7 / 76
黎明 ―はじまりのパーティ―
第7話 大貴族 ヴァンティエール家
しおりを挟む
ある程度予想はしていた。
前にこのことで考察したことがあったけど、その時も俺んち金持ち~とかいう結論に達していた気がする。
(しかしなぁ、辺境伯家みたいな大貴族だったとは・・・)
残念なことに、ここで「えっまじ!大貴族の息子!?人生勝ち組じゃ~ン♪」と思えるほど俺の頭の中のはラベンダー畑じゃない。
義務《ノブレス・オブリージュ》という言葉がある。
『身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務がある』という欧米社会における基本的な道徳観でこの国《アルトアイゼン王国》が腐っていない限り地球と同じか、または形を変えて発生してくるであろうものだ。
これがあるからこそ、貴族は貴族であれるし、その義務を放棄すれば即暴動だ。税を毟《むし》り取るだけむしって何もやらないんじゃ平民が救われない。
しかし、その舵取りをすることが容易でないことは自明である。と、積み木でお城を作りながら俺は思う。
この積み木は「半年誕生日だ」と父上に貰った。なんだ半年誕生日って。
いろいろな形がありながらも一つ一つ丁寧に作られ、塗装されているのが分かる。
そして、積み木を入れる箱には、これまた精巧な黒いオオカミの彫刻が彫ってある。
―――かっこいい。
さすが貴族、子供のおもちゃ一つをとっても洗練されていて品があるように感じる
遊ぶ手を止めふと、斜め右上を見ると最近ずっと俺のそばにいるハッツェンと目が合う。
じーーーーー・・・←俺氏
ニコっ♪ ←ハッツェン
(かわいい)
先ほど俺は、うちがヴァンティエール辺・境・伯・家であると言ったがあくまでも辺境伯家(仮)である。
こう推測できたのもこのハッツェンのおかげである。
曰く、うちはアルトアイゼン王国の北西の辺境に位置し、王都アイゼンベルクから馬車で3週間ほど離れているらしい。(ちなみに、1週間は7日で順番に闇・火・水・風・土・光・無の日となっているらしく、それを4回と残り2日安息の日と呼ばれるものを足して1月となる。へ~)
曰く、ヴァンティエール辺境伯領はアマネセル国とエテェネル王国、魔の森と隣接しているらしい。詳細はさすがに一介の侍女であるハッツェンは知らないようだが、アマネセル国とは戦争中、エテェネル王国は永久不可侵国、魔の森は魔物が巣食う森(まんまだな。てか魔物いるんだ)ということだ。
なんかかっこいいバリアを展開しそうな国は置いといて・・・
そう、今うちはアマネセル国と戦争中らしいのだ。俺も聞いたときはファッ!?ってなった。ただ、戦争といっても色々あるらしくて、うちとアマネセル国の間で起きているのはにらみ合いや小競り合いの程度だ。しかしここ数年その均衡のようなものが崩れかけてるっぽい。その原因は知らんがそれに加えて魔の森もあるというではないか。と、積み木でロケットを作りながら俺は思う。
うちは結構危なっかしい場所にあるのかもしれない。
前にこのことで考察したことがあったけど、その時も俺んち金持ち~とかいう結論に達していた気がする。
(しかしなぁ、辺境伯家みたいな大貴族だったとは・・・)
残念なことに、ここで「えっまじ!大貴族の息子!?人生勝ち組じゃ~ン♪」と思えるほど俺の頭の中のはラベンダー畑じゃない。
義務《ノブレス・オブリージュ》という言葉がある。
『身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務がある』という欧米社会における基本的な道徳観でこの国《アルトアイゼン王国》が腐っていない限り地球と同じか、または形を変えて発生してくるであろうものだ。
これがあるからこそ、貴族は貴族であれるし、その義務を放棄すれば即暴動だ。税を毟《むし》り取るだけむしって何もやらないんじゃ平民が救われない。
しかし、その舵取りをすることが容易でないことは自明である。と、積み木でお城を作りながら俺は思う。
この積み木は「半年誕生日だ」と父上に貰った。なんだ半年誕生日って。
いろいろな形がありながらも一つ一つ丁寧に作られ、塗装されているのが分かる。
そして、積み木を入れる箱には、これまた精巧な黒いオオカミの彫刻が彫ってある。
―――かっこいい。
さすが貴族、子供のおもちゃ一つをとっても洗練されていて品があるように感じる
遊ぶ手を止めふと、斜め右上を見ると最近ずっと俺のそばにいるハッツェンと目が合う。
じーーーーー・・・←俺氏
ニコっ♪ ←ハッツェン
(かわいい)
先ほど俺は、うちがヴァンティエール辺・境・伯・家であると言ったがあくまでも辺境伯家(仮)である。
こう推測できたのもこのハッツェンのおかげである。
曰く、うちはアルトアイゼン王国の北西の辺境に位置し、王都アイゼンベルクから馬車で3週間ほど離れているらしい。(ちなみに、1週間は7日で順番に闇・火・水・風・土・光・無の日となっているらしく、それを4回と残り2日安息の日と呼ばれるものを足して1月となる。へ~)
曰く、ヴァンティエール辺境伯領はアマネセル国とエテェネル王国、魔の森と隣接しているらしい。詳細はさすがに一介の侍女であるハッツェンは知らないようだが、アマネセル国とは戦争中、エテェネル王国は永久不可侵国、魔の森は魔物が巣食う森(まんまだな。てか魔物いるんだ)ということだ。
なんかかっこいいバリアを展開しそうな国は置いといて・・・
そう、今うちはアマネセル国と戦争中らしいのだ。俺も聞いたときはファッ!?ってなった。ただ、戦争といっても色々あるらしくて、うちとアマネセル国の間で起きているのはにらみ合いや小競り合いの程度だ。しかしここ数年その均衡のようなものが崩れかけてるっぽい。その原因は知らんがそれに加えて魔の森もあるというではないか。と、積み木でロケットを作りながら俺は思う。
うちは結構危なっかしい場所にあるのかもしれない。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
伯爵令嬢に婚約破棄されたので、人間やめました
えながゆうき
ファンタジー
うー、ダイエット、ダイエットー!
子爵家の庭を必死に走っている俺は、丸々太った、豚のような子爵令息のテオドール十五歳。つい先日、婚約者の伯爵令嬢にフラれたばっかりの、胸に大きな傷を負った漆黒の堕天使さ。髪はブロンド、瞳はブルーだけど。
貴族としてあるまじき醜態はすぐに社交界に広がり、お茶会に参加しても、いつも俺についてのヒソヒソ話をされて後ろからバッサリだ。どっちも、どっちも!
そんなわけで、俺は少しでも痩せるために庭を毎日走っている。でも、全然痩せないんだよね、何でだろう?
そんなことを考えながら走っていると、庭の片隅に見慣れない黒い猫が。
うは、可愛らしい黒猫。
俺がそう思って見つめていると、黒い猫は俺の方へと近づいてきた!
「人間をやめないかい?」
「いいですとも! 俺は人間をやめるぞー!!」
と、その場の空気に飲まれて返事をしたのは良いけれど、もしかして、本気なの!? あ、まずい。あの目は本気でヤる目をしている。
俺は一体どうなってしまうんだー!! それ以前に、この黒い猫は一体何者なんだー!!
え? 守護精霊? あのおとぎ話の? ハハハ、こやつめ。
……え、マジなの!? もしかして俺、本当に人間やめちゃいました!?
え? 魔境の森にドラゴンが現れた? やってみるさ!
え? 娘を嫁にもらってくれ? ずいぶんと地味な子だけど、大丈夫?
え? 元婚約者が別のイケメン男爵令息と婚約した? そう、関係ないね。
え? マンドラゴラが仲間になりたそうな目でこちらを見てる? ノーサンキュー!
え? 魔石が堅くて壊せない? 指先一つで壊してやるよ!
え? イケメン男爵令息が魔族だった? 殺せ!
何でわざわざ俺に相談しに来るんですかねー。俺は嫁とイチャイチャしたいだけなのに。あ、ミケ、もちろんミケともイチャイチャしたいよー?
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる