スラム児に転生した俺は、毒と鎖で成り上がる！

ゴブリンオーガ

さぁて、そろそろ着くな。
まずは体に魔力を纏って隠蔽、念の為に魔力と同程度のサタンボルトを纏う。この程度なら負担にはならん。

「殺せるなら殺す。殺せないなら逃げる。ま、麻痺毒が効いたら殺すけどなぁ」

クックックと笑いながら、森を飛んで進む。

◇◆◇

居た。
緑色の肌に、デカイ図体、手にはデカイ大剣を持ってる。あの大剣は結構良さそうだ。こちとらスラム民だからな、価値があるものには敏感なのだよ。
顔はゴブリンよりもマシ、って感じか。どっちにしろきめぇ。

そーいや、あいつ魔物図鑑に載ってたな。ギルドに置いてあった。
名称は確か……ゴブリンオーガ。ランクCモンスター。
オーガなのかゴブリンなのかはっきりして欲しいが、厄介なモンスターだ。
ゴブリンと同程度の繁殖能力を持ち、オーガの微妙な知性と凄まじい筋力を持つ。
ただし、図体がデカイ為、繁殖用の雌は限られてくる。人種の雌だと繁殖能力が壊れて出来ねぇらしい。微妙な下ネタ。
出来るのは高い耐久性を持つアマゾネスの雌や、最低でもランクBの実力以上の冒険者か騎士の雌。それなら壊れないらしい。
そしてこいつのウザい点が、ゴブリンを眷属化出来る事だ。
数で雌捕まえて、繁殖に使う。
ま、纏めると女の敵。見つかり次第討伐対象の魔物だ。

周りにはゴブリンが何体か。あのデカイが強すぎて魔力探知に引っかからなかったか。
要練習だな。

毒耐性はほぼゼロ。そりゃそうだ、ゴブリンもオーガも持ってないしな。蜘蛛型魔物なら持ってる可能性があるが、それでも毒無効じゃ無い。

ふむ……よく考えても勝てる野郎だ。
魔力強化してと。鎖を出して、纏毒しーの、オッケー。
行きますか。

「やーやー、糞畜生共。とりあえず麻痺れ」

我ながら酷いと思うが、こちとら正面戦闘なんて糞食らえって言う心情なんでね。
まあ、周りに人いたら困るし麻痺毒でいいか。
サタンボルトは体力使いまくるから駄目、じゃあこれで。

「上級麻痺毒・ポイズンボルト」

周りに黄色い煙のようなものが漂い始め、周囲一帯の生物を麻痺させる。
俺の手に収束する事もできるが、面倒だからやらん。意味無いし。

魔物共は動く事も声も出せずに麻痺し、地面に倒れる。
ぶっちゃけ毒無しで戦っても勝てる。しないが。毒封じとかきたらやるけども。

「死ね」

ブスリと貫通特化の鎖で心臓を貫く。
はい死亡。

「本当に《夜刀神》ってチートだよな。頼らない戦い方も練習しなきゃいけねぇなぁ」

にしても、これどうやって持って帰ろう。
うーむ……あ。これで良いじゃん。
スキル一つバレるが、ぶっちゃけすぐバレると思うので良し。

鎖でこいつを囲み、持ち上げる。鎖の力舐めんなよ。
ゴブリンの耳はポーチに入れて置く。

帰りましょーか。もうやる事ねぇし。原因も排除したからな。
あ、毒消去。解析されたら堪ったもんじゃない。

鎖でゴブリンオーガを持ち上げながら、俺は街へと歩き始めた。