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犯行ケース1
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「はーい、今開けるよ」
眠気の覚めた男は、数えていた数枚の札を財布へ捻じ込むと、バスローブ姿のまま弾む足取りで勢いよく部屋のドアを開けた。
「こんばんはぁ。初めまして……だよね? 俺、よっぽどじゃないとお客さんの顔って覚えられないんだよね。でも、君みたいなイケメンだったら絶対覚えている自信はある。ま、入って入って。ここ綺麗なホテルだろ? いつもはラブホとかレンタルルームだけどね。あ、支払いはもう終わってるから安心して。シャワー行く? それとも──」
早口で囀る口を唇で塞がれ、男は濃厚に纏わり付く客の舌で口腔内を触手のように弄られる。
脳天が痺れるような感覚に襲われ、男は立ってることさえままならなくなった。
「……お客さん、キス上手いね……。俺あんまり好きじゃないんだけど、あんたとならずっと出来そうだ。超、気持ちい──」
再び言葉を遮られ、男の体は引きずられるようにベッドまで辿り着くと、トンっと押し倒されてシーツに沈んだ。
「あんたはどうすんのが好き? 俺、Mだから酷くされると感じるんだ。特に首絞めが好きだけど、慣れてないと出来ないよな」
倒されていた体を起こすと、男は羽織っていたバスローブをこれ見よがしにゆっくりと肌に滑らせ、一人でペラペラと話し続けている。
「けど、お客さんも変わったオーダーするよね。髪は短めの茶系がいいって。まあ、それがタイプなら仕方ないけどさ。で、極め付けが首絞めが好きな男って。そんなやつあんまいないよ、だから俺は貴重な存在。どうかご贔屓にね」
男が片目を瞬かせ、煽るような言葉を口にすると、客がこめかみをひくつかせている。
客が再び男の体を押し倒すと、前戯もせず男の上に馬乗りになった。
男はその強引さが気に入ったのか、にっこりと笑いながら自分の上にいる客を見上げた。
男の頬を客の大きな手が這うと、耳朶を弄られ、乳首をギュッと摘まれる。その痛みが快感を引き出し、男は応えるようにオスの頭を持ち上げた。
縋るように客の首へと両手を巻き付けようとした時、その手は払い除けられ、反対にリーチの長い腕が男の首元まで伸びてきた。
「うぅ。んく……、い……い。そのまま……挿れて……欲し……」
細い首に十本の長い指が巻かれ、徐々に力が込められていくのを感じると、男が恍惚とした笑みを浮かべた。
客がわざとズボンのファスナーをゆっくりと下げると、男の持つ快楽全てを吸い上げるよう、唇を深く重ねてくる。
口淫を続けながら潤滑剤も使用せず、剥き出しになった客のオスが男の狭い入り口を押し入ってこようとしていた。
絡み合う二つの体が結合すると、仄暗い部屋の壁にサイドテーブルの明かりで出来た重なる二人の影が激しく揺れた。
抽挿を繰り返す度、影が揺れ、動きに合わせて男の喜悦だけが部屋に響く。
頸動脈を指の腹で弄ぶ客が、そこに何かを見つけたのか、さっきよりも指に力が込められていく。
比例するように男の脈拍が徐々に下降し、脳の酸素が薄くなると意識が混濁しだした。
喉首を絞められて得た快楽へと導かれ、感情が沸点に達すると、男は掠れた声で「キモチ……イイ……」小さく呟いた。
快楽と死の狭間にある行為に溺れ、男の顔は歪み、蕩けていく。
湧き出る汗と、瞼の裏から溢れ出る涕涙で顔は濡れそぼり、頭の中を真っ白にさせると男は快感の根幹に浸っていた。
薄っぺらい男の体に跨ったままの客が、マットレスのコイルを軋ませているが、その顔に悦楽はない。
気道を狭められた男の体は、陸に打ち上げられた魚のように跳ね上がり、酸素を失って両足を激しくバタつかせている。
首に巻きつく客の手を振り払おうと、もがいてもびくともしない。そしてか細い音で微かに呻くと、男はシーツの上で静かに果ててしまった。
動かなくなったのを確認するよう、客が男の頬を数回叩く。
ピクリともしないことがわかると、ポケットから縄を取り出し、細い首に巻きだした。
男の腰を掴んで再び抽挿を始め、暫くして客はぶるりと身震いし、濡れ光った陰茎がずるりと姿を表すと、脈打つように男の腹の上に白濁を撒き散らした。
放出し切ると、客はベッドを軋ませながら立ち上がり、スボンの乱れだけと整えた。
ドアへ向かう途中、踵を返し、裸のまま白目を剥く男の顔をゆっくりと見下ろしてから部屋を出て行った。
眠気の覚めた男は、数えていた数枚の札を財布へ捻じ込むと、バスローブ姿のまま弾む足取りで勢いよく部屋のドアを開けた。
「こんばんはぁ。初めまして……だよね? 俺、よっぽどじゃないとお客さんの顔って覚えられないんだよね。でも、君みたいなイケメンだったら絶対覚えている自信はある。ま、入って入って。ここ綺麗なホテルだろ? いつもはラブホとかレンタルルームだけどね。あ、支払いはもう終わってるから安心して。シャワー行く? それとも──」
早口で囀る口を唇で塞がれ、男は濃厚に纏わり付く客の舌で口腔内を触手のように弄られる。
脳天が痺れるような感覚に襲われ、男は立ってることさえままならなくなった。
「……お客さん、キス上手いね……。俺あんまり好きじゃないんだけど、あんたとならずっと出来そうだ。超、気持ちい──」
再び言葉を遮られ、男の体は引きずられるようにベッドまで辿り着くと、トンっと押し倒されてシーツに沈んだ。
「あんたはどうすんのが好き? 俺、Mだから酷くされると感じるんだ。特に首絞めが好きだけど、慣れてないと出来ないよな」
倒されていた体を起こすと、男は羽織っていたバスローブをこれ見よがしにゆっくりと肌に滑らせ、一人でペラペラと話し続けている。
「けど、お客さんも変わったオーダーするよね。髪は短めの茶系がいいって。まあ、それがタイプなら仕方ないけどさ。で、極め付けが首絞めが好きな男って。そんなやつあんまいないよ、だから俺は貴重な存在。どうかご贔屓にね」
男が片目を瞬かせ、煽るような言葉を口にすると、客がこめかみをひくつかせている。
客が再び男の体を押し倒すと、前戯もせず男の上に馬乗りになった。
男はその強引さが気に入ったのか、にっこりと笑いながら自分の上にいる客を見上げた。
男の頬を客の大きな手が這うと、耳朶を弄られ、乳首をギュッと摘まれる。その痛みが快感を引き出し、男は応えるようにオスの頭を持ち上げた。
縋るように客の首へと両手を巻き付けようとした時、その手は払い除けられ、反対にリーチの長い腕が男の首元まで伸びてきた。
「うぅ。んく……、い……い。そのまま……挿れて……欲し……」
細い首に十本の長い指が巻かれ、徐々に力が込められていくのを感じると、男が恍惚とした笑みを浮かべた。
客がわざとズボンのファスナーをゆっくりと下げると、男の持つ快楽全てを吸い上げるよう、唇を深く重ねてくる。
口淫を続けながら潤滑剤も使用せず、剥き出しになった客のオスが男の狭い入り口を押し入ってこようとしていた。
絡み合う二つの体が結合すると、仄暗い部屋の壁にサイドテーブルの明かりで出来た重なる二人の影が激しく揺れた。
抽挿を繰り返す度、影が揺れ、動きに合わせて男の喜悦だけが部屋に響く。
頸動脈を指の腹で弄ぶ客が、そこに何かを見つけたのか、さっきよりも指に力が込められていく。
比例するように男の脈拍が徐々に下降し、脳の酸素が薄くなると意識が混濁しだした。
喉首を絞められて得た快楽へと導かれ、感情が沸点に達すると、男は掠れた声で「キモチ……イイ……」小さく呟いた。
快楽と死の狭間にある行為に溺れ、男の顔は歪み、蕩けていく。
湧き出る汗と、瞼の裏から溢れ出る涕涙で顔は濡れそぼり、頭の中を真っ白にさせると男は快感の根幹に浸っていた。
薄っぺらい男の体に跨ったままの客が、マットレスのコイルを軋ませているが、その顔に悦楽はない。
気道を狭められた男の体は、陸に打ち上げられた魚のように跳ね上がり、酸素を失って両足を激しくバタつかせている。
首に巻きつく客の手を振り払おうと、もがいてもびくともしない。そしてか細い音で微かに呻くと、男はシーツの上で静かに果ててしまった。
動かなくなったのを確認するよう、客が男の頬を数回叩く。
ピクリともしないことがわかると、ポケットから縄を取り出し、細い首に巻きだした。
男の腰を掴んで再び抽挿を始め、暫くして客はぶるりと身震いし、濡れ光った陰茎がずるりと姿を表すと、脈打つように男の腹の上に白濁を撒き散らした。
放出し切ると、客はベッドを軋ませながら立ち上がり、スボンの乱れだけと整えた。
ドアへ向かう途中、踵を返し、裸のまま白目を剥く男の顔をゆっくりと見下ろしてから部屋を出て行った。
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