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6話「少しずつ支配されていくカラダ」

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 鵠の指が後孔の肉壁を割って、さらに奥へと入り込む。


「ここ、母さんの良い所だよね?」
「ひあーーーーっ、んんぅ!」


 中のシコリをコリコリと弄られれば、どうしても嬌声を上げてしまう。
 嫌々と首を振り、身を捩って抵抗すると、鵠は腹に回した手にさらに力を込めた。
 稲妻が走る刺激を受け流そうと背中を弓なりに反らし、両足をつりそうになるくらいピンと伸ばす。
 息子の指が3本目になるのに気づかないくらい、俺は快楽に悶えていた。
 無駄だと分かっていたけど、呂律の回らない口で懇願する。


「っ、うう……いあ、いあらぁ……もうやえてぇ……」
「前もすごい反り勃ってる。出したいよね、楽になりたいよね。でも、その前に言いたいことがあるんじゃない?」


 腹に回していた手を俺の先走りが垂れた先端にあてがい、カリ首を捏ねくり回しながら悪戯っぽく言った。


「……頼む、お前のがいい……お前のでナカをグチャグチャにしてぇっ……!!!」
「よく言えました」


 鵠は俺の首輪にキスを落とし、待ってましたとばかりにズボンからブルンと勃起したものを取り出した。
 そしてそれを今か今かと待望するパックリと開ききった蕾に、下から突き上げるように挿入した。


「あっ――――…………!」


 掠れた声と同時にビュク、と自分の腹に白濁を撒き散らした。
 射精の疲労感に体に力が入らず、くたりと息子に身を預けた。


「入れただけでイッちゃうなんて、母さんのカラダはえっちだね」


 耳元で囁いてきた甘い声は、もはや俺の知っている可愛い息子のものではなかった。
 自分に発情する立派な雄の声だ。





 ――――それから時が経ち、夫の鷲が出張から戻る前日。
 夜ご飯を食べ終え、皿洗いをしながら、隣にいる息子に感謝を告げた。


「この1週間、ありがとうな。毎日晩飯作ってくれたり、日用品とか買い足してくれて本当に助かったよ」
「そんなの当たり前だよ。いくら病院の薬を飲んでるからってうかつに外出したら、襲われかねないもん。僕の大事な母さんが僕以外のαに犯されるなんて絶対に嫌」
「はは……」


 息子の真面目なトーンに乾いた笑いしかでなかった。いや、いっさい笑いごとではないんだが。


「それだけ?」
「へ?」
「とぼけないでよ。他にもお礼、あるんじゃないの?」


 「ココのお世話とかさ」と言って、尻の窪みに指を突っ込んできた。


「ーーっひぁ!」
「毎日挿れてたから、すんなり入るようになっちゃったね、布越しなのに」


 うっかり皿を落としそうになって注意しようとしたが、息子の意地悪な笑みに、口を噤んでしまう。
 そう、あれから毎日、夜は息子とセックスをする爛れた生活を送っていた。
 いくら生理現象とはいえ、許されることではない。


「鷲には黙っていてほしい」
「きっと怒るよね。僕たちがこんなことしてるなんて。父さんには絶対に嫌われたくない」
「それもそうなんだが、お前がαだっていうことも、今は黙っていてほしい」
「……やっぱりαの僕なんて父さんからしたら邪魔、だから?」
「バカ! そんなわけあるかっ!!!」


 思わず鵠の手を強く握り、叫んでしまった。
 鵠は悲しそうに眉を下げ、震える声で言った。


「最近ずっと考えるんだ。5年前、自分が最初からαだと分かっていた場合でも、父さんは僕を引き取ってくれたのかなって」
「……馬鹿だな、当たり前だろう。鵠の代わりなんていやしない。俺たちは鵠を本当に息子みたいに思っているんだから。鷲のスマホのフォルダ見たことあるか? お前の寝顔コレクションでびっしり埋まってるんだぞ?」


 「それはちょっと怖い」と言いながらも、鵠は頬を緩ませた。
 鵠は何も悪くない。お前を引き取ったのは、『あの時』の俺に面影を重ねていたから。鷲は二度と『あんなこと』が起きないように、ただ助けたかっただけなんだ。
 俺と鷲は息子に秘密にしていることがある。それを打ち明けるにはまだ早い。


「――――悪い。今は鷲、仕事で根詰めてるから負担をかけたくない。仕事がひと段落したタイミングで、俺から直接言わせてくれ」
「……ん、わかった」
「よし、いい子」


 甘えたしぐさですり寄せてきた息子の頭をポンと撫でた。
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