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第六章 ~怠惰~
6-3.痕跡
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移動した先の場所も、同じような惨状だった。寝転がる住民を避けながら、手がかりを探す三人。
「おやぁ……ゴーダンさん……今日も見回りぃ? 毎日毎日大変ねぇ……」
ふと、住民の一人が顔を上げる。
「こんにちは。えぇ、こういうのは最初の内に習慣づけ……」
ゴーダンは言葉を返したが、住民はそれを聞き終えることなく、地面に伏せてしまった。直後に聞こえてくる息吹。
「聞いておいて、聞かずに爆睡?」サフィアがそう口にする。
「気だるさに逆らって動いたり話そうとしたりすると、とてつもない睡魔が襲ってくるらしい」
ただの世間話、それも相手の返事を待たずに眠ってしまう。本人の力では、どうにもならないのだろう。
更に少し離れた場所で、ドサッという音が聞こえた。甲冑かと思って近づいていくと、老人のいびきが聞こえてきた。
仰向けに寝転がった老人の手には、水の入った容器が握られていて、中身は地面にこぼれている。
老人は無気力な自分に鞭を打ち、やる気を出して水分を取ろうとした。だが、そのせいで睡魔に襲われ、眠ってしまったのだ。
「しっかりしてください!!」
呪いでも人は死ぬ。ロイクの言葉を思い出した修は、老人へと近づき、体を揺すった。
寝息が聞こえ少しだけ安心した修は、老人を邪魔にならない場所に移動させた。
「水分補給すらもできず眠らされる……その先に待っているのは永遠の眠りか」
そう言いながら、ゴーダンが辺りを見回す。これでは死にかけているのと変わらないと、彼女は痛感した。
「……嫌な呪いだ。本当に」
拳を握るゴーダンを見て、サフィアが声をかける。
「ゴーダンさん?」
「すぐに見つけないとね。それと、私のことはゴーダンでいいよ」
そう返して調査を再開しようとしたところ、不意に犬が吠えた。牙を見せ、喉を鳴らしている。
「あぁ、甲冑に見えているのか」
吠えられたゴーダンが、自分の手甲に目をやる。犬は更に数回吠えると、すぐに身を伏せ眠ってしまった。
「動物も呪われるの?」
一連の動きが、呪われた人間とほぼ同じだと気付いたサフィア。
「感情があるなら、呪われるんじゃないかな?」言いながら犬に近づき、撫でるゴーダン。
修は犬や猫を見てきたことはあったが、呪われているかまではわからなかった。大好きな犬に会う機会はほぼなかったし、人間であるメオルブを探すのに手一杯だったからだ。
「さて再開、といきたいけど……闇雲に探すのも効率が悪い。万遍なく探そうとすれば、細かいものを見落とす」
修はしばらく考える。ゴーダンが何を言いたいのか。
「人から聞き、どこを探すのかも大切だが、何を探すかも大事だ。人以外の、メオルブに繋がる何かをね」
「何を探すか……」
今まで意識していなかった部分を言われ、復唱する修。
「今の状況や見たこと、ありとあらゆることを照らし合わせ、考える。情報というものは、人から聞くものだけが全てじゃない」
ゴーダンが往来に目を移したのを見て、修も辺りに目をやる。
住民は寝ていて、食事や排泄もままならない状態。メオルブは呪いの影響を受けない。だが、メオルブは人間……
「そうか」
修が気付いた瞬間、近くの民家の窓を突き破り、青の甲冑が出てきた。
「また人の家から!」
サフィアがエルフィを放つが、やはり気にせず、真っ先に修へと斬りかかる。修が棒で剣を受け止めると、ゴーダンも同様に、遠くから駆けてきた赤い方の一撃を止めた。
「このっ……」
反撃しようとした瞬間、つま先に何かが当たる。眠っている住民だった。修は慌てて飛び退き、棒を伸ばす。棒を腹部に受けた甲冑は、そのまま押し飛ばされ、少し離れた民家の壁に激突した。
「ゴーダン!」
修に呼ばれ屈むゴーダン。それを確認した修は、伸ばしたままの棒を薙ぎ払い、赤の甲冑を吹き飛ばした。
棒を縮め、人が寝ていない方へ駆け出す修。ゴーダンとサフィアもそれを追う。
「壊せば少しは足止めになるけど?」
「こっちの方が疲労は少ない」
改めて甲冑の硬さを実感する修。棒だけで壊し切るのは難しい。だったら遠くにふっ飛ばせば良いというのが、修の考えだった。
「あんまり変わらないと思う」
追ってくる足音を聞きながら、ゴーダンはそう言った。
二体の甲冑はそこまで早くないらしく、追いかける足音はどんどん遠くなっていった。
「そうかって言ってたけど、何か思いついた?」
甲冑達から逃げ切ったところで、ゴーダンが切り出す。
「生活の痕跡を探す。住人はロクに食事も取らずに眠っている。メオルブも町に居座り、呪いを広める必要がある以上、ここにとどまって飯を食い、どこかで眠る必要があるはずだ」
呪いは確かに凶悪だが、ずっとそこにとどまらなければ効果を発揮しないという欠点があった。これまでのメオルブが外部の人間でなかったのも、それが理由だ。
「だから、普通に過ごしていることこそが証拠になる?」
サフィアの声に、修がうなずく。会話で人を欺けても、生活の痕跡まで消すのは難しい。
「呪いにかかったふりをしてようが、近くに食べ終わった皿があれば、そいつが犯人ってわけか。気付かなかったな」
修にそれを気付かせるきっかけを与えた本人は、そこまで考えは及んでいなかった。あくまで、先輩から教わった人探しの基本を伝授しただけ。
「人の家に入るのは少し嫌だが、そうも言ってられない。中に入って、痕跡を探す」
「もし何か盗んだら、君らを捕まえていい?」
「メオルブを倒した後なら」
もうそんな権限などないゴーダンだったが、修の答えを聞いて満足した。
向かったのは、入り口近くの往来。最初にロイクと出会った場所だ。
「三手に別れて家を探ろう。大きい物音を聞いた時、甲冑に出会ったらすぐに外へ出るんだ。いいね? サフィアちゃん」
「わかってるっ」
子供扱いが嫌だったサフィアは、不満を返事にのせた。
最後に「離れすぎないように」とゴーダンが念を押し、修達は家の中を探し始めた。
家に入った修の胸に、予想通りという言葉が浮かぶ。数日程度とは言え、手入れもせず、人の入りもなければ多少の埃は積もる。
「目の付け所も、悪くない」
埃のついた本を棚に戻すゴーダンと鼻を摘むサフィア。
「汚い部屋……」
それぞれの感想を漏らしながら、サフィアとゴーダンも調査を始める。
「もう休もう。夜に襲われたらひとたまりもない」
空が暗くなり始めた頃、ゴーダンはそう言った。彼女が心配したのは修達ではなく……寝ている住人。視界の悪い中で戦えば、住人にも被害が及ぶ。
「そう……だな」
ゴーダンの考えをなんとなく察する修。甲冑に襲われた時、実際に踏みそうになってしまったためだ。
調査の方は甲冑の邪魔こそ入らなかったが、生活の痕跡は見つからなかった。
「明日。もう一度しっかり探そう」
修の返事に元気がなかったのを見て、サフィアが励ます。
宿屋に案内された修達は、見張りを買って出たゴーダンを見送り、眠ることにした。
「おやぁ……ゴーダンさん……今日も見回りぃ? 毎日毎日大変ねぇ……」
ふと、住民の一人が顔を上げる。
「こんにちは。えぇ、こういうのは最初の内に習慣づけ……」
ゴーダンは言葉を返したが、住民はそれを聞き終えることなく、地面に伏せてしまった。直後に聞こえてくる息吹。
「聞いておいて、聞かずに爆睡?」サフィアがそう口にする。
「気だるさに逆らって動いたり話そうとしたりすると、とてつもない睡魔が襲ってくるらしい」
ただの世間話、それも相手の返事を待たずに眠ってしまう。本人の力では、どうにもならないのだろう。
更に少し離れた場所で、ドサッという音が聞こえた。甲冑かと思って近づいていくと、老人のいびきが聞こえてきた。
仰向けに寝転がった老人の手には、水の入った容器が握られていて、中身は地面にこぼれている。
老人は無気力な自分に鞭を打ち、やる気を出して水分を取ろうとした。だが、そのせいで睡魔に襲われ、眠ってしまったのだ。
「しっかりしてください!!」
呪いでも人は死ぬ。ロイクの言葉を思い出した修は、老人へと近づき、体を揺すった。
寝息が聞こえ少しだけ安心した修は、老人を邪魔にならない場所に移動させた。
「水分補給すらもできず眠らされる……その先に待っているのは永遠の眠りか」
そう言いながら、ゴーダンが辺りを見回す。これでは死にかけているのと変わらないと、彼女は痛感した。
「……嫌な呪いだ。本当に」
拳を握るゴーダンを見て、サフィアが声をかける。
「ゴーダンさん?」
「すぐに見つけないとね。それと、私のことはゴーダンでいいよ」
そう返して調査を再開しようとしたところ、不意に犬が吠えた。牙を見せ、喉を鳴らしている。
「あぁ、甲冑に見えているのか」
吠えられたゴーダンが、自分の手甲に目をやる。犬は更に数回吠えると、すぐに身を伏せ眠ってしまった。
「動物も呪われるの?」
一連の動きが、呪われた人間とほぼ同じだと気付いたサフィア。
「感情があるなら、呪われるんじゃないかな?」言いながら犬に近づき、撫でるゴーダン。
修は犬や猫を見てきたことはあったが、呪われているかまではわからなかった。大好きな犬に会う機会はほぼなかったし、人間であるメオルブを探すのに手一杯だったからだ。
「さて再開、といきたいけど……闇雲に探すのも効率が悪い。万遍なく探そうとすれば、細かいものを見落とす」
修はしばらく考える。ゴーダンが何を言いたいのか。
「人から聞き、どこを探すのかも大切だが、何を探すかも大事だ。人以外の、メオルブに繋がる何かをね」
「何を探すか……」
今まで意識していなかった部分を言われ、復唱する修。
「今の状況や見たこと、ありとあらゆることを照らし合わせ、考える。情報というものは、人から聞くものだけが全てじゃない」
ゴーダンが往来に目を移したのを見て、修も辺りに目をやる。
住民は寝ていて、食事や排泄もままならない状態。メオルブは呪いの影響を受けない。だが、メオルブは人間……
「そうか」
修が気付いた瞬間、近くの民家の窓を突き破り、青の甲冑が出てきた。
「また人の家から!」
サフィアがエルフィを放つが、やはり気にせず、真っ先に修へと斬りかかる。修が棒で剣を受け止めると、ゴーダンも同様に、遠くから駆けてきた赤い方の一撃を止めた。
「このっ……」
反撃しようとした瞬間、つま先に何かが当たる。眠っている住民だった。修は慌てて飛び退き、棒を伸ばす。棒を腹部に受けた甲冑は、そのまま押し飛ばされ、少し離れた民家の壁に激突した。
「ゴーダン!」
修に呼ばれ屈むゴーダン。それを確認した修は、伸ばしたままの棒を薙ぎ払い、赤の甲冑を吹き飛ばした。
棒を縮め、人が寝ていない方へ駆け出す修。ゴーダンとサフィアもそれを追う。
「壊せば少しは足止めになるけど?」
「こっちの方が疲労は少ない」
改めて甲冑の硬さを実感する修。棒だけで壊し切るのは難しい。だったら遠くにふっ飛ばせば良いというのが、修の考えだった。
「あんまり変わらないと思う」
追ってくる足音を聞きながら、ゴーダンはそう言った。
二体の甲冑はそこまで早くないらしく、追いかける足音はどんどん遠くなっていった。
「そうかって言ってたけど、何か思いついた?」
甲冑達から逃げ切ったところで、ゴーダンが切り出す。
「生活の痕跡を探す。住人はロクに食事も取らずに眠っている。メオルブも町に居座り、呪いを広める必要がある以上、ここにとどまって飯を食い、どこかで眠る必要があるはずだ」
呪いは確かに凶悪だが、ずっとそこにとどまらなければ効果を発揮しないという欠点があった。これまでのメオルブが外部の人間でなかったのも、それが理由だ。
「だから、普通に過ごしていることこそが証拠になる?」
サフィアの声に、修がうなずく。会話で人を欺けても、生活の痕跡まで消すのは難しい。
「呪いにかかったふりをしてようが、近くに食べ終わった皿があれば、そいつが犯人ってわけか。気付かなかったな」
修にそれを気付かせるきっかけを与えた本人は、そこまで考えは及んでいなかった。あくまで、先輩から教わった人探しの基本を伝授しただけ。
「人の家に入るのは少し嫌だが、そうも言ってられない。中に入って、痕跡を探す」
「もし何か盗んだら、君らを捕まえていい?」
「メオルブを倒した後なら」
もうそんな権限などないゴーダンだったが、修の答えを聞いて満足した。
向かったのは、入り口近くの往来。最初にロイクと出会った場所だ。
「三手に別れて家を探ろう。大きい物音を聞いた時、甲冑に出会ったらすぐに外へ出るんだ。いいね? サフィアちゃん」
「わかってるっ」
子供扱いが嫌だったサフィアは、不満を返事にのせた。
最後に「離れすぎないように」とゴーダンが念を押し、修達は家の中を探し始めた。
家に入った修の胸に、予想通りという言葉が浮かぶ。数日程度とは言え、手入れもせず、人の入りもなければ多少の埃は積もる。
「目の付け所も、悪くない」
埃のついた本を棚に戻すゴーダンと鼻を摘むサフィア。
「汚い部屋……」
それぞれの感想を漏らしながら、サフィアとゴーダンも調査を始める。
「もう休もう。夜に襲われたらひとたまりもない」
空が暗くなり始めた頃、ゴーダンはそう言った。彼女が心配したのは修達ではなく……寝ている住人。視界の悪い中で戦えば、住人にも被害が及ぶ。
「そう……だな」
ゴーダンの考えをなんとなく察する修。甲冑に襲われた時、実際に踏みそうになってしまったためだ。
調査の方は甲冑の邪魔こそ入らなかったが、生活の痕跡は見つからなかった。
「明日。もう一度しっかり探そう」
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