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第3章 人族時代

第46話  ドン引きはやめてね

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「それでようやく、オレとシルヴィアが出会うわけだがー・・・」


オレはここまでの話を淡々と語った、つもりだ。
グレンとミレイアは、最初のうちは相づち打ったり、頷いたりリアクションしてたんだが。
今お兄ちゃんの方は目を見開いて口を半開きに、妹の方はうつ向いて前髪で表情が隠れている。
まるで凍りづけにでもされたように、身じろぎ一つしていない。


作業小屋の中はすんごい空気になってる。
やっぱり肥溜め?
肥溜めのくだりが下品だった?
伏せてもよかったけどさ、事実だからついペラペラ喋っちまったよ。


「なんなの、その壮絶体験は。よく生き残れたよねぇ、アルフさんはほんとに人間なの?」


グレン、気持ちはわかるけどその言い方やめて。
魔王さん泣いちゃうからね?


ミレイアがそれに続けた。


「私は、私は許せません!今すぐニンゲン共を根絶やしにしましょう!」


いや、そのくくりで言うとここにいる3人も死ななきゃいけないからね?


私はァー

魔王様をブジョクするゥー

愚かなニンゲンをォー


いや真似しないで、マジで。
あれはあの時に咄嗟に出たヤツだから、普段使いはしないから。


「いやぁ、僕ら兄妹も結構な体験してるけど・・・アルフさんのは本当にすごいよね。」
「いざその環境に身を置くと、意外となんとかなるぞ?もう二度とゴメンだがな。」
「一度だってみんな嫌がるよ。」


グレンは驚き半分、呆れ半分といったところだ。
まぁ今思い出しても、よく死ななかったなとは思う。
やっぱり果実を見つけたのが大きかったか?
あれが無けりゃ、衰弱死あたりか。


少しだけ当時を振り返っていたら、ミレイアが座ってた椅子からオレに飛び付いてきた。
あぶなっ。


「魔王様、私はあなたの永遠の味方です!」
「お、おう。」
「いつだって側に、いつだって誰よりも大切にします!」
「そ、そっかぁ。」
「お腹が空いたら私のご飯をあげます!毎日あげます!」
「うんうん、今はちゃんと食べられてるから。」
「魔王ざまが、大変などぎに、わだじはぁ!わだじわぁぁあ!」


あ、ヤバイ。
なんか収拾がつかなくなってる?
グレン、なんとかしろ!
オレは頼れる兄様に目線を送った。


「それで、もうすぐシルヴィちゃんと会うんだよね?」


ナイス自然な話題!
いつもながら流石すぎる!
オレが女なら惚れてるかもしんないぞ?


「それで、宿を出たあたりからだな。」


オレは泣きながらしがみつくミレイアを引き剥がして、椅子に座らせた。
オレが話をしはじめると、口を閉じて聞く姿勢に入ってくれた。


ここからは、シルヴィアと初めて顔を会わせたときの話になる。
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