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第二話

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 やっぱりあたしは幽霊になってしまったんだろうか…
 ショックはショックなんだけど、全然現実味がないな。なんだか夢の中にいるみたいにふわふわした感じがするし、周りの物とか風景とかが、なんていうんだろう、ピントが微妙に合っていないような、つまり夢の中みたいな感じ?
 まぁ家具とかにも触れないし、触れないのは夢の中だからだよって言われたら納得しちゃうような感じなんだよね。

 夢かもしれない。幽霊になった夢。

 今頃、病院に運ばれて意識不明とかになっているのかも。
 うん、その方が可能性は高いよね。
てことは、ここから出たら目が覚めるかもしれない。
 部屋の中を歩いてみると、ドアが2つある。1つは普通のドア。もう一つは両開きのドアだ。
 普通に考えたら、両開きのドアが出入口だよね。
 あたしはドアのノブに手をかけ……られない。うん、そうだよね。わかってたよ………。
 ドアに触ると手が突き抜ける。
 なんか怖いけど、あたしはそのままドアのに進んだ。




 そこは普通の廊下だった。
 いや、あたしの普通とは違う。なんていうか、美術館とかテレビとかでみる超お高いホテルとかみたいな廊下だよ。
 ピカピカの床に高い天井、大きな窓からは柔らかな光が入ってくる。柱は石なのかな?すっごい高そう。窓の外は手入れされた庭木が見える。
 ああっ!一度でいいから、こんなホテル泊まってみたーい!
 他の部屋とかあるのかな。
 あたしは適当に廊下を歩き出した。

 少し歩くと廊下の先から人の話し声がする。誰かがこっちに歩いてくるみたい。
 えっ、どうしよう!隠れた方がいいのかな?それともあえて話しかけてみる?

 ちょっと考えてとりあえず柱の影に隠れてみた。たぶん不法侵入だしね。まあ、見つかったら見つかった時に考えよう。

 おう!メイドさんだ。
 紺色のワンピースに白いエプロンのメイドさんが2人。ここの制服なのかな、長めのスカートは上品だね。アキバのメイドさんも否定しないけどね。
 幸いに?残念ながら?メイドさんたちはあたしに気がつかないで行ってしまった。
 うーん、やっぱり話しかけちゃった方がいいかな?






 予想はしてました。
 廊下で掃除をしていたメイドさんにドキドキしながら近づいて話しかけたけど、無視されました。
 聞こえないのかなーって、結構大きな声で何度も話しかけたのに……
 そうだよねー鏡に映らないってことは、見えない可能性が高いよね。

 まぁいい。見えないなら安心だ。
 誰にも見えないのをいいことにウロウロ見て回る。
 まるでここはお城みたいだ。シン●レラとか美●と野獣の実写版みたいな感じ。
 メイドさんだけじゃなくて、甲冑とかきた人とか、ドレスきた人とか。きらびやかだなーってよそ見していたら、ベルばらみたいな騎士っぽい格好の人とぶつかった。いや、ぶつかったっていうのはちょっと違うかも。

「うわあっっぁ!!!」
「どうした!」
「い、いや……なんかすごい悪寒がして…こう、背中に氷引っ付けられたみたいな……」
「おい、昼間っから変なこと言うなよ。」

 どうやらあたしの体が通り抜けるのは感覚でわかるみたい。
 気をつけないとね。
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