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【4】

?4−5?

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「体育館、一緒に行こうよ」
「……え?」
「体育館だよ。自分の番号覚えてる?」
「番号……?」
「何人目、ってやつ。後ろの黒板にあったリストとか……自分の名前の前に書かれてた番号だよ」
「覚えてないと、まずいのか?」
「席順だから。その番号の椅子に座ることになるよ」
「なるほど」

 見た記憶は、ある。
 だが、自分の番号までは覚えていない。
 黒板にあるであろう情報を確認すべく、自分のいた教室に戻ろうとドアに手を伸ばす。


ーーガラガラガラガラッッ!!!


 教室のドアは、自動で開いた時と同様の勢いで閉まった。

 ドアに手をかけるもガタつくだけ。
 まるで鍵がかかった様に開かなくなった。

「あっぶね……ていうか、マジかよ」
「一度出た教室にはもう入れないよ?
 もし他の人が別の教室に入ったりしたら、ゲーム破綻しちゃうし」
「ゲーム、破綻……?」
「ウイロウだよ。ウ・イ・ロ・ウ!」
「ウイロウ……?」
「やりにいこうよ、体育館へ」

 ウイロウ。ういろう……外郎?
 好物の外郎しか思いつかなかった。

 その言葉に続くには相応しくない「やりにいこう」の言葉に、思わず吹き出してしまう。

 その様子を見たティーは、先程までの愛想が無くなる。
 俺を置いて歩き出した。

「おい、待って! ウイロウって、何だよ!」

 呼び止めたティーは、こちらには振り向かず止まる。
 さっき見せた愛想笑いとは別物のーー高笑いをしてみせた。

『……アハハハハハ。アハハハハハッ!』

ーー機械的なその声は、廊下に響き渡る。
 
「ウイルス人狼ゲーム。略して、ウイロウ」
「人狼ゲーム、だと?」
「フフフ。まだとぼけてる……ジンくんだって、知ってるはずだよ?」

 振り向かずそのまま言葉を続けていたティーは、わざとらしく首を傾げて見せた。
 俺からの返答を待っていたのか、しばらくの沈黙の後、首を戻して再び歩き出した。

『ヤリニイコウヨ。タイイクカンヘ』
 
 脳内から離れない先程の言葉を思い出すと、浮かんだ文字が再び変換されていく。

『殺り行こうよ。体育館へ』

『違ウ。ウイロウハ、誰モ死ナナイ人狼』

 不安な孤独からの解放も束の間、新たな恐怖に襲われる。
 
ーー目に見えない、誰かが、ここにいる。

 現実離れしたこの空間は、現実の感覚を見失わせる。
 この違和感が違和感なのか、当たり前なのかさえ判断出来なくなって来た。

ーー目に見えないそれは、俺の中ここにいる。

ーーこの感覚の正体は何だ?
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