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第65話 世界の裏側
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魔界への扉が開かれるまでもう時間がない。
もしヴェパルさんの前に魔界への扉を開く事ができる門番が現れたらどうなるだろうか。
ヴェパルさんの性格なら喜んで魔界へ行くだろう。
何せ魔王城の宝物庫には膨大な量の金銀財宝が眠っている。
そしてヴェパルさんの今のレベルなら生きて帰る事はできないだろう。
「マールさん、八人中七人がここにいるんですよ。余程運が悪くない限り彼女の所に扉が開く事はありませんよ」
商家の息子グレイドが気楽にそう答えるが、それは甘い考えと言わざるを得ない。
大体こういう時は一番嫌なパターンになるものだ。
ただでさえこのゲームの乱数は味方側に不利に働く事が多い。
こちらが命中率90%の攻撃をするとよく外れ、逆に敵の命中率10%の攻撃はバシバシ当たる。
あからさま過ぎて誰も本当の命中率を検証しようとしない程だ。
この星の裏側にある古代ロウラン帝国の遺跡までは直線距離で二万キロメートルはある。
港町フェルトから遺跡付近の港までこの世界最速の船ピンクパール号で向かっても半月はかかる。
それではとても間に合わない。
それまでにヴェパルさんに追いつく方法は……。
……バグ技を使えば行けるか?
「皆、俺に考えがある。今から深淵の洞窟へ行こう」
深淵の洞窟とはこのレイフィス王国で最も地下深くまで続いている洞窟である。
距離は王都からさほど離れていない。
内部には多くの魔物が生息しているが、宝箱の類は一切置かれていない。
レベル上げに専念したい時以外は誰も入らないダンジョンだ。
当然この世界の人間もこの洞窟の事は知っている。
「マール、あの洞窟の中は何もないぞ。それよりも早くヴェパルさんを追おう」
「マールさん、急いで港に向かいましょう。風魔法で追い風を作りながら船を走らせれば数日は短縮できます」
「そうだ、それなら間に合うかもしれない」
皆こぞって船での移動を主張するが、それではとても間に合わない。
少しでも可能性があれば、俺はバグに賭ける。
「では深淵の洞窟へ向かう組と、港へ向かう組と別れるというのはどうでしょう?」
魔道士のサタナーキと戦士コンワークは二手に分かれるよう提案するが、それではダメだ。
このバグを成功させるためには皆の力が必要だ。
それにしても原作で主人公ポジションだった人達は自己主張が強い。
グーラー陛下やバランドル将軍等のNPCならば簡単に言い包める自信があるのだが、この七人は説得するのが本当に大変だ。
「皆頼む、ここは俺の作戦に賭けてくれないか。上手くいけば一瞬で古代ロウラン帝国の遺跡に到着できる」
いつになく強い調子で頼む俺に、七人の主人公キャラ達は顔を見合わせる。
やがてヘステリアが前に出て言った。
「今までマールさんには色々と助けられました。あなたがそれほどまで仰るのなら私もそれに賭けてみたいと思います」
「むう、ヘステリアさんがそう言うのなら……」
「分かった。我々もマールに従おう」
ヘステリアのその一言で場の空気が変わり、全員俺についてきてくれる事になった。
俺は彼女とのカリスマの差をまざまざと見せつけられて軽く嫉妬をする。
だがおかげで話がまとまった。
俺は皆を引き連れて深淵の洞窟へ向かった。
メンバーは俺とユフィーアと七人の原作主人公達、そしてアレス殿下やヘルメス、テーセウス達もヘステリアの護衛の名目でついてきた。
ちょっとしたレイド戦感覚だ。
洞窟内では魔道士サタナーキの得意とするダンジョン階層移動魔法マロンヌが役に立った。
俺はこの洞窟の地図は完ぺきに把握しているので、あっという間に最下層へ辿り着いた。
「皆さんこっちです」
俺は皆を誘導して 最下層の行き止まりまでやってきた。
「マール様、これ以上は進めません。どうするおつもりですか?」
「ああ、ここから更に地下へ潜るんだ。サタナーキ、またマロンヌを使って貰うよ」
「この下にも空間があるんですか? それで何階層下りればいいでしょうか」
「この位置から2400000階下がって欲しい」
「……は?」
サタナーキが絶句するのも無理はない。
マロンヌの魔法で一度に移動できる階層は使用者の魔力に左右される。
今の彼の魔力では60階層が限界だ。
60階層といっても通常のプレイならば充分であるのだが。
「マール様、2400000階層って……」
「そうだ、この星を突き抜けて反対側にあるロウラン帝国の遺跡に行くぞ。レイフィス王国で一番低い場所であるここからならぎりぎり届くはずだ」
当然サタナーキは反論する。
「マールさん、いくらなんでも無茶苦茶です。私の魔力ではとても星の裏側までは届きませんよ」
サタナーキひとりの力では無理だろうな。
だが原作の主人公クラスが七人とその仲間達も集まっているのだ。
できない事はない。
「カトレーヌさんは魔力を増強させる踊りのスキルがありましたね」
「ええ、私のマジカルダンスのスキルを使用すれば一時的に魔力を2倍にできます」
よし、これで60×2で120階層分移動できる。
「ユフィーア、それとヘルメスさん。対象ひとりの魔力を強化させる魔法があったよね」
「はい、マジカップの魔法ですね」
「それをサタナーキさんに掛けろというのですか?」
ゲームに於いて強化魔法やスキルの重ね掛けはバランス崩壊の原因となる事が多い。
その為、通常はパラメータの上昇値に限界を設けたり、重ね掛けができなかったりと様々な対処がされている。
ファンタシー・オブ・ザ・ウィンドの世界でも戦闘中は重ね掛けができないように制限をかけられているのだが、何故か戦闘中以外は他のキャラが使用した強化魔法やスキルならば重ね掛けができてしまうというバグがあるのだ。
デバッガーのチェックが甘いと言わざるを得ない。
「これで120×4の480階層下まで行けるな。グレイドさん、確か一時的に魔力を高めるマジックポーションがありましたよね」
「はい、うちの商会で取り扱っている人気商品です。こちらですね」
グレイドさんは自身の魔法の袋からマジックポーションを取り出す。
これをサタナーキ、ユフィーア、ヘルメスの三人に飲ませれば更に480×2×2×2で3840階層下まで飛べるようになる。
「そしてヘステリアさんは聖女の力で周囲の魔法やスキルの効果をアップする事ができましたよね」
「激励の歌ですね。短期間ですが魔法やスキルの効果を5倍にさせられます」
これによってサタナーキ、カトレーヌ、ユフィーア、ヘルメスの四人が強化され、3840×5×5×5×5……つまり2400000階層下に転移する事ができるはずだ。
「これは……本当にいけるかも!?」
「よし、やってみよう!」
一同は俺が紙に書いた計算式を何度も見返して計算に間違いがない事を確認すると、ようやくやる気になってくれた。
そうと決まれば実行あるのみだ。
各自が俺の指示通りに準備を進める。
特別なスキルや魔法を持っていないネネ、ジーク、コンワーク、アレス殿下、テーセウスの五人は、皆が準備をしている間に襲い掛かってくる魔物を食い止めるのが役割だ。
サタナーキ達が戦闘に巻き込まれたら重ね掛けした分が無効化されてしまうからね。
各々が持てる力を結集させれば必ずこの状況を打破できるはずだ。
そして準備が整い、サタナーキは満を持して呪文を詠唱する。
「それでは行きます、ダンジョン階層移動魔法マロンヌ、目的地は2400000階層下!」
もしヴェパルさんの前に魔界への扉を開く事ができる門番が現れたらどうなるだろうか。
ヴェパルさんの性格なら喜んで魔界へ行くだろう。
何せ魔王城の宝物庫には膨大な量の金銀財宝が眠っている。
そしてヴェパルさんの今のレベルなら生きて帰る事はできないだろう。
「マールさん、八人中七人がここにいるんですよ。余程運が悪くない限り彼女の所に扉が開く事はありませんよ」
商家の息子グレイドが気楽にそう答えるが、それは甘い考えと言わざるを得ない。
大体こういう時は一番嫌なパターンになるものだ。
ただでさえこのゲームの乱数は味方側に不利に働く事が多い。
こちらが命中率90%の攻撃をするとよく外れ、逆に敵の命中率10%の攻撃はバシバシ当たる。
あからさま過ぎて誰も本当の命中率を検証しようとしない程だ。
この星の裏側にある古代ロウラン帝国の遺跡までは直線距離で二万キロメートルはある。
港町フェルトから遺跡付近の港までこの世界最速の船ピンクパール号で向かっても半月はかかる。
それではとても間に合わない。
それまでにヴェパルさんに追いつく方法は……。
……バグ技を使えば行けるか?
「皆、俺に考えがある。今から深淵の洞窟へ行こう」
深淵の洞窟とはこのレイフィス王国で最も地下深くまで続いている洞窟である。
距離は王都からさほど離れていない。
内部には多くの魔物が生息しているが、宝箱の類は一切置かれていない。
レベル上げに専念したい時以外は誰も入らないダンジョンだ。
当然この世界の人間もこの洞窟の事は知っている。
「マール、あの洞窟の中は何もないぞ。それよりも早くヴェパルさんを追おう」
「マールさん、急いで港に向かいましょう。風魔法で追い風を作りながら船を走らせれば数日は短縮できます」
「そうだ、それなら間に合うかもしれない」
皆こぞって船での移動を主張するが、それではとても間に合わない。
少しでも可能性があれば、俺はバグに賭ける。
「では深淵の洞窟へ向かう組と、港へ向かう組と別れるというのはどうでしょう?」
魔道士のサタナーキと戦士コンワークは二手に分かれるよう提案するが、それではダメだ。
このバグを成功させるためには皆の力が必要だ。
それにしても原作で主人公ポジションだった人達は自己主張が強い。
グーラー陛下やバランドル将軍等のNPCならば簡単に言い包める自信があるのだが、この七人は説得するのが本当に大変だ。
「皆頼む、ここは俺の作戦に賭けてくれないか。上手くいけば一瞬で古代ロウラン帝国の遺跡に到着できる」
いつになく強い調子で頼む俺に、七人の主人公キャラ達は顔を見合わせる。
やがてヘステリアが前に出て言った。
「今までマールさんには色々と助けられました。あなたがそれほどまで仰るのなら私もそれに賭けてみたいと思います」
「むう、ヘステリアさんがそう言うのなら……」
「分かった。我々もマールに従おう」
ヘステリアのその一言で場の空気が変わり、全員俺についてきてくれる事になった。
俺は彼女とのカリスマの差をまざまざと見せつけられて軽く嫉妬をする。
だがおかげで話がまとまった。
俺は皆を引き連れて深淵の洞窟へ向かった。
メンバーは俺とユフィーアと七人の原作主人公達、そしてアレス殿下やヘルメス、テーセウス達もヘステリアの護衛の名目でついてきた。
ちょっとしたレイド戦感覚だ。
洞窟内では魔道士サタナーキの得意とするダンジョン階層移動魔法マロンヌが役に立った。
俺はこの洞窟の地図は完ぺきに把握しているので、あっという間に最下層へ辿り着いた。
「皆さんこっちです」
俺は皆を誘導して 最下層の行き止まりまでやってきた。
「マール様、これ以上は進めません。どうするおつもりですか?」
「ああ、ここから更に地下へ潜るんだ。サタナーキ、またマロンヌを使って貰うよ」
「この下にも空間があるんですか? それで何階層下りればいいでしょうか」
「この位置から2400000階下がって欲しい」
「……は?」
サタナーキが絶句するのも無理はない。
マロンヌの魔法で一度に移動できる階層は使用者の魔力に左右される。
今の彼の魔力では60階層が限界だ。
60階層といっても通常のプレイならば充分であるのだが。
「マール様、2400000階層って……」
「そうだ、この星を突き抜けて反対側にあるロウラン帝国の遺跡に行くぞ。レイフィス王国で一番低い場所であるここからならぎりぎり届くはずだ」
当然サタナーキは反論する。
「マールさん、いくらなんでも無茶苦茶です。私の魔力ではとても星の裏側までは届きませんよ」
サタナーキひとりの力では無理だろうな。
だが原作の主人公クラスが七人とその仲間達も集まっているのだ。
できない事はない。
「カトレーヌさんは魔力を増強させる踊りのスキルがありましたね」
「ええ、私のマジカルダンスのスキルを使用すれば一時的に魔力を2倍にできます」
よし、これで60×2で120階層分移動できる。
「ユフィーア、それとヘルメスさん。対象ひとりの魔力を強化させる魔法があったよね」
「はい、マジカップの魔法ですね」
「それをサタナーキさんに掛けろというのですか?」
ゲームに於いて強化魔法やスキルの重ね掛けはバランス崩壊の原因となる事が多い。
その為、通常はパラメータの上昇値に限界を設けたり、重ね掛けができなかったりと様々な対処がされている。
ファンタシー・オブ・ザ・ウィンドの世界でも戦闘中は重ね掛けができないように制限をかけられているのだが、何故か戦闘中以外は他のキャラが使用した強化魔法やスキルならば重ね掛けができてしまうというバグがあるのだ。
デバッガーのチェックが甘いと言わざるを得ない。
「これで120×4の480階層下まで行けるな。グレイドさん、確か一時的に魔力を高めるマジックポーションがありましたよね」
「はい、うちの商会で取り扱っている人気商品です。こちらですね」
グレイドさんは自身の魔法の袋からマジックポーションを取り出す。
これをサタナーキ、ユフィーア、ヘルメスの三人に飲ませれば更に480×2×2×2で3840階層下まで飛べるようになる。
「そしてヘステリアさんは聖女の力で周囲の魔法やスキルの効果をアップする事ができましたよね」
「激励の歌ですね。短期間ですが魔法やスキルの効果を5倍にさせられます」
これによってサタナーキ、カトレーヌ、ユフィーア、ヘルメスの四人が強化され、3840×5×5×5×5……つまり2400000階層下に転移する事ができるはずだ。
「これは……本当にいけるかも!?」
「よし、やってみよう!」
一同は俺が紙に書いた計算式を何度も見返して計算に間違いがない事を確認すると、ようやくやる気になってくれた。
そうと決まれば実行あるのみだ。
各自が俺の指示通りに準備を進める。
特別なスキルや魔法を持っていないネネ、ジーク、コンワーク、アレス殿下、テーセウスの五人は、皆が準備をしている間に襲い掛かってくる魔物を食い止めるのが役割だ。
サタナーキ達が戦闘に巻き込まれたら重ね掛けした分が無効化されてしまうからね。
各々が持てる力を結集させれば必ずこの状況を打破できるはずだ。
そして準備が整い、サタナーキは満を持して呪文を詠唱する。
「それでは行きます、ダンジョン階層移動魔法マロンヌ、目的地は2400000階層下!」
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