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赤柄は膝の上で握っていた手を解き、顔を上げる。
その顔はもう冷静を取り戻して、いつも通りの無表情だった。
「カンダコウダイ。コウダマコト君。ハッチョウミホちゃん」
それぞれ本人を見て指を差し、名前を呼ぶ。
俺の名前は【神田弘大】。かんだこうだい。
2人から呼ばれているコウの呼び名は、名前からとったあだ名だった。
マコトの名前は【神田真】。こうだまこと。
ミホの名前は【八丁実穂】。はっちょうみほ。
俺とマコトは同じ漢字の苗字でも、カンダとコウダで読み方が違う。
神田明神、なんていう全国的に有名な神社があるもんだから、カンダ読みは一般的だと思い込んでいた。
赤柄同様、マコトも転校してきた身で、その時に価値観が一変した。
当時小学1年生だった俺ら2人以外には苗字の呼び分けがややこしいらしく、名前で呼ばれるのが当たり前だった。
ミホも、『八丁味噌』と揶揄われるのが嫌で、滅多に苗字を名乗らないし、呼ぶ奴も減って行った。
ーー俺達3人共。転校生である赤柄に、しっかり自己紹介した記憶は無かった。
「な、ななな何でコウちゃんだけ、呼び捨てなのーー!? なんか、コウちゃんだけズルい!」
「私の事、呼び捨てするから」
「ははは。コウはみんな呼び捨てだよ。でも、何で僕には君付けてくれたの?」
「さん付けで呼んでくれてるけど、男の子だし、君の方が自然だと思ったから」
「じゃあ、女子のコイツはさんで良いじゃねーかよ。何かコイツにだけやけに贔屓してねー?」
「ミホちゃんは既にちゃん付けで呼んでくれてるから。当たり前」
「アオイちゃん……! 良かった~。なんなら、呼び捨てでも何でも構わないからね! ……あ。味噌、以外なら」
「ありがとう、ミホ。よろしく。」
「キャァ~ッ! 女の子から呼び捨てって、何か新鮮かも!」
「僕も呼びやすいだろうし、呼び捨てで構わないよ」
「ありがとう、マコト。よろしく」
その顔はもう冷静を取り戻して、いつも通りの無表情だった。
「カンダコウダイ。コウダマコト君。ハッチョウミホちゃん」
それぞれ本人を見て指を差し、名前を呼ぶ。
俺の名前は【神田弘大】。かんだこうだい。
2人から呼ばれているコウの呼び名は、名前からとったあだ名だった。
マコトの名前は【神田真】。こうだまこと。
ミホの名前は【八丁実穂】。はっちょうみほ。
俺とマコトは同じ漢字の苗字でも、カンダとコウダで読み方が違う。
神田明神、なんていう全国的に有名な神社があるもんだから、カンダ読みは一般的だと思い込んでいた。
赤柄同様、マコトも転校してきた身で、その時に価値観が一変した。
当時小学1年生だった俺ら2人以外には苗字の呼び分けがややこしいらしく、名前で呼ばれるのが当たり前だった。
ミホも、『八丁味噌』と揶揄われるのが嫌で、滅多に苗字を名乗らないし、呼ぶ奴も減って行った。
ーー俺達3人共。転校生である赤柄に、しっかり自己紹介した記憶は無かった。
「な、ななな何でコウちゃんだけ、呼び捨てなのーー!? なんか、コウちゃんだけズルい!」
「私の事、呼び捨てするから」
「ははは。コウはみんな呼び捨てだよ。でも、何で僕には君付けてくれたの?」
「さん付けで呼んでくれてるけど、男の子だし、君の方が自然だと思ったから」
「じゃあ、女子のコイツはさんで良いじゃねーかよ。何かコイツにだけやけに贔屓してねー?」
「ミホちゃんは既にちゃん付けで呼んでくれてるから。当たり前」
「アオイちゃん……! 良かった~。なんなら、呼び捨てでも何でも構わないからね! ……あ。味噌、以外なら」
「ありがとう、ミホ。よろしく。」
「キャァ~ッ! 女の子から呼び捨てって、何か新鮮かも!」
「僕も呼びやすいだろうし、呼び捨てで構わないよ」
「ありがとう、マコト。よろしく」
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