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第41話 宝物庫はいっぱい
しおりを挟む「僕のターン! ダークデビルを墓地に捨ててグレーターファントムを召喚! 続けてプレイヤーにダイレクトアタックだ!」
「ぐああああああああ!! やられた!」
「更に魔法カードオープン! 追加攻撃が発動!」
「もうやめて! バルガス君の体力はゼロよ!」
「オーバーキルはマナー違反だぞ!」
今魔界学校では空前のカードゲームブームが到来している。
キーラ追い落とし作戦の成功を確認して魔界に戻った私は、ポメラーニさん達に頼み込んでイザベリア聖王国から色々な娯楽品を魔界に送って貰った。
学校での道徳の授業もそろそろ教える事ががなくなってしまうので、私には再び暇つぶしが必要になったからだ。
もちろん代金として魔石等の魔界で採れる貴重な鉱物を惜しみなく支払う。
魔王城までの道中に魔獣に襲われないようにアザトースさん配下の猛者を護衛に付けているのでポメラーニさん達に危害が及ぶ事もない。
至れり尽くせりの好条件にポメラーニさんは喜んで引き受けてくれた。
今後はゲルダ侯爵領とゾーランド領と魔界の三か所を拠点として行商を続けるそうだ。
そして今回ポメラーニさんに持ってきて貰った娯楽品の中に混じっていたのが今イザベリア聖王国で大人気のカードゲーム、マゾック&ウィザードだ。
私はカードゲームの事はよく分からないけど、戦略的な要素がふんだんに盛り込まれたこのゲームは元々戦いを好む魔族達にすんなりと受け入れられ、子供達だけでなく大人の魔族の間でも熱中者が後を絶たないらしい。
魔界学校の生徒達は私にもマゾック&ウィザードの対戦を持ち掛けてくるが、私はカードゲームは得意ではないのでいつも断っていた。
今日も授業を終えた私は逃げるように魔王城に帰ってきた。
丁度その時魔王城の門の前にポメラーニさんの行商隊が来ているのが見えた。
「こんにちはポメラーニさん」
「これはシェリナ様。学校帰りですか? お疲れ様です」
「ポメラーニさんもお変わりないようで何よりです」
「私達は相変わらずですが、王国内ではあれから色々ありましてね……」
ポメラーニさんは世間話がてらイザベリア聖王国の現況を教えてくれた。
「エイリーク殿下の後ろ盾が無くなったキーラはあれから聖女代理の役を解かれて実家に戻って引き籠っているらしいですよ。ゾーランド公爵も既にキーラに見切りをつけて、エイリーク殿下とティファニスさんの縁談を推し進めているそうです」
「完全にティファニスさんとキーラの立場が逆転しましたね。でもけしかけた私が言うのもなんですが、本当にティファニスさんはエイリーク殿下が相手でいいんでしょうかね?」
「噂ではエイリーク殿下は既にティファニスさんの尻に敷かれてるそうですよ」
当人達がそれで満足なら今更私がどうこういう事もないか。
「それでシェリナ様、今日お持ちした品はこちらです」
ポメラーニさん達は荷馬車に限界まで積まれた荷物を下ろしていく。
相変わらずすごい量だ。
とりあえず魔王城の宝物庫の中に仕舞っておくけど、そろそろ宝物庫内が溢れそうだ。
「ポメラーニさん、いつも悪いんですけど、こんなに品物を持ってきていただいてももう置く場所が……」
「いえ、頂いている報酬と比べればこれでも少ないくらいです」
これも全てアザトースさんが相場も考えずに高価な魔石をポメラーニさんに前払いで受け渡してしまったせいだ。
「それに品物が余っているのなら、魔界の住人に販売してみたらどうですか?」
「魔界でお店を開けって事ですか?」
学校の先生としての役割が終われば私は再び暇になる。
悪くない提案だと思った。
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