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第3章「一発、ぶちかましにいくか!」
第12話「一言かましてから別れよう」
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(UnsplashのLOGAN WEAVER | @LGNWVRが撮影)
ド派手なライムグリーンを着た巨体の山中さんと、クールなモノトーンワンピースのスミレ、そして平凡なパーカーとスカートのあたしは地下鉄に乗って冒険に向かう。
目的地は、高級住宅地のチョイ高めマンションだ。
「はあああ、えっらそうなマンションに住んでいやがるねー」
名古屋の主要エリア、地下鉄の駅から徒歩約8分の所に立つマンションは築浅らしくて外壁もピカピカだった。
山中さんはマンションエントランス前でスマホをあやつり、メッセージを送ったらしい。
顔を上げて、
「やつはすぐに来るぜ、どうする、すぐに会うか、アンタ?」
スミレは一瞬だけ考えた。でもすぐにうなずいて、
「この状況で、会ってどうなるっていう事もないけど。
何もしないで、このままフェイドアウトっていうのだけは絶対に嫌だから、一言かましてから別れようと思うの」
スミレはちょっと寂しそうに言った。
山中さんはミラーグラスをはずして、
「おいでなすったぜ。腹をくくりな、お嬢ちゃん」
それから大きく手を振って、のしのしと歩いていく。
「いよう、石原ちゃん! ひっさしぶりだなあ」
石原って男、初めて見たけど、見た目イケメンだなあ。スミレ、きれいな男好きだもんね。あの顔じゃ、メンズモデルだって言われても納得するよ。
でも、ちょっと浅い雰囲気があるな。
チャラいっていうか、薄っぺらいかんじ。
隣を見ると、さすがにスミレの顔は青くなっていた。
石原はぜんぜんスミレに気づかず、山中さんに調子よく合わせていた。
「名古屋に来るんなら連絡してくれればいいのに。昨日の夜とか、一緒に飲めたよ?」
「昨日は仕事だ。こう見えても俺は腕利きの売り子だからな」
「知ってるよぉ、東京にいるときはさんざん洋服を買わされたじゃん。
まあ山中さんから買ったものは今でも着てるから損したわけじゃない……って。
……あれ……」
調子のいい男はやっとスミレに気づいたみたいだ。
最初は訳が分からない顔で目を細めて、それからスミレだとわかって真っ青になった。
山中さんは何気ないふりで、
「およ、石原ちゃん、どうかしたか?」
ド派手なライムグリーンを着た巨体の山中さんと、クールなモノトーンワンピースのスミレ、そして平凡なパーカーとスカートのあたしは地下鉄に乗って冒険に向かう。
目的地は、高級住宅地のチョイ高めマンションだ。
「はあああ、えっらそうなマンションに住んでいやがるねー」
名古屋の主要エリア、地下鉄の駅から徒歩約8分の所に立つマンションは築浅らしくて外壁もピカピカだった。
山中さんはマンションエントランス前でスマホをあやつり、メッセージを送ったらしい。
顔を上げて、
「やつはすぐに来るぜ、どうする、すぐに会うか、アンタ?」
スミレは一瞬だけ考えた。でもすぐにうなずいて、
「この状況で、会ってどうなるっていう事もないけど。
何もしないで、このままフェイドアウトっていうのだけは絶対に嫌だから、一言かましてから別れようと思うの」
スミレはちょっと寂しそうに言った。
山中さんはミラーグラスをはずして、
「おいでなすったぜ。腹をくくりな、お嬢ちゃん」
それから大きく手を振って、のしのしと歩いていく。
「いよう、石原ちゃん! ひっさしぶりだなあ」
石原って男、初めて見たけど、見た目イケメンだなあ。スミレ、きれいな男好きだもんね。あの顔じゃ、メンズモデルだって言われても納得するよ。
でも、ちょっと浅い雰囲気があるな。
チャラいっていうか、薄っぺらいかんじ。
隣を見ると、さすがにスミレの顔は青くなっていた。
石原はぜんぜんスミレに気づかず、山中さんに調子よく合わせていた。
「名古屋に来るんなら連絡してくれればいいのに。昨日の夜とか、一緒に飲めたよ?」
「昨日は仕事だ。こう見えても俺は腕利きの売り子だからな」
「知ってるよぉ、東京にいるときはさんざん洋服を買わされたじゃん。
まあ山中さんから買ったものは今でも着てるから損したわけじゃない……って。
……あれ……」
調子のいい男はやっとスミレに気づいたみたいだ。
最初は訳が分からない顔で目を細めて、それからスミレだとわかって真っ青になった。
山中さんは何気ないふりで、
「およ、石原ちゃん、どうかしたか?」
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