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【4】
4−4
しおりを挟む口には出したものの、本当に諦めムードになったのは頭脳派のマコトとアオイだけ。
ミホの目は、諦めていない。
ーー俺とミホはただの馬鹿じゃない。諦めが悪い馬鹿だ。
「ふんふんふん……うん。俺は、何個か使えそうな共通点、見つけたぞ」
「……え?」
「ねえねえ! ……じょうようかんじ、じゃぁ無いってどういう意味なのか教えて?」
「日常的に……と言うか。名前には使えない漢字の事、かな」
「そうなの?
どれも見た事ある気がするけど……ほら、アオイちゃんの名前、癸と似てる」
「なるほど。部首で分けて考えてるのね……暗号らしくなってきたわ」
「漢字が部分的に似てるってのもありなら、俺の名前、十干全部当てはめれるぜ?」
「全部って。コウは名前どれでもイケるって事?」
「とりあえず、考えてみたのはーー」
「はいっ! これ、使って!」
言葉で説明しようとしたが、ミホが自由帳を出してくれた。
【 甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸 】
10個を書き出し、俺の名前との“共通点”を説明した。
丁はミホで決まりだろうけどなー、と前置きをし、書き出す。
甲 神田の申の中にある。読みがコウ。だからマコトもいける。
乙 弘大のムと乙が似てる。
丙 大の字が入っている。アオイの赤柄にもある。
丁 ミホでほぼ決まり? (田の字にTがある)
戊 犬(戌)もどき→大。
己 田をS字になぞる。
庚 大の字が入っている。読みがコウ。マコトもいける?
辛 神をシンと読める。辛いもの好き。
壬 神をジンと読める。
癸 アオイでほぼ決まり? (大の字が入ってる)
「漢字が似てるとか、読み方で探せば……何とか全員分見つけられそうかも!」
「戊、だけど……予想以上に、こじつけね」
「乙と辛も、許せないレベルだと思う」
「う~ん。私もそう思うけど……その3つの漢字なら、大丈夫だと思う!」
「相変わらずミホちゃんはコウに甘いんだから」
「そういうの良くないと思うわ」
「だって! ……私、その3つの漢字、メンバーに良さそうな人心当たりあるもん」
「「えぇ!?」」
ミホの言う通りだった。
俺の上げた共通点リスト中でも、理由として弱さが目立つのには理由があった。
戊・乙・辛の担当になるであろうメンバーは既に、俺達以外にぴったりな奴がいたからだ。
「まあ、そういう事よ。俺は残り物で良いから。早速スカウトに行こうぜ」
「スカウトって。誰メンバーに誘うか、もう決めたの!?」
「まあ、こじつけは否定しきれねーけどさ。メンバー候補共通点、思いついたぞ」
「この短時間で?」
「まあ、誘えそうな奴とそうじゃ無い奴と、いるけどな」
「凄いやコウちゃ~~んっ!」
「お、おう!」
「思いついた共通点の内容は……正直、期待は出来ないけどね」
「……おう」
「オッケー。コウ、書き出すから教えてくれる? その、メンバー候補者をさ」
メンバー候補の名前を読み上げて行く。
聞き覚えのある名前、知らない名前、意外な名前。
色々な感想があっただろう。
生徒の名前と同時に、俺の見つけた“共通点”も説明した。
中には『やっぱり』と言わざるを得ない『こじつけ』も存在した。
「コードネームは暗号だから、解りづらい方が良いんだよ!」
と、ごり押した結果。
理由がこじつけな点に関しては、文句を言わなくなった。
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