか。あんまり好きな食いもんではねえが、夕飯を納豆と卵焼きしか食ってねえ俺には貴重な食料だぜ?
俺らだってひもじいのにソイツに食わせるこたぁねえだろ?ソラ。」
ウミはギターのペグを触りチューニングしながら話した。
「だってぇ…。」
(女神が、こんな俺の為に手料理を作ろうしてくれるとは…。ビールなんぞとは比べものにならないぞ。
それにしても、この青髪のギター野郎は健気な女神になんていう極貧生活をさせているんだ…。
本当は腹を空かせているが、ここは一つ男気を見せよう。)
「奥さん、私は外で夕食を済ませてから帰宅してますので本当に気になさらないでください。」
「そうですか?なんか、かえってお気を遣わせちゃって。」
頬に両手を当て、少々俯きながらソラはミカミに答えた。
「そんじゃ、コイツの胃袋に入っちまう難は逃れたわけか。
そんなら明日の朝のオカズはモヤシ炒めで決まりだな。」
二人に背を向けたウミはエレキギターを抱えてアンプが置いてある部屋に向かった。
「よぉ、このまま黙っていたってつまんねぇだろ?俺のギターをあんたにも聴かせてやるからこっちに来な。」
タオルで額の汗を拭うと青い髪の毛を右手でかき上げた。
「貴様、奥さんの手前、さっきから黙って聞いてれゃいい気になりやがって!
お前のヘッタクソなギターに我慢なんねえから、こうしてここへ来たんだぜ?それを忘れんじゃねえよ!」
「もう、また喧嘩?ねぇ、ウミィィ!?」
「わーってるよ。わーってる。
いつもの俺ならここで挑発にのっちまってるところだが、嫁のお前に免じて許してやる。
せっかく客としてコイツを迎えてやる事にしたんだ。まぁ、イマイチな客だがよ。」
「ウミ、そんな言い方失礼…。」
「ギュギュギュギューン、ギュギュギュギューン!」
サウスポーでギターを弾くウミは同じくサウスポーのジミ・ヘンドリックスのパープル・ヘッズを弾き始めた。
「わぁ、すごい。」
"みちのくモヤシ"と袋に記載されたモヤシを手に持ちながら、ウミのプレイに驚愕するソラ。
「確かにすごいな。俺は音楽に詳しかないがすごいって事は認めてやらなきゃな…。」
驚く二人を前にして、ウミは妖しくニヤリと笑い更にギターを唸らせる。
何かに取り憑かれたかのように、ウミは身体をくねらせ、顔を歪めたり、眼を閉じて念じるそぶりを見せながら演奏を続けた。
パープル・ヘッズに続きフォクシー・レディを含む他3曲を、ぶっ通しで弾いた後、曲と曲の合間にボソッと「クロスロード」と言いロバート・ジョンソンの曲を奏でた。
(はっ、俺はなにをやってんだ。
ガキのペースにハマって演奏会の客になってどうする?
コイツのやかましいギターを止める為に来たんだぞ。)
ロバート・ジョンソンに酔いしれ、まさに自己を神格化しているウミに対してミカミはアンプに繋がれているシールドを乱暴に引っこ抜いた。
「!?」
何が起ったのかわからずウミは呆気に取られている。
ソラも事態を把握できていない。
「おい、小僧。
もう一度だけ言うから、よく聞けよ。
そのやかましいギターを止めろと言っているんだ。」
「おまえ、やりやがったな!」
オンボロアパートの一室から、どこか遠い世界、それは宇宙なのか砂漠のオアシスなのか、はたまた場末のBARなのかはわからない。
だがウミのハートは間違いなくここではない、どこかへ飛んでいた。
しかし、ミカミによって強制的にオンボロアパートの自室に引き返されるハメになってしまった。
「ここから五体満足で出られると思うなよ。オッサン!」
「上等だね、返り討ちにしてやるからな!」
狼のように牙を剥き出しにした二人はバチバチ睨み合い、互いの間合いを詰めていく。
「もういい加減にしてぇぇぇぇぇ!!!」
興奮して大声を出したソラは肩で息をしている。
「はぁはぁ、もう止めてよ…。お願い…。うっうっう。」
耐えきれず後ろを向き、身体を震わせているソラを見てウミは言った。
「わかったよ。ソラ…。今回はソラに免じてコイツを許してやる。」
ウミは大切なエレキギターを静かに置いた。
(しまった!自我を通す為とはいえ、愛しき女神を悲しませてしまった。
これでは俺が悪者ではないか。き、嫌われたらお終いだよ。)
同じくミカミも二人に背を向けて泣きそうな表情を浮かべた。
「ソラ、俺は喧嘩なんてもう止めた。だから機嫌を直して、いつもみたくまた笑ってくれよ。
俺に出来る事はないかな?」
ソラに近づき、優しく肩に手を乗せた。
「奥さん。僕も不毛な喧嘩は止めました。どうやってお詫びをすればいいか…。」
ドギマギしながら、嫌われたくない一心でウミに続きミカミも詫びを入れた。
「わかってくれたみたいで良かった。私もメソメソしちゃってごめんなさいね。」
そう言って振り返ると目は充血していながらも、いつもの笑顔を振りまいた。
「最後は楽しくゲームをやって笑って終わりにしましょ?ねっ?」
突然、脈絡もなくゲームと言われた二人の男は何の事かわからなかったが、逆らわずウンと頷いた。
「さっそく、連想ゲームを始めるよぉ。まずはウミからね。
ギターで色々あったから、ギターと同じ、頭文字がGで始まるものは?」
人差し指を天井にかざして、ハキハキとした声で言った。
「えっ?なんのこった?Gたってなぁ。」
「カッチ、カッチ、カッチ」
ソラはクイズ番組にありがちな時計が秒針を刻む音を口で真似ている。
「…Gだろ?そんなら、ジーン・ヴィンセントのG?ダメ…かな?」
ソラの考えた謎のゲームに困惑しているウミはルールを理解していなかった。
ウミはダメ元覚悟で答えたが、どうやら正解らしい。
「次はミカミさんの番です。」
「Gだから…ゴキブリのG!
僕のネタはどうでしょうか?ここのアパート、よく出ますよ~。なはは。」
ソラとウミは、特にソラの方が嫌悪感を示していた。
「ソラ、俺らは答えたぞ。トリはお前だ。」
「私のGはうんとね~。大好きなジーパンのGです!」
ピチッとしたタイトなデニムを履きこなしたソラは腰に手を当てて桃のような見事な尻を大胆に突き出して左右に振った。
「ギャハハ!何やってんの?おまえ。」
ゲラゲラ笑っているウミの隣でミカミはソラの抜群の桃尻を見て、昨晩と同じく奇妙な声を上げて泣きだした。
そして、そのまま玄関へ前屈みの状態で進み神園家を後にした。
「ゲッ?ミカミさんまたぁ?ウケ狙いでしたことなんだけどなぁ。
ねぇ、ウミィ教えて?また私、変な事した?」
「俺にだってわかんねえよ…。」
一方、自室へ帰ったミカミはというとーーーー
「素晴らしいのは、お顔とお乳だけではなかったのだ。桃が、女神の桃が、あは、あははのはっはぁ。」
壊れていた。
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